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ミックスドマーシャルアーツ(MMA)という格闘スポーツについて、コラムや試合レビューを書いています。

2012年MMA総まとめ 二月のベストファイト選出!【祝・日本開催!】

UFC 143』 2月4日 USA、ネバダ州ラスベガス
 /ウェルター級王者ジョルジュ・サンピエールACL(前十字靭帯)を負傷し長期欠場。これにより挑戦者のディアズ兄貴と『UFC 137』のタイトルコンテンダーであったコンディットとの間で暫定王座決定戦が行われました。総勢6名の負傷欠場者が出て、その結果かワンサイドな試合が多かったイベントでした。

UFC 143 ウェルター級暫定タイトルマッチ
○カルロス・コンディットvs.ニック・ディアズ×
 /満足度:☆☆☆
 /UFCきっての技巧派ストライカーであるコンディットが、MMA界きってのプロブレムマン、ディアズ兄貴の喧嘩ボクシングを封殺。5Rに渡る一進一退の鍔迫り合いが繰り広げられた緊張感のある試合でした。本来の獣性を抑え淡々と打撃を打ち込むコンディットのクールさと勝負への執念を感じると共に、5R最後まで猛進を止めなかった兄貴の勝負への意地も垣間見れた名勝負でした。
UFC 143 ウェルター
○ジョシュ・コスチェックvs.マイク・ピアース×
 /満足度:☆☆
 /両者NCAA全米大学体育協会)Div1カレッジレスラーというMMAレスラー対決。レスリングの実績では4度のオールアメリカン(全米最優秀選手)に選ばれているコスが圧倒的でしたが、試合ではピアースがそのフィジカルと打撃でコスを追い詰めました。結果はテイクダウンを獲ったコスがスプリットで薄氷の勝利。レジェンドの意地を見せました。
UFC 143 フェザー級
○ダスティン・ポイリアーvs.マックス・ホロウェイ×
 /満足度:☆☆☆
 /フェザー級の名勝負ファイター、ポイリアーがX-1王者ホロウェイを相手に実力差を見せる一本勝ちを極めました。ホロウェイもかなり脱出を試みようと粘りに粘り、結果的にポイリアーがマウントからの三角腕ひしぎという特殊な体勢で一本を取りました。ホロウェイもラマスの緊急代理として出場した経緯もあり、パンチのキレも素晴らしいものがあるのでこれからに期待です。
UFC 143 ウェルター
マット・ブラウンvs.クリス・コープ
 /満足度:☆☆
 /燻し銀の魅力を持つムエタイ使いMBの魅力が如何なく発揮された試合です。コープを打撃で終始翻弄し、ケージに追い詰めての見事なフィニッシュで仕留めました。
UFC 143 ウェルター
ティーブン・トンプソンvs.ダン・スティッジェン
 /満足度:☆☆☆
 /本大会の裏の主役、新鋭トンプソンのUFCデビュー戦です。トンプソンはキックボクシングで63戦63勝30KO無敗という驚異のレコードを持つ純正ストライカーであり、試合では制空権を完全に掌握、1R終了間際のミドルから軌道を変えるハイキックで一撃KO勝利を決めてみせました。勝利時の謎のカッコイイポーズも必見です!
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XFC 16』 2月10日 USA、テネシー州ノックスビル
XFC=Xtreme Fighting Championships』はジョン・プリスコ社長が2006年に創設した北米南部地方(フロリダ州ケンタッキー州テネシー州)最大の選手育成団体です。「MMAはまだ18歳、未知の可能性を秘めている」という社長のコメント通り、若く才能のある選手にスポットを当てており、またZuffa社とも良好な関係を築いているため元UFCファイターが復帰を懸けて出場している場合もあります。そんな中今大会は有名選手同士がメインを務めた注目度の高いイベントでした。ちなみに入場ゲートが「X」の形をしているのが個人的に大好きです(知らんがな)

XFC 16 キャッチウェイト(160lb)戦
○ジェイミー・ヴァーナーvs.ドリュー・フィケット×
 /満足度:☆☆☆
 /スワンソンに続く2012年ベストカムバックファイター、第五代WECライト級王者ヴァーナーが衝撃の40秒殺勝利を挙げた試合です。ワンパンチでフィケットをダウンさせ、一方的にパウンドアウトして見せたこの試合を持って、ヴァーナーはUFC契約のチャンスを得ることになりました。
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UFC on Fuel TV 1』 2月15日 USA、ネブラスカ州オマハ
 /米国アクションスポーツチャンネルFuel TV(フュール・ティービー)で放映されるシリーズが初開催。ウェルター下剋上マッチをメインに据え、熱い戦いが繰り広げられました。

UFC on Fuel TV 1 ウェルター
○ジェイク・エレンバーガーvs.ディエゴ・サンチェズ×
 /満足度:☆☆☆
 /ウェルター級きっての新鋭「ジャガーノート(絶対なる力)」エレンバーガーと、気迫最強のレジェンド「ドリーム(旧ナイトメア)」サンチェズのウェルター下剋上マッチ。持ち前のパワーのある打撃を存分に発揮したエレンが判定で勝利しましたが、3R中盤にバックに失敗し頭から落下したエレンの動きが止まると猛然とラッシュを仕掛けたサンチェズの意地にも拍手を送りたい名勝負でした。サンチェズはこの試合の後ライト級転向を示唆しています。
UFC on Fuel TV 1 バンタム級
アイヴァン・メンジバーvs.ジョン・アルバート
 /満足度:☆☆
 /バンタム級離れした強靭なバネを持つメンジバーが『TUF 14』バンタム級トーナメントベスト4の新鋭アルバートと白熱のオールラウンドファイトを展開しました。メンジバーの裏拳→アルの下からの足関節→メンジバーの膝→アルの膝連発でメンジバー窮地→メンジバー逆転のリアネイキッドチョーク(裸締め)と打投極が次々に入れ替わるMMAらしい好試合でした。
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『Legacy FC 10』 2月24日 USA、テキサス州ヒューストン
Legacy FC=Legacy Fighting Championship』は2009年から続くテキサス州を拠点とした南部有数の選手育成団体です(アマチュア部門も存在しています)。代表者など詳しいことは分からないのですが、メキシコと隣接するテキサス州で開催していることもあって、メキシコ系アメリカ人の選手が多く出場しています。今大会では現ROCライト級王者のパット・オーディンウッドや怪力「ハリケーンジェラルド・ハリスが活躍し、シディ・エンジョクアーニ(兄アンソニー)、カーソン・ビービ(兄チェイス)といった兄弟ファイターも勝利するなど見どころの多い大会となりました。

Legacy FC 10 ライト級
レイナルド・トゥルヒーヨvs.ムニウ・アドリアーノ×
 /満足度:☆☆
 /バックステップで下がったアドリアーノにトゥルヒーヨのスーパーマンパンチが炸裂し衝撃の24秒KO勝利となりました。ちなみにトゥルヒーヨは現在フェザー級に転向しています。
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UFC 144』 2月26日 日本、埼玉県
 /Zuffa運営初となるUFC日本大会が遂に実現しました。このイベントは2010年のUAEアラブ首長国連邦)大会『UFC 112』に続くUFCのアジア大陸進出であり、Zuffaの本格的なアジアMMA市場の開拓を表明するイベントでもありました。メインカードが7試合と多めで、メインのライト級タイトルマッチは2012年MMA屈指の名勝負となり日本のUFCファンを魅了しました。

UFC 144 ライト級タイトルマッチ
ベンソン・ヘンダーソンvs.フランキー・エドガー
 /満足度:☆☆☆
 /現在最も入れ替わりの激しいライト級の頂点にふさわしい、5Rノンストップの緊迫した攻防が繰り広げられました。ベンヘンのリーチを掻い潜るフランキーの打撃、一瞬の隙をつくテイクダウン、抜群のバランス感覚から繰り出されるベンヘンの鮮やかな蹴り技など、互いに死力を尽くした試合はベンヘンが判定を勝ち取り新王者になりました。これまでBJ戦、メイナード戦と再戦を受けてきたフランキーは立場を変えて再戦を要求、ベンヘン側はこれを了承し『UFC 150』で再び両者は相見えることになります。
UFC 144 ヘビー級
マーク・ハントvs.シーク・コンゴ×
 /満足度:☆☆☆
 /ヘビー級最強のニュージーランダー「サモアの怪人」ハントがUFCヘビー級常連の黒人系フレンチストライカーのコンゴさんに完全KO勝利するという衝撃の一戦。コンゴさんはミルコと並びMMAで大成した数少ないキックボクサーであると思うのですが、そのコンゴさんをスタンドで淡々とKOするハントの強さと怖さを改めて再確認できた試合でした。
UFC 144 ミドル級
○ティム・ボーチvs.岡見勇信×
 /満足度:☆☆☆
 /ミドル級転向後2連勝していた「バーバリアン」ボーチが日本最強ファイター岡見をKOで破り一気にコンテンダー入りを果たした試合です。2Rまでの劣勢を3Rに渾身のアッパーで覆したこの試合は、その結果だけでなく勝負というもののアンバランスさを再確認する試合でもありました。また岡見にとっては念願の凱旋試合でのKO負けという悔しすぎる一戦となり、同時に得意とする打撃戦での脆さも露呈してしまう苦しい黒星となりました。
UFC 144 ライト級
○アンソニー・ペティスvs.ジョー・ローゾン×
 /満足度:☆☆
 /日本大会の裏メインとも期待されていたUFCライト級トップコンテンダー同士の対戦です。ローゾン兄は俊速の極め技を持ち味としていますが、それを発揮する前に「ショータイム」ペティスが鮮やかなハイキックでローゾン兄をマットに沈め、メインカード第一試合をこれ以上ない形で盛り上げました。
UFC 144 ミドル級
福田力vs.スティーブ・キャントウェル×
 /満足度:☆☆☆
 /交通事故から復帰戦を行ったリッキーが念願のUFC初勝利をあげました。キャントの多彩な打撃も魅力的でしたが、泥沼の戦いを制するリッキーの勝負どころを察知する強さが印象に残った試合でした。
UFC 144 フェザー級
田村一聖vs.张铁泉×
 /満足度:☆☆☆
 /レオナルド・ガルシア欠場で急遽参戦した一聖が堂々とした試合を展開し見事なKO勝利を見せてくれました。この試合で一気に日本大会のボルテージが上がりました!
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ベストファイト・オブ・ザ・マンス
UFC 143 ウェルター級暫定タイトルマッチ
○カルロス・コンディットvs.ニック・ディアズ×

UFC 144 ライト級タイトルマッチ
ベンソン・ヘンダーソンvs.フランキー・エドガー
 今回もダブル選出。甲乙つけがたい名勝負でした。どちらも一挙手一投足を見逃せない25分間の攻防。ああこういう試合が観たくてファンやってるんだな~としみじみ感じました。

ベストノックアウト・オブ・ザ・マンス
UFC 144 ミドル級
○ティム・ボーチvs.岡見勇信×
 /凄いKOが続出した二月でしたが、なんといってもダントツでこの試合が選出。日本選手の中で唯一のトップコンテンダーである岡見。その岡見が日本大会で敗れたことを差し引いても、ボーチのKOは衝撃的でした。イヤーエンドでのコスタ戦も楽しみです。

ベストサブミッション・オブ・ザ・マンス
UFC 143 フェザー級
○ダスティン・ポイリアーvs.マックス・ホロウェイ×
 /KOとは対照的に印象に残る一本勝ちは少なめでした。しかしホロウェイの意地とポイリアーの技に敬意を表して堂々選出させて頂きます。

ベストイベント・オブ・ザ・マンス
UFC 144』 2月26日 日本、埼玉県
 /記念すべきアジア進出とSEG以来の日本再上陸という記念すべき大会として、ベターな内容であったともいます。なかなか日本では知られていない選手も多かったのも嬉しかったというか、日本の「UFCファン」向けのイベントであったことがとても嬉しかったですね。2013年3月の日本大会もUFCで活躍するファイターが出てくれることを望みます。
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この時期気になったのは「判定基準」でした。コンディットvs.兄貴戦の後にヒット数が明確化されるようになっていたのですが、その陰でテイクダウンがやグラウンドへのポイントがあまり入らなくなっていたように思います。大事なのは「組み」を起点とした戦術の広がりや攻撃ひとつひとつの効果性であって、何発殴ったとか何回倒したとか大事なんですけどそればっかりじゃ目線がよりすぎというか、そんなこんなで悶々としている時期でした。7月の大幅なルール改定(ディフェンスポイントが廃止になり、打撃=寝技の採点基準が定められた)もそのような背景があってのものな気がします。「まだまだMMAは18歳(プリスコ社長談)」なのかな~としみじみ感じていました。
三月はいよいよBFCが登場!シーズン6トーナメントが開催しました!

『イベント名』 月日、会場

階級
赤コーナーvs.青コーナー
 /満足度:☆☆☆
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