前回特集したマグニーがストラッサーに完勝。６連勝でいよいよコンテンダー戦が近づいてきましたね。
今回は日本のレジェンド「狂蜂」山本の３年ぶりの復帰戦に相対する新鋭、サラザールの紹介です。
ローマン・サラザール
Román Salazar
異名 エル・ガイート（"El Gallito"）
階級 男子フェザー級→バンタム級
国籍 ＵＳＡ
民族 メキシコ系アメリカ人
出身 アリゾナ（ツーソン）→（メサ）→（スコッツデール）
経歴 MMA
所属 サウスウェストMMA（サンティーノ・デフランコらに師事）
→ファイトレディ（ローランド・サイラロープらに師事）
メキシコのサンルイス・リオ・コロラドにルーツを持ち、アリゾナ州ツーソンの高原地帯マンモスで産まれたメキシコ系アメリカ人のサラザール。
英語とスペイン語の２ヶ国語を話し、アリゾナ出身ながらメキシコ人の血統の誇りを持っている選手です。
ニックネームの"エル・ガイート（El Gallito）"は、スペイン語で「若い雄鶏」を意味する言葉です。
メキシコでは雄鶏を闘わせる…所謂「闘鶏」が盛んで、サラザールは幼少期からその歩き回る姿を見て"ガヨ・ヒーロ（Gallo Giro）"と呼ばれていたそうです。この言葉はメキシコの闘鶏ブリーダー用語で、マントのような白銀の毛を纏った品種を差します。
元々の職業はケーブル技術者で、現在も週６日働いて家族を養いながらトレーニングを続けているそうです。
（インタビューにて。冒頭だけスペイン語で話していますね～。）
メサのボクシング＆MMAチーム「サウスウェストMMA」にてセス・バジンスキやエフライン・エスクデロと練習を始め、現在はスコッツデールの「ファイトレディ」を中心にトレーニングをしているそうです。
地元ツーソンに本部をとる『ＷＦＦ（World Fighting Federation）』ではフェザー＆バンタムの２階級でチャンピオンの座を勝ち取り、昨年にUFCデビュー。
試合一週間前に負傷したロブ・フォントの代役としてミッチ・ギャニオンと対戦するも一本負けし黒星スタート、２戦目は「UFC 184 -Rousey vs. Zingano-」（３月１日、ロサンゼルス大会）にて山本徳郁（日本）と対戦が予定されています。
（WFFバンタム級チャンピオンシップ。試合は６分過ぎから始まります。）
「闘鶏」の如く動き回り、打撃での決着を好むストライカー気質のサラザール。
常に左右にサークリングしながら左右のパンチ＆膝蹴りで打ち落とす一撃KO狙いの選手で、テイクダウンを切り一定距離を保ちながらヒット＆アウェイで攻めます。特に反射的に出る膝蹴りは相手を下がらせ距離を作る良い武器となっています。
寝技ではパウンドとギロチンチョークを見せており、グラップリングの防御力が光ります。
欠点はやや単発で慎重になりすぎる…相手を見る時間が多く不意の一発を貰ってしまうところでしょうか。ギャニオン戦では速攻をしかけるギャニオンに試合の主導権を奪われてしまい、立ち上がる隙をつかれての一本負けでした。
「一発入ると爆発する」タイプであり、それ以外はサークリング＆堅牢なフィジカルと防御力でひたすら機会を待つという、見た目のイメージ以上に慎重なスタイルの持ち主ですね。反面攻め切れずに反撃を許すこともあり、MMAスタイルとしては未だ未完成な部分もあると思います。
山本が３年ぶりの復帰戦という事もあり、試合展開の予想は非常に難しいですが、堅牢なフィジカルと防御力を持ち、リーチ、若さ共に上回るサラザールが持つアドバンテージは多いといえます。山本はUFC無勝であり、この一戦でのKO＆一本負けはイコール解雇を意味すると思って良いでしょう。いつも通り堅牢に一撃を入れて爆発し、山本に反撃の隙を見せないことが重要となると思います。
山本にとっては３年前のヴォーン・リー戦以上の動きを見せなければサラザールの「防壁」に徐々に下がらされ削られてしまう可能性は大きく、組技でも体格に勝るサラザールを極めるのは骨の折れる作業であると予想されます。一方でサラザールも攻防分離の弱みがあるので、自分から攻めてアグリッションを奪うことで「試合をさせない」ことができれば勝機を見出せるかもしれません。
３年ぶりの復帰を果たすUFC無勝のレジェンド、山本。
黒星先行で無勝の相手に必勝を強いられるサラザール。
どちらにとっても勝敗が今後に大きく左右する一戦だと思います。
正念場を乗り越えるのは「狂蜂」か「闘鶏」か。生き残りをかけた緊迫の一戦です。
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