クロネコMMA図書館🐾

ミックスドマーシャルアーツ(MMA)という格闘スポーツについて、コラムや試合レビューを書いています。

【MMAアーカイブス】ケヴィン・ソウザ...日本選手と闘ったUFCファイター達①

今回はMMAアーカイブス(Archives...記録保管庫)と称し、「過去に書いたけど『う~んイマイチ書くのが乗り切らないな~』とか思ってるうちに旬を逃してしまった未公開ブログ」を手直しして公開してみよう!というコーナーです(笑)
今回のアーカイブでは「UFC日本選手の対戦相手紹介③」として紹介予定だった、"2つの名を持つ男"ケヴィン・ソウザについての紹介していきます!!!
。。。。。。。。。


Edimilson Souza(エジミウソン・ソウザ)
出身:ブラジルBIGブラジル(BRA)サルヴァドール
ニックネーム:"Kevin(ケヴィン)"
プロデビュー:'09年
階級:男子フェザー級
所属: Douglas Santos Team(DS Team, ブラジル)
競技経験:ボクシング
スタンス:オーソドックス
主な特徴:圧倒的なリーチ&テクニックによるパンチ、カウンターセンス
得意技:アッパーカット、右ストレート&左フック
獲得王座:Jungle Fight Championshipフェザー級王座('13年、防衛0回)
関連人物:Kelson Pinto(ケウソン・ピント、師匠)


◆◆◆Inside & roots◆◆◆
「ケヴィン・ソウザ」の名で知られるエジミウソン・ソウザは、色鮮やかな海と伝統建築が広がる港湾都市サルヴァドールで生まれた褐色のブラジリアン戦士です。
9歳のとき「平凡な毎日」から抜け出すために格闘技を始めたというケヴィンは、出生地サルヴァドールに本拠を置くブラジル人ボクサー、ケウソン・ピントの元でボクシングを習い始めます。
ピントはPRIDE時代にノゲイラ兄さん等にボクシングの指導をしていて、MMAトーレーナーとしても活躍していました。そんな環境の中で、ケヴィンもまたMMAの道を志すことになったのでした。
ケヴィン&ピントの師弟関係は固く結ばれたものです。
それは、かつて所属していたチーム・タヴァリスがピントとチアゴ・タヴァリスの間に決定的な決別が起こった際、チームを離れピントに同行する事を選んだほどで、現在はダグラス・サントスのチームで研鑽を積んでいます。

◆◆◆Fight style◆◆◆
ケヴィンは師匠ピントの全盛期のスタイルを彷彿とさせる、規格外のロングリーチと抜群のボクシングスキル&カウンターセンスによる徹底したストライカー・スタイルの持ち主です。
師匠がリーチ差を活かし相手の射程外から狙撃するのを得意としたのと同様、ケヴィンは深く構えたテイクダウン防御の体勢のまま、踊る様な前後のステップワークと突きだした左腕による矢継ぎ早なフェイントで相手を威嚇。相手が反撃を試みた隙に、精密で強力な低空狙撃を突き刺して一気に攻め立てる戦法を得意とします。
序盤に一気にプレッシャーをかけて、相手の打撃へのカウンター&多彩なパンチによるコンビネーションで短期KO勝利を狙うのが基本スタイルで、1Rノックアウトがズラリと並ぶ戦績は彼の速攻打撃の強さを物語っています。

◆◆◆Professional career◆◆◆
ケヴィンは'12年にブラジルMMAの二大老舗の一角Jungle Fight Championship(ジャングル・ファイト・チャンピオンシップと契約。
KO勝利を連発し'13年に強豪ファビアーノ・"ソウダード"・フェルナンジスとのチャンピオンシップが決定します。
ブラジルMMAきってのグラップラー、ソウダードのテイクダウンを喰らい劣勢に立たされるケヴィでしたが、パウンドの隙を掻い潜りスタンドに戻ると、右ストレートからの左サイドフックを炸裂!衝撃的な一発で重戦車ソウダードを沈め、JFCフェザー級王座を手にしました。


◆参考動画◆
ソウダードとのJFCフェザー級チャンピオンシップ。
壮絶、そして濃厚な4分47秒!!!!

JFCのベルトを切符に、ケヴィンはUltimate Fighting Championship(アルティメット・ファイティング・チャンピオンシップ)と契約。
フィリペ・アランチス、マーク・エディバと立て続けに2連勝を果たします。
続く3戦目は日本ファイターの菊野克紀
この試合でも、ケヴィンは左拳のフェイントと前後の軽やかなステップワークで菊野に的を絞らせずにプレッシャーをじわりじわりとかけていきます。
右オーバーハンドからの左フック、続いてボディストレートも直撃させ、菊野を一気に追い立てます。
そして、左をフェイントに合わせて菊野が右フックを放つ瞬間に、宝刀の右ストレートをカウンターで一閃。
この一斬りで菊野の顎を捉えて、完全KO勝利で3連勝目を上げました。
4連勝を狙い迎えたチャズ・スケリー戦では、序盤のロングフック&アッパーの波状攻撃でスケリーを何度もダウンさせます。
しかし、粘り強く耐えたスケリーの反撃により形勢は逆転、寝技で差をつけられたケヴィンは裸締めで無念のタップ。UFCで初の敗戦となりました。
この敗戦の後、ケヴィンは再契約できずUFCを去る事になりました。
様々な憶測の飛び交う不可解な契約カットであり、ケヴィンの溢れ出る才能が埋もれるような現状は非常に残念です;;
一刻も早く、彼の才能が光れる戦場に戻れる事を祈るばかりです。

◆◆◆Origin of nickname◆◆◆
ところで、「ケヴィン」という彼のニックネーム。
実名のような不思議なニックネームですが、実はこの名に面白いエピソードがあります。
本人曰く、本来は「ケヴィン・ドス・サントス・ソウザ」が彼の両親がつけようと考えた、本当の名前なのです(!)
そしてなぜ「エジミウソン」になったのかというと、それは戸籍登録を行ったのがケヴィンの祖母で、彼女が自分の若い頃のボーイフレンドの名前で誤って登録してしまったからなのだそうです(!?)
なので戸籍上は彼の名前は「エジミウソン」なのですが、彼自身は両親から貰った本来の名前…「ケヴィン」を名乗っている、という事なのだそうです。
言うなればエジミウソン」は戸籍上の名前で、「ケヴィン」が彼の本来の名前という感じなのですね。
どちらも本名であり、どちらも本名ではない。なかなか興味深いエピソードです!



。。。。。。。。。

というわけで、ケヴィン・ソウザのアーカイブでした~!
本来は菊野戦の前に公開しようとしていたもので、(UFC日本選手の対戦相手紹介シリーズの番号が飛んでるのはそういう理由です)お蔵入りになっていました。
しかし、ケヴィンがUFCをカットされ今後のキャリアに暗雲が立ち込めている今こそ、優秀なブラジリアン・ストライカーについて書いておきたい!と思い掘り出してきました。
ケヴィンのマネージャーは日本とも関わりの深いヴァリッジ・イズマイウであり、今後継続参戦でなくとも、彼が日本で試合をする事はあるかもしれませんね。
その時は、その才能を如何なく発揮した打撃を観せて欲しいです!がんばれ~!!