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ミックスドマーシャルアーツ(MMA)という格闘スポーツについて、コラムや試合レビューを書いています。

【vs.田中路教】ヒカルド・ハモスUFC初参戦!!「小さなカルカーサ」は夢を掴めるか。

今年もUFCで日本選手と対戦する海外選手を紹介していきたいと思います!

 

まずは2月のUFCテキサス大会ジョン・チャンソンが3年半ぶりのMMA復帰戦でデニス・バミューデスと対戦するメーンイベントをはじめ、ジョニー・ケースvs.ジェームズ・ヴィックの長身ファイター対決等も注目の試合ですね~。

そんな中で日本注目の寝技師vs.ブラジル注目の新鋭のカードも組まれています。

今回はUFCデビュー戦を控えたニューカマー、"カルカシーニャ"ハモスを紹介します!

 

ヒカルド・ルーカス・ハモス

Ricardo Lucas Ramos

国籍:ブラジル

出身:サンパウロ州 カンピーナス

所属:インパク柔術カンピーナス

ニックネーム:カルカシーニャ(Carcacinha

MMA経歴:AXS TV 2015年ライジング・スター選出

その他の経歴:ブラジリアン柔術(紫帯)

得意技:左フック、膝蹴り、三角締め、アームバー

特徴:長身とリーチ、打撃の打点の高さと威力、ガードワーク

 

 

ヒカルド・ルーカス・ハモス(Ricardo Lucas Ramos)サンパウロ州カンピーナスの出身で、同市のインパク柔術に所属するブラジリアン・ファイターです。

 

ニックネームの「カルカシーニャ(Carcacinha)」は、練習パートナーのギリェールミ・ミランダ(Guilherme Miranda)のニックネームに由来します。

 

ミランダはその痩身から「カルカーサ(Carcaça, 骸骨)」のニックネームを取る選手です。ハモスもミランダのように痩せていた事から、チームメイトに「小さなカルカーサ=カルカシーニャ」の愛称で呼ばるようになったそうです。ハモスは自分をサポートしてくれるミランダに感謝を感じており、この愛称をむしろ誇らしく思い、自身のニックネームとするようになったといいます。

 

身長174cm、リーチ189cmというバンタム級で長身に属する選手であり、ムエタイ型の威力の高い打撃と、長い手足を使った立体次元的なパスガードが特徴です。特に打点の高い膝蹴りや、三角締めとアームバーの連携技などが印象的であり、リーチとフィジカルを活かした攻撃的なファイトスタイルの持ち主といえます。

 

その攻撃的なファイトで、ハモスはプロデビューから8連勝をマークし、注目を集めます。シルクィート・タレント・ジ・MMA(Circuito Talent de MMAMMAスーパーヒーローズ(MMA Super Heroes等、ブラジルの名のあるリージョン・プロモーションで完全勝利を決めインパクトを残すと、アメリカ南西部の第二メジャー・プロモーションの一角レガシー・ファイティングチャンピオンシップ(Legacy FC)と契約。デビュー戦でジャスティン・レーダーをテン・カオ&右フックの計2発で完全KOし再びインパクトを残します。2戦目は長身のハモスよりも巨漢のコーディー・ウォーカーとの試合でしたが、寝技でコントロールして最後は得意技の三角&アームバーでタップアウト。最短距離で王座への階段を上がりました。

 

攻撃的なセンスと身体的アドバンテージで連勝街道を歩いてきたハモス。

 

しかし、そのセンスとアドバンテージに寄り、やや強引で局地的な対応観られていました。その勢いが良い方向に向かった事が連勝に繋がったのですが、悪い方向に向かった場合、ミスや対策不足に繋がってしまう懸念がありました。

 

その懸念が現実となってしまったのが、2連勝で満を持して迎えたLegacy FCバンタム級チャンピオンシップでした。前王者トーマス・ジ・アウメイダUFC契約を経た空位決定戦に挑んだハモスでしたが、ほぼ同格リーチのマニー・ヴァスケスに試合序盤にレッグトリップでTDされると、フィギュア4(4の字)バックテークを獲られ危険なポジションに陥ってしまいます。ここでハモスは強引にヴァスケスの足を取りに行き、結果として首をフリーにしてしまい裸締めがガッチリ。初の敗戦は自身のミスが呼んだ秒殺負けとなってしまいました。

 

しかし、この数か月後にハモスに好機が訪れます。

 

UFCプロモーターのダナ・ホワイトMMAファイターを発掘する番組「ルッキン・フォー・ア・ファイト(Lookin' for a Fight)」のシーズン2が放映し、第1話でハモスの試合がフューチャーされたのです。ニューイングランド・ファイト(NEF)のメーンイベントにてルフレッド・カシャキアンをTDからコントロールし一本勝ちしたハモスは、LFCの秒殺負けから一転、UFCへの切符を手にしたのでした。

 

ハモスがUFC契約を知った瞬間の動画がコチラです!↑

チームメートの涙と祝福っぷりに、ウルっと貰い泣きしてしまいます;

ちなみにハモスと抱き合って一番に喜んでくれている緑ラインのラッシュガードの人が、上記の"カルカーサ"ミランダその人です!

二人の仲の良さが垣間見えるワンシーンですね~;;

 

「小さなカルカーサ」の夢の第一歩は2月のUFCテキサス大会。対戦相手は日本の若きグラップラー田中路教(たなか みちのり)に決定しました。

 

田中ブリッジ&リバーサルにおいてUFCバンタム級でもトップクラスのバネを持ち、アンチョーカブル(首を獲られない)のディフェンス力も相まって、ハモスにとって過去最強の寝技師と対戦する事になります。

 

ハモスのアドバンテージは6cm差のリーチ体格、打撃の威力ですが、それらを無視して強引に寝技に持ち込む卓越した「削り」の技術を田中は持ちます。また、ハモスは体勢を崩されるとすぐ立とうとしてバックを許してしまう弱点があり、そこを田中に突かれてバックコントロールを許してしまう懸念があります。いずれにせよ、展開をコントロールされかねない厳しい闘いを強いられる事が予想されます。

 

ハモスの突破口としては、ディフェンスに特化しつつ広いスタンスを維持する事が必要になってきます。田中は打撃では縦構えのステップワークを多用しますが、リーチ差もあり打撃の交差は危険である為、距離を詰める為のフェイントとして使う事が予想されます。またフレキシブルな動きの代償として後半戦のガス及び決定力に不安を残す弱点があり、慎重な戦い方を貫ければ徐々に勝機が見えて来るかな、と思います。

 

田中にとってもハモスの打撃は一つ当たってしまえば大ダメージは必至の威力であり、今までの相手に比べて組みし易い相性ではありますが、距離を詰められなければ後半戦にかけて非常に危険になってくると感じます。尤も、ひとたび組み付けられれば有利なポジションを維持する事はそこまで難しくは無いとも思うので、確実にTDし、ガードを警戒しつつ削っていければフィニッシュに繋げられるのでは、と思います!

 

挫折を味わいながらも「プロモーター推薦選手」枠としてUFCの夢を勝ち獲ったハモス。田中戦はある意味そんなハモスの飛び級の真価が試される一戦ともいえます。田中にとっても知名度のある新鋭に勝つ事は、今後にメリットを生むと思います。二人の熱い試合を期待したいです!!