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【UFC】「ハイチの魔弾」OSPことオヴィンス・サン=プルー紹介。日本大会で岡見勇信と対戦!!

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UFC Fight Night 117 -St. Preux vs. Okami-

2017年9月23日(土) さいたまスーパーアリーナ(日本 埼玉県)

 

メインイベント ライトヘビー級 5分5R

オヴィンス・サン=プルー vs. 岡見勇信

 

いよいよ今週末に迫った日本大会!

日本に来てくれるメインイベンター、UFCライトヘビー級6位のOSPについて紹介です!

 

OSP(Ovince St. Preuxの略称)は、200cm越えのリーチを持つサウスポースタンスの選手です。

両親はハイチ人であり、移住先のフロリダ州で生まれ、その後テネシー大学進学と共に同州に移住しました。

OSP自身もアメリカで生まれ育ちつつも、両親のルーツであるハイチを大事なルーツとしています。

英語の他にハイチ語を話せて、自宅ではそちらで会話をするそうです。

 

その長腕と長脚から繰り出される斬れ味鋭い長打が最大の武器であり、特に左ストレートとサイドから振り抜く左アッパーという、軌道が読み難く、かつ一撃必殺の長距離砲を誇ります。

そのインパクトの強さからストライキングが目立ち気味ですが、太く長い腕を使ったオーバーフックの力強い組みや、しなやかで素早いリバーサル&パスガード等、リラックスした中にも獰猛さを感じさせるグラップリングも魅力です。

特に長い腕を活かしたヴォンフルーチョーク(ギロチンチョークのカウンター技)はOSPの得意技でもあり、UFCでも二度、この技で一本を獲っています。

1Rから強烈な打撃と柔軟な発想力でKOを狙うアグレッシブさがある反面、コンビネーション等の組み立てには弱くやや一発狙いな大味さのある攻めや、後半にかけてのガス欠による失速が弱点といえます。

しかし、ガス欠中でも打撃の斬れ味は健在であり、そのポテンシャルの高さを証明しているとも感じますね~。

 

|昨年のライトヘビー級暫定チャンピオンシップ、ジョーンズ戦では通常のサウスポーからオーソドックスに切り替える変則性を見せたOSP。

|総合的な力でジョーンズに敗戦したものの、互角のリーチと強打でジョーンズにもヒットを重ねました。

|SF時代ではTJ・クック戦のストレートでの見事なKO、UFCではカミンズ戦の鋭いカウンターでのKOが特に強烈なインパクトがありましたね~!

|あまり触れていませんが長い蹴りも強力であり、特にミドルキックは印象的です。

 

OSPは今は亡きStrikeforceの登竜門Strikeforce Challengers」シリーズでルーク・ロックホールドらと共に台頭した選手の一人であり、UFCのSF合併吸収に伴いUFCへと参戦しました。

勝利後にはパフォーマンスとして、舌を「べーっ」と出して、両手を顔の横に逆にしてかざすポーズを取っていますが、これは相手を侮辱しているわけではなく、OSPの在籍していたフラタニティアメリカにある大学生寮「オメガ・サイ・ファイ」の伝統的なポーズです。

オメガ・サイ・ファイはマイケル・ジョーダン等著名な人物も在籍していたアフリカ系アメリカ人フラタニティであり、OSPも大学時代にはアメリカン・フットボールNFL)のプロ選手を目指していたという経歴があります。

2度のシーズン挑戦を経てNFL選手の夢を断念したOSPでしたが、大学卒業後にトレーニングの一環としてキックボクシングを試したところ、武術の理念やMMAの理論に惹かれ、大学時代を過ごしたテネシー州ノックスビルのノックスビル・MAアカデミーにてMMAキャリアをスタートさせたのでした

MMAファイターとしては遅咲きであるといえますが、それを巻き返す程の飛躍を見せてきた才能溢れるファイターであると感じます!

 

|OSPと勝利を喜びあっているのは、KMMAヘッドコーチのエリック・ターナーさんです。

|OSPの事は「ヴィンス」の愛称で呼んでいて、彼の才能をいち早く見出した人物です。

|ボクシングや柔道、エスクリマ等幅広い武術を経て、自身の格闘理念を築いたといいます。

|OSPはワイルドな見た目に対し性格は理知的でユーモラスな人ですが、彼に護身としての武術の精神性や、自身の格闘理念を教わる事でMMAの道を選びました。

|OSPは得意技のヴォンフルーチョークに「オヴィンス・ヴォンフルー」と命名したり(笑)ちょくちょく会話にユーモアを挟んでいくところも好きですね~。

|あとプライベートでは眼鏡をかけていたりもします(好き)

 

|動画:UFC Fight Night Japan Free Fight:: Ovince Saint Preux vs. Shogun Rua 1

|期間限定公開中のvs.ショーグン戦!

|ショーグンのワンツーに対しスイッチし、左リードフックのカウンター一閃で見事な秒殺KO勝利!

|ブラジル大会のメインイベントという超アウェーの戦場で、この勝利は凄いですね~。

|勝利後には、上記の「オメガ・サイ・ファイ」のポーズも見せていますね。

※動画の公開が終了したので、ハイライト動画を載せておきます!⇩


Saint Preux sorprende a Shogun

 

日本大会では当初マウリシオ・"ショーグン"・フアとの再戦が決まっていたOSPですが、ショーグンの膝の負傷による欠場で、急遽、2階級下のウェルター級(旧ミドル級)選手である岡見勇信との対戦が決定しました。

勇信"サンダー"岡見は4年ぶりのUFC緊急復帰となり、参戦中であったPFL(旧WSOF)との関係は一旦切れた(切れていた?)形になります。

OSPと同様のサウスポースタンスながら、ジャブ&ストレートから組みつき、袈裟固めなど首や肩への圧力によるTD&トップコントロールを得意とするグラップラーです。

OSPとしてはサウスポー同士ながら比較的カウンターを当てやすく、フィジカル&体格差からグラウンドでもアドバンテージを取れるであろう試合ですが、有利な要素が多いぶん勝ちを求められるハイリスク&ローリターンな一戦といえます。

岡見としては、上記の不利さを踏まえても、UFC復帰への執念が勝ったということなのかな、と思います。

体格差&リーチ差で圧力をかけ組みへと繋げる岡見にとっては、それらのアドバンテージが無いOSPは脅威であり、またインファイトでのパンチの応酬に脆さを見せる事からも、階級差以外に相性的にも厳しいと感じます。

全てはいかに接近しアンダーフックに繋げられるか、そしてそこからOSPのフィジカルに負けずTDを狙えるかにかかっていると思います。

 

果たしてOSPはライトヘビー級において脅威を誇った長打で、完勝を求められる試合をしっかりとクリアーできるのでしょうか。

岡見はUFCへの執念を、試合を通して形にすることができるのでしょうか。

不測の事態により生まれてしまったカードであり、正直心配の方が強いですが…

OSPと岡見、両名にとってキャリアの前進に繋がる試合になって欲しいと願います!

 

|フラタニティ「オメガ・サイ・ファイ」の伝統的なポーズ。

|大学時代の旧友たちとは、今でも深い親交があり、OSPのもう一つのルーツとなっています。

|果たして日本大会でもこのポーズを披露できるのでしょうか!

|がんばれ~~!!