クロネコMMA図書館🐾

ミックスドマーシャルアーツ(MMA)という格闘スポーツについて、コラムや試合レビューを書いています。

2020年 飛躍を願う10人のUFC選手たち 【#4 ロシア、カフカス、中央アジア編】

f:id:paky21:20200308225411p:plain

2020年のUFC飛躍シリーズ第4段です!

今回はロシアと、カフカス山脈の山岳国、中央アジア諸国の選手を紹介します。

 

 ロシアはいまや「UFCの第3勢力」と呼べるMMA帝国です。なかでもダゲスタン共和国チェチェン共和国といった北カフカス出身の選手たちは、独自の伝統と戦闘スタイルで大きな飛躍を見せてきました。

 東スラブの選手が中心だったロシアMMAの歴史に、北カフカスの選手たちが新たな1ページを刻みました。「ロシアMMA最後の未開の大地」アジアロシア(シベリア)も、UFCが計画中のアジア版コンテンダー・シリーズのターゲット候補になっています。

 ロシアMMAの躍進は、南カフカス中央アジアといったロシアと深い繋がりのある近隣諸国にも影響を与えています。今年の6月には中央アジア初となるUFCカザフスタン大会も開催されます。

 旧ソ連時代に一つの国であったこれらの諸国は、伝統とルーツが複雑に入り混じった独自の文化圏を築いています。ハビブ・ヌルマゴメドフ、ヴァレンチーナ・シェフチェンコたちの活躍は、高い山々と広い大地を越え、新たな才能へと伝播していく事でしょう!

 それでは、ロシア、カフカス中央アジアの選手達を紹介します!

 

<同シリーズの過去記事>

#1 北アメリカ編

 #2 南アメリカ

#3 ヨーロッパ編

 

 

"ノー・マーシー(No Mercy)"

#1 f:id:paky21:20200120233119p:plain ピョートル・ヤン

Petr Yan

出身: ロシア ドゥジンカ
年齢: 27歳
所属: タイガー・ムエタイ
階級: UFCバンタム級

 ヤンはウラル山脈を境目に極東へ広がるアジアロシア出身の選手です。北アジアのシベリアに生まれ、中国人の祖父がいます。ボクシングとムエタイ悪魔合体させた、アジアロシアを代表するMMAストライカーです。

 ヤンは少年時代から学んだボクシングに、タイに移住して鍛えたムエタイを組み合わせて闘います。鉄壁のタイクリンチ(首相撲、腕の捌き合い)と肘打ち、テンカウ、タイスイープ(ムエタイの足払い)で相手を崩して、必殺の打撃を合わせていきます。パンチの多彩な打ち分けも特徴的で、ヘッドキックやオーバーハンドのような振り抜く打撃と、ジャブやストレートの打ち抜く打撃の両方を使いこなします。ややスロースターターですが、後半になるほどに攻め手を変えてプレッシャーが増していく様は圧巻です。

 昨年のUFCではジョン・ダドソン、ジミー・リヴェラ、そしてユライア・フェイバーの3人に真っ向勝負で競り勝つ驚異のレコードを残しました。フェイバー戦ではレスリングを悉くタイクリンチとフレームディフェンス(前腕を差し込み、相手の動きをコントロールする)で捌き、TDDの強さをみせました。タイスイープの「崩し」からフェイバーをヘッドキックで仕留めた勝ち方も衝撃的でしたね〜。

 ヤンはUFCカザフスタン大会のメインイベンターに抜擢され、前王座挑戦者マルロン・モライスとの大一番に挑みます。極東のシベリア戦士ヤンは、モライスを打ち倒し王座挑戦に王手をかける事ができるのでしょうか!

 

"マッハ(Mach)"

#2 f:id:paky21:20200228212533p:plainf:id:paky21:20200228212600p:plain マフムート・ムラドフ

Makhmud Muradov

出身: ウズベキスタン ブハラ (タジキスタン ドゥシャンベ
年齢: 30歳
所属: ザ・マネー・チーム
階級: UFCミドル級

 ムラドフは初のウズベキスタンUFC選手です。フロイド・メイウェザーに才能を見込まれ、メイウェザーのチームに初めて所属したMMA選手としても注目されています。

 ムラドフにはタジク人の父とウズベク人の母がいます。タジキスタンで生まれましたが、現在はウズベキスタンの国籍を得ています。若い頃から自動車事故に遭った父に代わって家族を支える為に、シベリア警備員として過酷な日々を過ごしました。より良い収入を得るためにチェコへ移住したムラドフは、そこでメイウェザーと数奇な出会いを果たしたのでした。

 ムラドフはオーソドックスのボクシングスタイルから、多彩なパンチと飛び膝蹴り、ヘッドキックを混ぜて勝ち星を挙げて来ました。鋭い前脚の踏み込みが生み出すハンマーパンチに加えて、相手のパンチを見切る技術にも長けています。強烈なパンチを的確に打ち込み、試合を徐々に掌握するスタイルはシンプルに強いですね~。

 昨年にUFCデビューを果たしたムラドフ。アレッシオ・ディ・キリコ戦ではキリコのパンチに「UFCの洗礼」を受けるも、右クロスを確実に当てて判定勝ちしました。トレヴァー・スミス戦ではボディへのジャブ&右ストレートでダメージを蓄積させ、ボディから繋げたオーバーハンドで衝撃のKO勝利を挙げました。

 卓越したボクシング技術を持つムラドフですが、今後は武器を増やしていく事が求められると感じます。次戦は凶悪な肘打ち&パウンドを持つカール・ロバーソン戦。中央アジアの新鋭ストライカー、ムラドフの活躍に期待したいです!

 

"アタマン(Ataman)"

#3 f:id:paky21:20200207150107p:plainf:id:paky21:20200207150119p:plain ラファエル・フィジエフ

Rafael Fiziev

出身: キルギスタン ビシュケク (カザフスタン
年齢: 27歳
所属: タイガー・ムエタイ
階級: UFCライト級

 フィジエフは弾丸のように強烈な打撃を放つ、キルギスタン初の男性UFC選手です。

 フィジエフはアゼルバイジャン人の父と、ロシア人の母との間に生まれました。生まれはカザフスタンですが、幼いうちに警察官の父の仕事の関係でキルギスタンへ移住しました。フィジエフは父と同じ警察官になる夢を志すも、一念発起してタイへ移住した事でムエタイと出会い、数年を経てMMA選手となりました。フィジエフは「実際の祖国」キルギスタンと「伝統としての祖国」アゼルバイジャンという2つの国をルーツに掲げている、中央アジア期待の若手選手です。

 フィジエフの戦闘スタイルは、全体重を乗せたフックを相手の攻撃すべてにカウンター的ぶつけるという狂暴なもの。反射速度の速さとKOパワーの強さで、真っ向勝負の打ち合いでは無類の強さを誇ります。他にもタイクリンチによるTDディフェンスや、出足を潰すカーフキック等の得意技があります。先手を奪い続けて相手を叩きのめすスタイルは非常にスリリングですね~。

 昨年にUFCに初出場したフィジエフ。マゴメド・ムスタファエフに打撃戦を挑みますが、ムスタファエフのホイールキックを立て続けに被弾してKOで敗れてしまいます。UFCの洗礼を受けたフィジエフですが、次戦のアレックス・ホワイト戦ではTDディフェンスと打撃の強さをみせて競り勝ちました。

 UFCのレベルの高さを痛感しながらも、自分の強みを披露する事ができたフィジエフ。誰が相手になっても、真っ向勝負の打撃戦で魅せてくれるでしょう!

 

#4 f:id:paky21:20200120233119p:plain ザビット・マゴメドシャリポフ

Zabit Magomedsharipov

出身: ダゲスタン共和国 ハサブユルト
年齢: 29歳
所属: ダグ・ファイター
階級: UFCフェザー級

 マゴメドシャリポフは北カフカスダゲスタン共和国の出身で、スラリと伸びた長身を駆使するストライカーです。名前のザビットとビースト(野獣)を合わせた「ザビースト」の愛称でも呼ばれますが、その強さの本質は散打(さんだ)をベースとしたテクニカルな戦闘スタイルです。

 アフヴァフ人の血統を持つマゴメドシャリポフは、12歳で家族の下を離れて武術(ウーシュー)の世界に入門します。そして、ダゲスタンの山々によって隔たれた武術学校「パエ・ストロン・スヴェタ(世界の五方位)」 に住み込み、10数年に渡る過酷な散打の鍛錬を積みました。マゴメドシャリポフは散打の神髄を体現できる生粋のカンフー・アーティストであり、散打をベースに自分らしいスタイルを構築したMMA選手でもあります。

 マゴメドシャリポフは「殴って投げ、蹴って突き放し、引きつけて刈る」という散打の基本構造を、長いフレームと精巧な技術で完遂します。加えて散打の弱点である「近距離打撃戦の脆さ」と「蹴り足を掴まれる危険性」をボクシングとレスリングによりカバーして、隙の無いスタイルへ昇華させていると感じます。

 昨年はジェレミー・スティーブンス、ケルヴィン・ケイターと対戦したマゴメドシャリポフ。フェザー級でもトップクラスに危険な2人のハードパンチを不発に終わらせたのは流石でした。ストレートからスイッチしてジャブに繋げるパンチの連携、前脚で裏から掛けるレッグトリップ等の得意技も決まっていました。一方で、3ラウンド終盤には動きが落ちてピンチに陥るシーンがありました。王者になる為には、5ラウンドの長丁場を闘い切れるカーディオが必要になると感じますね~。

 難攻不落のカンフー使いマゴメドシャリポフ。現フェザー級王者アレックス・ヴォルカノフスキーとはお互いに相性の良くない相手同士だと思います。今年は王座へ向けた挑戦に是非とも期待したいです!

 

#5 f:id:paky21:20200228220253p:plainf:id:paky21:20200120233119p:plain ダミル・イスマグロフ

Damir Ismagulov

出身: ロシア オレンブルク
年齢: 29歳
所属: ニュー・ストリーム
階級: UFCライト級

 イスマグロフはカザフスタンと隣接したロシアのオレンブルクで生まれ、カザフ族の血統を受け継ぎます。アレクサンドル・"ストーム"・シュレメンコの下で鍛え上げられた暴風のようなコンビネーションを駆使する、中央アジアを代表するUFC選手です。

 イスマグロフのルーツは「ロシアの総合格闘術」ことARB(アルミースキー・ルコパシニー・ボイ=陸軍白兵戦)です。その名の通り軍隊格闘術から発展した格闘スポーツで、散打やサンボをベースにした総合的な実践格闘術です。イスマグロフはARB出身の選手らしく、タイミングを逃さずフルスイングの強打を合わせる嗅覚の鋭さを持ちます。得意技はオーバーハンドライト、リードアッパー、ホイールキック等の振り抜く強振打撃。遠い間合いを維持しながらコンビネーションで撃ち落としを狙います。ここから先の闘いで弱点も徐々に見えてくるとは思いますが、そこをどう切り抜けるのかも楽しみですね~。

 昨年はホエル・アルバレス、チアゴ・モイゼスと対戦したイスマグロフ。ストライカー対決にしっかりと打ち勝ち、連勝できたのは素晴らしかったです。今年は故郷のカザフスタンUFCが開催され、イスマグロフにとっても名を上げる大きなチャンスです。「ストーム」の正統後継者であるカザフスタンの暴風、イスマグロフの活躍に期待したいです!

 

"ザ・パンサー(The Panther)"

#6 f:id:paky21:20200206233959p:plainf:id:paky21:20200228153747p:plain アントニーナ・シェフチェンコ

Antonina Shevchenko

出身: キルギスタン ビシュケク
年齢: 35歳
所属: タイガー・ムエタイ
階級: UFC女子フライ級

 アントニーナ・シェフチェンコは、現UFC女子フライ級王者ヴァレンチーナ・シェフチェンコのお姉さん。2人は「ムエタイ・シスターズ」と呼ばれ、姉妹揃ってUFCで活躍しています。

 「ムエタイ・シスターズ」はウクライナ人の両親の下でキルギスタンに生まれ、ペルーへ移住してムエタイ選手として活躍しました。現在はタイでMMA選手としてトレーニングを積んでいます。アントニーナとヴァレンチーナは幼い頃から唯一無二の練習パートナーであり、テコンドーをルーツにムエタイを融合させた打撃スタイルを共有しています。

 テコンドーのフットワークと多彩な蹴り技にムエタイの打撃とクリンチを混ぜ合わせた、完成度の高い「ムエタイ・シスターズ」の打撃スタイル。アントニーナは長身のフレームを活かした遠距離からの狙撃と、プラム(首相撲)からの強力なテンカウの連打を得意とします。アプチャギ(前蹴り)やヨプチャギ(サイドキック)もリーチが長いですね。一撃ごとの威力が高い一方で、小回りが利きづらい所が弱点だと感じます。

 昨年はロクサン・モダフェリに初の敗戦を喫してしまったアントニーナ。強打でモダフェリを追い詰めましたが、ケージピンからの巧みな投げや、スイープを取られてしまいました。続くルツィエ・プジロヴァ戦では、熱闘を制して裸絞めで一本勝ちしました。

 現在「ムエタイ・シスターズ」は同じ階級で試合をしている為、ヴァレンチーナが階級を上げて姉妹が二階級で王座を狙う可能性もあります。次戦は粘り強いシンティア・カルヴィーヨに対し、アントニーナの総合力が試される一戦となるでしょう!

 

"ザ・マシーン(The Machine)"

#7 f:id:paky21:20200121001053p:plain メラブ・ドヴァリシヴィリ

Merab Dvalishvili

出身: ジョージア トビリシ
年齢: 29歳
所属: セラ・ロンゴ・ファイト・チーム
階級: UFCバンタム級

 ドヴァリシヴィリは南カフカスジョージアで生まれ、MMA選手になる夢の為にアメリカ北東部へ移住したパワフルな選手です。

 「サンボ・マシーン」の異名をとるサンビストで、ジョージアの伝統武術カルトゥリ・チダオバ(砂場で行う相撲のような武術)、チルドリ(伝統的な白兵戦術)をルーツに持ちます。

 ドヴァリシヴィリはサンボをベースとした組み技の達人です。相手を軽々と持ち上げてしまうパワーと、サンビストらしいレッグトリップ(足掛け)等のテクニックを併せ持っています。相手に投げられたとしても、河津掛け等で切り返す粘り腰も魅力的ですね~。

 打撃の得意技はパワーを活かしたフックの連打、ホイールキックや回し蹴りです。裏拳のように意表を突くカウンターも使います。アグレッシブな攻撃を支えるカーディオの強さも、ドヴァリシヴィリの大きな武器であると感じます。

 昨年はブラッド・カトーナに勝利し、今年に入ってケイシー・ケニーにも勝利したドヴァリシヴィリ。優れた才能を持ったストライカー2人に真っ向勝負で競り勝ち、更なる上位陣との闘いに挑みたいところです!

 

#8 f:id:paky21:20200120233119p:plain モフサル・イヴロエフ

Movsar Evloev

出身: イングーシ共和国 スンジャ
年齢: 26歳
所属: ファイト・クラブ・ノルト / タイガー・ムエタイ
階級: UFCフェザー級

 イヴロエフは北カフカスのイングーシ共和国出身の選手です。故郷で培ったフリースタイル・レスリングと、タイへ出稽古して鍛えたムエタイを組み合わせたストライカーです。

 イヴロエフは「カーディオ・マシーン」と称されたカーディオの強さを持ちます。素早いフットワークで組み付いて押さえ込み、ムエタイ仕込みの打撃でダメージを与えます。無尽蔵のスピードと豊富な技で撹乱する、バランスの良い戦闘スタイルを構築しています。

 フリースタイル・レスラーらしく積極的に相手の脚を手繰ったり払ったりする「崩し」の強さもイヴロエフの特徴です。「相手を崩して打撃を打ち込む」ムエタイの攻め方をレスリングで補強するような闘い方が面白いです。一方でパワー勝負にはやや脆いところがあるので、決定力を増していく事に期待しています。

 イヴロエフは昨年にUFCに初出場し、チェ・スンウ、エンリケ・バルゾーラに連勝を納めました。しかし今年に入って大きな不幸がイヴロエフを襲います。タイで追突事故に遭い、裂傷が激しく暫く試合が出来なくなってしまったのです…。

 年内の復帰はもしかしたら難しいかもしれませんが…イングーシ共和国の新星イヴロエフの快復と復帰を祈って待ちたいです;(がんばれ~!泣)

 

#9f:id:paky21:20200120232003p:plainf:id:paky21:20200120233119p:plain アルマン・ツァルキャン

Arman Tsarukyan

出身: ジョージア アハルカラキ (ロシア クラスノダール) 
年齢: 23歳
所属: ハバロフスク・MMA・クラブ / タイガー・ムエタイ
階級: UFCライト級

 ツァルキャンはジョージアアルメニアン・コミュニティに生まれ、幼い頃に両親がロシアのハバロフスクへ移住してロシア国籍を得ました。ジョージアに生まれロシアで育ったアルメニア人、ツァルキャンはカフカスの獰猛なグラップラーです。

 ツァルキャンはロシアで培ったフリースタイル・レスリングと、タイで鍛えたムエタイを組み合わせます。イヴロエフと似た組み合わせ方ですが、ツァルキャンは「レスリングに持ち込む為にムエタイを使う」戦闘スタイルであると感じます。

 ツァルキャンの得意技である「片足取り」が分かりやすい例で、蹴り足を掴むムエタイの動きからシングルレッグ&ボディロックへと連携させます。レスリングの動きにムエタイの技術をシームレスに混ぜ合わせた闘い方です。一方で打撃もレスリングの「散らし」に収まらない威力があり、今後もコンビネーションを増やして欲しいですね~。

 昨年はイスラム・マハチェフに敗れてしまいましたが、白熱のレスリング・マッチは素晴らしかったです!カフカス出身の二人ががっぷり四つに組み合ったパワー溢れる試合でしたね~。オリヴィエ・オーバンマルシエ戦では、得意のレスリングを存分に発揮して競り勝ちました。

 ツァルキャンはまだまだ成長途上の選手で、これからUFCでどのように成長してくれるか楽しみです。若きアルメニアンレスラーの爆発力に期待しています!

 

#10 f:id:paky21:20200121001053p:plain ギガ・チカゼ

Giga Chikadze

出身: ジョージア トビリシ
年齢: 31歳
所属: キングスMMA
階級: UFCフェザー級

 チカゼはジョージア生まれの空手家です。4歳から極真空手をはじめ、11歳で剛柔流空手へシフト。14歳で剛柔流空手黒帯初段となり、現在は黒帯三段です。チカゼはオランダでキックボクシング選手として活躍し、MMA選手となる為にアメリカへ移住しました。

 チカゼは空手ベースの強烈な蹴り技を持ち、「チカゼ・キック」と呼ばれるボディキックが最大の武器です。スイッチしながら脛と足の甲で鞭のように蹴る技で、オーソドックス相手にはリバーショット(肝臓打ち)を狙える強烈な必殺技です。「チカゼ・キック」に加えて、内回しのカカト落としやクレーンキック(前蹴り)も駆使する技巧派ストライカーです。

 昨年にUFCへ初出場し、ブランドン・デイヴィスに勝利したチカゼ。今年はジャマール・アマーズに勝利して2連勝しています。上記の蹴り技だけでなく、デイヴィスにはジャブ、アマーズにはオーバーハンドとパンチを使い分けて優勢を取るのは流石でしたね~。TDを奪われてしまっても、フレームディフェンスやスイープで脱出できる力も見せました。スマートな闘いが魅力のチカゼには、南カフカスを代表する選手になって欲しいです!

 

  以上、ロシアとカフカス中央アジア諸国の特集でした!

  UFCにとって、ロシア大会の開催は長年の悲願だったと感じます。

 M-1 Globalとの「冷戦時代」を経て、両団体が提携を果たした事も印象的でしたね~。ロシアMMAは今、大きな歴史の転換期を迎えています。

 この革命の最大の功労者は、ハビロフ、ヌルマゴ、バガウティノフといったダゲスタン共和国出身の「UFCカフカス第一世代」たちでしょう。彼らの活躍により芽を出した新時代が、これから更にユーラシア全土へ広がってくれる事を願っています!

 

  書いているうちに2020年のUFCも4分の1が終わってしまいそうですね~;

 本シリーズは、「アフリカ編」と「中東、アジア太平洋編」を書いて完成させたいと思っています!(予告して自分にプレッシャーをかけるマン)

 最後まで頑張って書いていきますノシ