タイロン・ウッドリー(#1) vs.
ジウベルチ・バーンズ(#6)
ドゥリーニョ(ジウベルチ・バーンズのニックネーム)が前UFCウェルター級王者タイロン・ウッドリーに封殺勝ちしました!
柔術をルーツに持つMMA選手として、ドゥリーニョのUFCウェルター級王座戴冠に期待を増す一戦となりましたね~。
ドゥリーニョはUFC契約以前まで1ラウンドで連勝していたほどの短期決着を得意とするグラップラーですが、今回のウッドリー戦では5ラウンドを通して攻め続ける事ができました。
従来の試合でガス欠がみられていたドゥリーニョですが、この一戦でカーディオの進化を証明しました。王座獲得への期待値は更に上がっていきそうですね~。
ドゥリーニョは背筋を立てたまま前足の「抜き」と奥足の「蹴り込み」の推進力を使って攻める柔術家らしいグラップラーで、その動きは空手にも近しいものを感じます。
初期のドゥリーニョは圧倒的な柔術の技術とパワーで押し潰す選手でしたが、同時に荒っぽくテレフォンな動きもかなり多かった印象です。
トップクラスの磨き抜かれた強者相手にはこういう「粗さ」が致命傷になるわけですが、最近のドゥリーニョはかなり間合いの維持とフェイントが増えており、トップクラスの選手に連勝した事でその進化を証明しました。
ドゥリーニョのはもともと蹴りやパンチの威力は非常に高かったものの、間合いを維持する武器が少なかった為に押し込まれる展開が多かったように感じます。
従来の弱点を克服する為のドゥリーニョの新たな武器、それが「左スティッフジャブ」と「左リードフック」の前手による二種類のパンチです。
ウッドリー戦では左スティッフジャブで間合いを作り、ジャブに慣れさせたところで左リードフックの奇襲を仕掛ける…というコンビネーションを多用していました。
「スティッフジャブかリードフックか?」という二つの武器による「選択肢の押し付け」が成功した事で、ウッドリーにパンチを打つタイミングをブレさせ、防御へ意識を回す事に成功していたと思います。
このコンビネーションが上手く機能したことで、中断下段への意識も散漫になりました。右カーフキックや飛び膝蹴り、膝のフェイントからストレート、テイクダウン等が次々と決まり、4ラウンド以降はウッドリーは防御する事に手いっぱいになってしまっていましたね~。
ドゥリーニョ本来の持ち味であるフットワークの素早さとテイクダウンの強さ、そこに間合いを維持する打撃と多彩なコンビネーションが加わった事で、効果的に間合いをコントロールできた試合になったと感じます!
もっとも、この試合のハイライトはファーストコンタクトにあったとも思います。
ウッドリーは強いパンチの威力で遠い間合いを支配してしまう選手ですが、防戦に回ると相手の動きに反応しすぎて反撃のタイミングを逃してしまう弱点もある選手です。
ドゥリーニョが最初のパンチの交差で見事なカウンターを当てた事はその後の攻守の流れに非常に影響を与えたと思いますし、上記のコンビネーションもこの真っ向勝負に勝ったからこそ機能したともいえるでしょう。
ウッドリーはドゥリーニョがここまで打撃戦をすると想定していなかった印象がありましたね~。
ボディへのジャブ&ストレートを序盤に多く打ち込んでいたので、おそらくボディに纏めながらテイクダウンを封じ、パンチ連打で頭部を狙う感じだったのかな~と思いました。
想定以上にドゥリーニョに遠い間合いを維持されて、踏み込みを狙われ続けた結果、手が出なくなってしまったのかな、と感じます。
2ラウンド序盤など間合いが開くとウッドリーのパンチはしっかり機能していましたし、ドゥリーニョが強打を恐れずに間合いを維持し続けた故の勝利でしたね~。
今後のドゥリーニョに期待は高まりますが、一方でミドルキックやジャブに弱い一面もあるのは変わらない印象も受けます。
現ウェルター級王者カマル・ウスマンは圧力をかけながら長打を放てる選手ですし、ドゥリーニョにとっては相性的により厳しい試合になる事は予想されますね~。
UFC等のメジャーMMAで柔術ルーツの選手が王座を戴冠したのはここ数年減ってしまっていますし、ドゥリーニョには更なる進化と王座獲得に期待したいです!✨