最近いろいろ書きながらも中々記事が纏まらないので、今回は息抜きです~(笑)
サンボ(「サモオバローナ・ベズ・オロージヤ」…「徒手の護身術」の略称)はロシアMMAの根幹を成す武術のひとつで、その深層は非常に深いものがあると感じます。
この記事ではサンボの中でも「最近MMAでたくさん観るな~」と思うお気に入りの動きを、YouTubeで公開されている試合を通して紹介してみます。
今回取り上げるのはチェチェン共和国を母体とするロシアMMAの筆頭プロモーション『ACA』で今年3月に行われた二大チャンピオンシップです。どちらも最高の名勝負でしたね~(感涙)
それでは紹介ですノシ
ACA バンタム級チャンピオンシップ 5分×5ラウンド
フィリペ・フロイス(王者) vs. マゴメドラスル・ハスブラエフ(挑戦者)
祖国から遠く離れた北の大地ロシアで王座に輝いたフロイスに、CFFCレジェンド勢のベゼーハ&マカシヴィリの2人に勝利して王座挑戦のチャンスを得たマゴ・ハス。
試合は盤石なるスナイパーのフロイスvs.オーバーハンドの鉄槌を振るうマゴハスの凄まじい激闘が繰り広げられたわけですけれども、この試合の中から一つサンボの技を紹介してみます。
ザシャギヴァニエ(зашагивание)/チェア・スロー(Chair throw)
試合の2ラウンド残り時間4:06頃、動画の9:50頃にマゴハスがみせたテイクダウンです。
ヌルマゴを始めとしたカフカス戦士の試合を観ている人は良く観る動きだと思います。
日本でいう「裏投げ」にあたるこの技は、ロシア語で「ザシャギヴァニエ」または英語で「チェア・スロー」と呼ばれるサンボで使われる裏投げのバリエーション技です。
試合ではマゴハスが四つ組みから右腕でシートベルト(腕を体に巻き付けて固定する動きの事)をとり、そこから右前脚をフロイスの左膝の裏に引っ掛けることでバランスを崩して後方へと投げる事に成功しています。
特徴的なのがこの「片脚を相手の脚の裏側に踏み入れて引っ掛ける」動きで、投げる瞬間投げられる相手が投げる人の脚の上に座っているように見えるので「チェア(椅子)スロー」というわけですね~。「ザシャギヴァニエ」には「歩く(Walk)」の意味があるのですけれども、この「脚を踏み入れる」事を指しているのかな~?と感じます。
※ザシャギヴァニエ/チェア・スローについて実演して解説されている動画です。
サンボの試合ではもっと柔道の裏投げの様に思い切り反り投げる事が多いですけれども、MMAにおいては確実に相手を崩してテイクダウンを奪う為にモーションを小さくして行う事がほとんどの様に思います。
サンボ出身の人達は相手の背後に組み付くリアクリンチの状態から脚を刈ってテイクダウンを獲る動きがとても奇麗で、このザシャギヴァニエ/チェア・スローもその一つといえると感じますね~。
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ACA フェザー級チャンピオンシップ 5分×5ラウンド
ダニエル・アウメイダ(王者) vs. マゴメド・ビブラトフ(挑戦者)
フロイスに続きロシアの地で王者となり、初防衛戦ではボディへの飛び膝蹴りで有無を言わさぬKOを魅せたアウメイダ。対するはWFCAやUFCを経て祖国のACAへと凱旋したビブラトフ。
こちらもキャリア円熟期に入った両者による一進一退の鍔迫り合いが繰り広げられた名勝負となりましたね~。ラスト数秒でのビブラトフのディープハーフ・スイープには心底シビれました…(めっちゃカッコいい泣)
そんな二人の勝負からも、サンボの技を一つ紹介してみます。
オブヴィヴ(обвив)/グレープヴァイン・スロー(Grapevine throw)
2ラウンド残り時間4:03頃、動画の9:30頃にビブラトフが見せたテイクダウンです。
この動きもカフカス戦士たちは良く使っていますね~。カッコいいです。
日本でいう「河津掛け」にあたる技で、ロシア語で「オブヴィヴ」または英語で「グレープヴァイン・スロー」と呼ばれ、更に河津掛けのバリエーション技へと変化します。
試合ではビブラトフが左腕を差した四つ組みの状態から、左脚をアウメイダの右脚へと「く」の字に絡ませてから投げを放っています。この「く」の字に脚を絡ませる事から「グレープヴァイン(葡萄の蔓のように絡む)スロー」という名前で呼ばれています。「オブヴィヴ」も「絡み合う」という意味を持つ言葉ですね~。
通常、河津掛けは脚を「く」の字に絡ませた後は二人で後方へと倒れ込みますが、このオブヴィヴ/グレープヴァイン・スローは更に派生のフィニッシュとして「脚を絡ませたまま相手と正対して反り投げる」 という非常にアクロバティックな動きをみせます。
この試合においてはビブラトフが右腕でアウメイダを押し込んだ為、アウメイダのみが突き飛ばされる形になっていますが、「相手へ正対して投げる」という点においてはオブヴィヴ/グレープヴァイン・スローの要素を持っていると感じます。
※日本でも知られるユスプ・サーデュラエフによるオブヴィヴ/グレープヴァイン・スローの実演解説です!
前述のザシャギヴァニエ/チェア・スローと同様に、サンボの試合においてはオブヴィヴ/グレープヴァイン・スローも豪快に投げ飛ばしていく非常に華やかな技だと感じます。MMAにおいてはやはり実利を取る様なアレンジが加えられている事が多いように感じますね~。
サンボの動きをしっかりと幹に持ちながら、MMAとしてアジャストさせている完成度の高い動きの選手ばかりで、本当に奇麗だな~と感じます。
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というわけで、息抜きを兼ねたMMAで使われるサンボの技のちょこっと紹介でした!
MMAについて語っているとはいえ、奥深いサンボの世界の表層へちょっぴり脚をつけるのは緊張しました…;
サンボの技は他にも素敵な動きをするものがたくさんあって、技が海を渡ればこれほどまでに色が変わっていくのだな~と思いますね~。
ただ今回は「サンボの技」として紹介をしてきましたが、長い歴史の中で近しい技というのは世界中にたくさんあるでしょうし、このブログにおいては「サンボの技=私がサンボを通して知った技」くらいに思って頂けると幸いです;
ロシアMMAにおけるサンボは最も重要な要素の一つですけれども、H2H(ARB、白兵戦闘術)や散打、空手やボクシングとも融合した本当に奥深い世界だな~と痛感します。
YouTubeでいろいろな国の試合や動画を観られる昨今ですが、楽に観られるからといって動画の価値自体が軽くなったわけでは無く、むしろ一つ一つの動画を自分の意志で選べることにより、価値は高まっていっているのだな~、ということを思ったりするのでした。
いろいろ書きましたが、「ACAはYouTubeでアーカイブを配信してくれてめっちゃ嬉しいな~」という気持ちがやっぱり一番にありますね~😭
今年初めにACAのYouTubeアカウントが消えてしまった時は「⊂⌒~⊃。Д。)⊃ングオ~~~」という状態でしたけれども、徐々に動画が増えてきてくれて本当に有難いです…。
ACAだけじゃなく、いろいろと紹介していきたいですね~😊
最後にMMA観るマンの宣伝です(ダイレクトマーケティング)
ACAについてめっちゃ熱く語られている方のnote記事です!
こちらもぜひぜひ~ノシ