クロネコMMA図書館🐾

ミックスドマーシャルアーツ(MMA)という格闘スポーツについて、コラムや試合レビューを書いています。

2022.11.25 『PFL Championship 2022』シーズン王者が決定する、全6階級のチャンピオンシップの対戦カードを紹介!

 

今年も「PFL」最終章、6階級のチャンピオンを決める「PFL 10 -Championship 2022-」ニューヨークのhuluシアター(マジソン・スクエア・ガーデン)にて開催されます!!

今シーズンのリーグ出場選手は71名、その中から決勝戦に勝ち残った12名の選手が、今年を締め括るチャンピオン決定戦に臨みます🔥👑🔥

 

今年のPFLはスペインと日本の二ヶ国で「DAZN」と配信契約を結んでおり、最終章となるチャンピオンシップ大会もDAZNで放送されます~📺

アメリカでの開催時刻は11月25日(金)午後8時から、日本では11月26日(土)午前10時からとなります。

DAZNのMMAチャンネルはコチラから⇧

 

PFLのシステム&ルールについては、ブログでも書きました! ⇩コチラです📝

いや~、決勝戦まであっという間でしたね~

 

今年は日本からも工藤諒司(クドウ・リョウジ)が出場、見事なKO勝ちでベスト4に勝ち残る大活躍を魅せてくれました!

⇩こちらは工藤の準決勝、ジェンキンズ戦の対戦カード紹介です!

工藤がジェンキンズに四つ組みで拮抗できたのは素晴らしかったですね~!来年の活躍にも期待しています!

 

今年の決勝戦は、女子ライト級3連覇を狙うケイラ・ハリソン以外の11人が優勝未経験者、うち9人は初の決勝進出者という新しい顔ぶれが揃いました。

レイ・クーパーⅢ世ナタン・シュウチランス・パーマーたちPFLの顔役を押さえて栄えあるチャンピオンの座に手をかけた選手たちは、8か国から集った実力者ぞろい。

UFCを経験してセカンドチャンスを狙う選手から、PFLの新鋭で一気に大チャンスを掴んだ選手まで様々ですが、今年の締めくくりに相応しい名勝負と成ることに期待しています!✨👑✨

それでは、対戦カードの紹介です~ノシ

 

 

👑PFL 2022 ヘビー級チャンピオンシップ 5分×5ラウンド

アンテ・デリヤ(2位) vs. マテウス・シェッフェル(5位)

 
 
 
 
 
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画像:アンテ・デリヤvs.マテウス・シェッフェル

クロアチア出身のアンテ・デリヤはPFLリーグで着実に力をつけてきた常連選手で、昨年にはチャンピオンシップにも挑戦しています。3度目の挑戦となった今年は、過去最大の活躍をみせて二度目の王座挑戦権を勝ち獲りました。

対するシェッフェルは前年王者ブルーノ・カッペローザに正面から競り勝ったストライカー。今年のPFLレギュラーシーズンにてデリヤにKO負けを喫しており、シーズン最後の大一番はリベンジの舞台にもなりました。

デリヤはレギュラーシーズンから素晴らしいフィニッシュ勝ち&パフォーマンスを魅せており、良いコンディションと高いモチベーションを感じさせます。一方のシェッフェルも、上位陣のカッペローザやゴルツォフがトーナメントを欠場したことにより代役からチャンスを獲得するという、幸運も味方につけての決勝進出となりました。

 

アンテ・デリヤ ハイライト(vs. マテウス・シェッフェル戦)

マテウス・シェッフェル ハイライト(vs. ブルーノ・カッペローザ戦)

 

デリヤはキックボクシングの進化が目覚ましく、その努力が実を結ぶまであと一歩のところまできています。巨体を左右に素早く動かし、パワフルな右ストレートやパンチ連打で勝ち上がってきており、決勝戦でも一度勝っているシェッフルに同じ闘い方で勝ちを狙える完成度があります。

しかし、初戦で敗れたことはシェッフェルにも逆に修正のチャンスを生んでいます。打撃戦が長引くほどにじわじわと効いてくる左リードフック&右オーバーハンドを始め、後半戦に強いシェッフェルが前戦では打てなかったローキック等の散らしでしっかり序盤を切り抜けられれば、勝負は未知の領域に移ると感じます。

前戦を踏まえたシェッフェルが、どのようにデリヤのキックボクシングを崩そうとするのか、そこに注目して観ていきたいと思います!!

 

👑PFL 2022 ライトヘビー級チャンピオンシップ 5分×5ラウンド

ロバート・ウィルキンソン(1位) vs. オマリ・アフメドフ(2位)

 
 
 
 
 
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画像:ロバート・ウィルキンソンvs.オマリ・アフメドフ

リーグ初参戦で共に連続フィニッシュ勝ち、有無を言わさぬ決勝進出となった二人。

ウィルキンソンもアフメドフも相手をなぎ倒す右オーバーハンドの使い手です。

ウィルキンソンは軌道力に勝り、右クロスや膝蹴りで相手を撃墜させてきました。

アフメドフも四つ構えから強振パンチと寝技をバランスよく組み合わせて闘います。

 

ロバート・ウィルキンソン ハイライト(vs. ブルーシ・ソウト戦)

オマリ・アフメドフ ハイライト(vs. ヴィクトル・ペシュタ戦)

 

共にUFCを経験しているメジャーMMA選手、セカンドチャンスを掴む為の大一番です。

ウィルキンソンの方がケージを広く使って戦いたいでしょうし、同郷のウィテカーのようなヒット&アウェイと際を狙った強打で、タフなアフメドフを削っていきたいところです。フィニッシャー故に5ラウンドの長期戦でどうペース配分をするのか、そこも分かれ目になりますね。

アフメドフはスラヴ・スタイルそのままにドッシリ構えて真っ向パンチの撃ち合い&四つからTDの仕掛け合いを狙っていきたいでしょうね~。距離を詰めて消耗させていくのは定石ですが、それが盤石とまでは言い切れませんし、長丁場になれば互いにガス欠は起こり得るでしょう。

試合を観返せばアフメドフの方がより試合巧者で、ウィルキンソンは必殺の強打でその牙城を崩せるか、という一戦であると感じます。両者の制空権がぶつかり合う瞬間に注目して観ていきたいと思います!

 

👑PFL 2022 ウェルター級チャンピオンシップ 5分×5ラウンド

サディブー・シー(2位) vs. ディラノ・テイラー(5位)

 
 
 
 
 
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画像:サディブー・シーvs.ディラノ・テイラー

PFLのリーグ皆勤賞(4連続出場)のシー、4度目にして遂に念願の決勝戦に辿り着きました。

セネガル生まれのスウェーデン民選手であるシーは、ウェルター級でも規格外の長身を誇ります。ローリー・マクドナルドよりも一回り長いフレームから放つ打撃が最大の武器です。

対するテイラーは、今年から始まった若手のリーグ選抜者決定戦「PFL Challenger Series」出身の新鋭です。

ジャマイカの血統を継ぐアメリカ選手であるテイラー。「PFL Challenger Series」出身の有望な新鋭たちの多くが、残念ながら決勝に辿り着けなかったなかで唯一、テイラーは代役から決勝戦に勝ち進む大きな成果を上げました。

 

サディブー・シー ハイライト(vs. ローリー・マクドナルド戦)

ディラノ・テイラー ハイライト(vs.ローリー・マクドナルド戦)

 

シーはPFL参戦初期は長身ストライカー故に懐に潜られる弱さがありTDを獲られがちでした。しかし、今年はTDの防御能力を底上げし、加えて「下がる」フットワークを徹底して守ってきました。じっくりと距離を作り、スイッチしながら左右でジャブを突き続け、強打を狙う相手の圧力を瞬時に察知してまた「下がる」…相手の圧力を徹底的に空転させ、自身の強みであるリーチを活かした狙撃を繰り返す姿からは、シーが何よりPFL王座の獲得を渇望しているのを感じます。

テイラーはローリー・マクドナルドをも一撃で粉砕した強振の右クロスが、勝利を掴む最大の鍵となるでしょう。アウトファイトに徹するシーに一撃を撃ち込むチャンスは非常に少なく、準決勝でシーに敗れたカルロス・レアルのようにテイラーも追い切れずに時間切れになる可能性は十分にあります。しかし、5ラウンド戦をしっかりと見据え、素早い出入りで圧力をかけてチャンスを手繰り寄せれば、テイラーの優れた身体能力がシーを捕らえる可能性も見えて来るでしょう!

 

👑PFL 2022 ライト級チャンピオンシップ 5分×5ラウンド

オリヴィエ・オーバン=メルシエ(2位) vs. スティーヴィー・レイ(4位)

 
 
 
 
 
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画像:オリヴィエ・オーバン=メルシエvs.スティーヴィー・レイ

UFCで活躍した早熟の雄である2人が、PFLのセカンドチャンスに王手をかけました!

「OAM」の愛称で知られるオーバン=メルシエは、頑丈な体躯でタフネス&パワーの打撃戦を挑むゴリゴリの圧力スタイル。一方で素早い前後への移動により相手の圧力をいなし、自分のタイミングで要所でしっかりポイントを獲るヒット&アウェイの試合巧者の一面も持っています。

レイは王道のボクシング&レスリングを組み合わせるレベルチェンジMMAスタイルの使い手です。ヘッドムーブから左フックで飛び込み、同時にレベルチェンジ&ダブルレッグTDを狙う「二択を迫る」闘いを素早く貫徹できる強さを持っています。

 

オリヴィエ・オーバン=メルシエ ハイライト(vs. アレックス・マルティネス戦)

ティーヴィー・レイ ハイライト(vs. アンソニー・ペティス戦)

 

OAMは盤石も盤石、二冠王ナタン・シュウチも長身フレームのマルティネスも制空権をコントロールして左フック&ハイキックの主砲で崩すという見事な勝利で勝ち上がってきました。前年も強さを魅せつつプレーオフ進出を逃してしまっただけに、今回のチャンスへのモチベーションは高いと感じます。

しかし、レイはOAMが盤石に勝ってきた選手とは違ってサウスポーなんですよね~。OAMもサウスポーで、距離を守った戦いは「鏡合わせ」であることも上手く作用していたように感じます。もちろん構えだけで盤石を崩せるわけではないですが、レイの思い切りのよい踏み込みの左フックがOAMを捕らえることができれば、また違う波を立てられるかもしれません。

OAMにレイという、確かな実力を持ちながらもUFCでは活躍しきれなかった二人が、この大きなチャンスに辿り着いたことが、まずは非常~に嬉しいですね~。MMAで観たいものはこういうポジションの選手が世界に真価を叩きつける瞬間です!ビッグチャンスを目指した一戦に期待ですね~✨

 

👑PFL 2022 フェザー級チャンピオンシップ 5分×5ラウンド

ブレンダン・ラフネイン(4位) vs. ババ・ジェンキンズ(3位)

 
 
 
 
 
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画像:ブレンダン・ラフネインvs.ババ・ジェンキンズ

前年のベスト4、ジェンキンズが貫禄の連勝で念願の決勝戦に進出しました。

今年のジェンキンズは名将デューウィー・クーパーに師事しており、前年には観られなかった左ミドルキックや深いダブルレッグTDを織り交ぜ、堅牢なスタイルに磨きをかけて念願の王座獲得を狙います。

対するは母国ロンドンにて衝撃的な大番狂わせを魅せた、英国の新鋭ラフネイン。

ラフネインは母国で行われたトーナメント準決勝にて、昨年の準優勝者クリス・ウェイドと対戦。全局面に優れた格上のウェイドに対して、ラフネインは多彩なパンチと蹴りを織り交ぜた高速の多変打撃で迎え撃ちました。高速スイッチで的を絞らせず、ウェイドの移動を先読み右クロスを叩き込み、左カーフ&左ハイキックの波状攻撃で完勝、母国でジャイアントキリングを成し遂げてみせました。

 

ブレンダン・ラフネイン ハイライト(vs. クリス・ウェイド戦)

ババ・ジェンキンズ ハイライト(vs. 工藤諒司戦)

 

とにかくクリス・ウェイドに勝利した衝撃が未だに残るラフネイン。高速スイッチからロー&ジャブを左右に散らし、ハイキック&ストレートの主砲を撃ち込む完璧なパフォーマンスでウェイドに完封勝利してみせました。翌日にはエドワーズもウスマンに衝撃的なKO勝ちでUFC王座を戴冠、まさに8月は「イギリスMMA勝利の月」となりましたね~。

しかし、盤石さでいえばジェンキンズがやはり上でしょう。ある意味ではのらりくらり、しかし以前よりも更に曲者具合がアップした感のあるジェンキンズ。新鋭のエクソンや工藤たちの挑戦を尽く退け、最大のライバル…ウェイドを倒したラフネインの最後の挑戦を受けてたちます。

ラフネインの闘い方がどれだけジェンキンズに通用するのか。ラフネインにとっては真の証明の一戦となります。ジェンキンズ有利は動かないでしょうが、ラフネインの圧倒的な才能が爆発する輝きも求めつつ観ていきたいです!

今回のチャンピオンシップの中でも、この試合が一番ワクワクしていますね~。ラフネインは衝撃の大番狂わせを二度起こせるのか、しかしてジェンキンズが若手の輝きを封じ込めて完全勝利の旗を打ち立てるのか!「総獲り」の大一番が楽しみです!

 

👑PFL 2022 女子ライト級チャンピオンシップ 5分×5ラウンド

ケイラ・ハリソン(2位👑👑) vs. ラリッサ・パシェコ(1位)

 
 
 
 
 
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画像:ケイラ・ハリソンvs.ラリッサ・パシェコ

PFL女子ライト級二冠王ハリソンが、三連覇に大手をかけました!

PFLでプロデビューして現在まで無敗の連勝中、今年は主戦場のグラップリングのみならず、打撃戦でも主導権を握るなど確実な進化を続けています。

対するパシェコはPFLでハリソンと二度対戦していますが、いずれもハリソンが判定勝ちしています。

パシェコはPFLでハリソン以外には全勝、今年も強烈なパンチ力を武器に連続KO勝ちでリベンジの権利を得ました。

MMA選手として貫禄をつけつつあるハリソンに対し、パシェコが風穴を開けられるのか、ハリソンが無傷の三連覇を成し遂げてリベンジを退けるのかが焦点となります!

 

ケイラ・ハリソン ハイライト(vs. ケイトリン・ヤング戦)

ラリッサ・パシェコ ハイライト(vs. オレーナ・オレスニク戦)

 

MMAではまだ珍しい「女子最重量級」ライト級、他MMAプロモーションに比較対象が無いこともあり、この階級は事実上「ケイラ・ハリソン級」となっています。

今年のハリソンはPFL Challenger SeriesでIMMAFの新星ミシェル・モンタギューを強く推すなどすっかり顔役になりました。とはいえ、ハリソンがいなくなれば無くなってしまう危うい立ち位置の階級なのも事実。パシェコがそこに風穴を開けられるのかは注目ですね~。

とはいえ、圧倒的なパワーとグラップリング能力を持つハリソンの間隙を縫うのは、今のパシェコでも非常に難しいでしょう。ハリソンが「三度目の正直」を阻止して完全勝利できるか、その強さを深く探りながら観て行こうと思います!


おわりに

今年のPFLはレギュラーシーズンから得点を獲り合う大接戦となり、しかも上位陣の選手が欠場等で撤退を余儀なくされたこともあり最後まで予想困難な大混戦となりました。

1年の集大成となるこの舞台、ファイナリストたちが掴んだチャンスを開花させることが出来れば、PFLというMMAプロモーションの目指す新たな可能性を拓いてくれるでしょう。

来年のPFLはDAZNとの契約を更に発展、ヨーロッパシリーズの開催もすでに発表されています。日本での配信契約がどのようになるか、今後も注目していきたいですね~。

 

1年を費やす過酷な挑戦を選び、見事に大チャンスを掴んだ選ばれしファイナリストたちによる、今年最後の大勝負に期待していです!!!!!!