クロネコMMA図書館🐾

ミックスドマーシャルアーツ(MMA)という格闘スポーツについて、コラムや試合レビューを書いています。

2023年版 飛躍を願う10人のUFC選手たち#Ⅰ【UFCトップコンテンダー編】

2023年の「UFC」で新たな飛躍を魅せるのは一体誰なのか?

UFC王座を狙うトップコンテンダー達から、お気に入りの10人の選手を紹介します!

 

アメリカ合衆国からイギリス、アラブ首長国連邦シンガポール、そしてフランスでUFCが開催された2022年。

前半期から後半期にかけて徐々に観客席のゲートも開いていき、大歓声が聞こえる大会が増えてきました。

2023年には既にブラジルとオーストラリアでUFCが開催される予定です。パンデミックにより断念されていた中央アジアやアフリカへのUFC進出も徐々に計画されていくと期待したいですね~。

昨年はMMAが公認されたフランスで初のUFCが開催され、チェコから初のUFC王者イジー・プロハースカが誕生した素晴らしい年でもありました!✨🏟️👑✨

イギリスそしてジャマイカで共に2人目となるUFC王者リオン・エドワーズ、ブラジルの先住民族パタクソスの系譜を継ぐUFC王者アレックス・ペレイラと、栄光を掴んだ新たな系譜のチャンピオンたちが、MMAというスポーツのレベルを更に押し上げてくれたと感じます。

今年も国際色豊かに発展していくMMAを観守っていきたいですし、多くの困難がある中でも光を放つ新たな才能を観つけて行きたいと願っています😊

それでは本編です~ノシ

 

 

#Ⅰ ベラル・ムハンマド

"REMEMBER THE NAME" Belal Muhammad

出身:アメリカ合衆国パレスチナ系譜)

年齢:34歳

階級:UFCウェルター級(4位)

 
 
 
 
 
View this post on Instagram
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

A post shared by Belal Muhammad (@bullyb170)

www.instagram.com

ベラル・ムハンマドパレスチナのアル=ビーレからアメリカ合衆国イリノイ州シカゴへと移住したパレスチナ人の両親のもとに生まれたパレスチナ系譜のアメリカ人です。

「リメンバー・ザ・ネーム(名前を憶えて)」というニックネームには、派手なニックネームでは無く試合を通じて自分の名前を憶えて貰いたいという、ベラルの等身大の願いが込められているといいます。

ベラルは5ラウンドを通して途切れず動き続ける強靭なカーディオが生み出すタフネスに加え、相手の攻撃から一切の視線を外さず、攻撃を受けても即座にプレッシャーをかけて反撃する「繋ぎ目の無い」戻りの早い攻めを得意とします。

構えをスイッチさせて放つ左ジャブ&左ミドルキック、レベルチェンジして放つダブルレッグや小外掛等のテイクダウン(TD)が主な武器であり、組みを離れる際の肘打ち等、相手の「間隙を埋める」絶え間ない攻撃で競り勝つタフなMMAを敢行します。

2022年はかつてKOで敗れたヴィセンチ・ルキとの再戦に挑み、圧力ある打撃に苦しめられるもレベルチェンジTD&後半のカーディオ勝負に競り勝ちました。アブダビ大会で挑んだショーン・ブレイディー戦では、タフな打撃戦に競り勝ち右ストレート&右アッパーの連打で2RTKO勝ちしました。どちらもベラルらしい「繋ぎ目の無い」MMAの強さで競り勝った勝利でしたね~。

ベラルの「視線を外さない強さ」とは、即ち相手の打撃に終始怯まないという勝利への執念が生み出す危機回避能力です。この強さはリージョン王座を獲得した頃から変わらない魅力であり、UFCで激闘を重ねカーディオや技術の底上げがなされたことで、その地金の強さが更に活きるようになってきていると感じます。

この優れたアベレージをベラルが維持できる時間は、年齢を考えても残念ながら残り少ないでしょう。中東の系譜を継いだMMA選手、ベラルの王座挑戦への大一番をぜひ観たいと願っています!

 

#Ⅱ アマンダ・レモス

"AMANDINHA" Amanda Lemos

出身:ブラジル

年齢:35歳

階級:UFC女子ストロー級(3位)

 
 
 
 
 
View this post on Instagram
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

A post shared by Amanda lemos (@amandalemos_ufc)

www.instagram.com

アマンダ・オリヴェイラ・ジ・レモスはブラジル、ベレンのウマリザル地区の出身で、15歳からボクシングを始め、ムエタイを経てMMA選手となったストライカーです。2017年にUFCデビューするも負傷により欠場を余儀なくされ、2年後の2019年から本格的にUFCで活躍しています。

レモスはムエタイのアップライトの構えから「継ぎ足」のフットワークで俊敏に相手を攪乱し、鋭い右の蹴り技&パンチの連射を武器とする獰猛なストライカーです。

右カーフキック&飛び膝蹴りや右オーバーハンドで長距離から狙撃し、近づいてきた相手には右クロスのカウンター&追撃のパンチの連射で撃墜するという、優れた反射神経を武器に全距離で強打を撃ち込む打撃の使い手です。

2022年の初戦は前王者ジェシカ・アンドラージに挑戦するも強振フックに潜り込まれ無念のスタンディング肩固めで1R一本負け。しかし、ミシェル・ウォーターソン=ゴメスに強打からTDカウンターのギロチンチョークで2R一本勝ちすると、マリーナ・ホドリゲスを鋭いフックの連射を効かせて3RTKO勝ちしました。

レモスのMMAに完全アジャストしたムエタイは、ヒリヒリした間合いから一気に斬り込んでいくスピードのキレが鮮烈に印象に残ります。その斬れ味鋭いストライキングは勿論、長い手足を活かした投げ技やサブミッションの引き出しも魅せてくれているのは嬉しいですね~。

UFC女子軽量級で研ぎ澄まされたレモスのカウンターの刃は、果たしてUFC女子ストロー級の前王者たちをも斬り伏せるのか。アンドラージ戦の雪辱を果たす為にも、是非とも上位陣への挑戦が観たいです!

 

#Ⅲ イリア・トプリア

"EL MATADOR" Ilia Topuria

出身:ジョージアドイツ出生)/スペイン

年齢:25歳

階級:UFCフェザー級(9位)

 
 
 
 
 
View this post on Instagram
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

A post shared by El Matador (@iliatopuria)

www.instagram.com

イリア・トプリアジョージア人の両親のもと、ドイツのハレで生まれました。15歳でスペインのアリカンテへ移住し、兄アレクサンドル・トプリアと共にブラジリアン柔術を経てMMA選手となりました。ジョージアの系譜を持つスペイン人である「エル・マタドール(闘牛士)」は、二つのルーツを掲げるMMAの新世代筆頭選手です。

トプリアは彫刻の様に研ぎ澄まされた力強い体躯を誇り、強靭な腰のベースから左右の筋肉を波打つように滑らかに連動させ、拳にパワーを伝え大波の如く相手を呑み込むハードパンチの持ち主です。

全身連動からパワーを生み出す「波打ち」はグラップリングにおいても如何なく発揮されており、四つ組みからの脱出やスプロール&シットアウトのTD回避の素早さは勿論のこと、バックテイク等のポジショニングやパウンドの回転速度と威力も非常に高いです。

2022年のジェイ・ハーバート戦では左ハイキックを被弾して痛恨のダウンを喫し大ピンチを迎えるも、これを凌いで左ボディ&右オーバーハンドで2Rに大逆転KO勝ち。ブライス・ミッチェル戦では左スティッフジャブから右オーバーハンドでダウンを獲り、2R肩固めで一本勝ちしました。一昨年のライアン・ホールから様々なタイプの対戦相手にぶつかりながらも、それを乗り越えてコンテンダー入りを果たしました。

トプリアは素晴らしい原石ながらもヒヤリとさせる弱点もまだまだ多い選手。これからは今までの攻め方だけでは通じない場面も出てくるかもしれません。いよいよ上位の怪物へ挑戦する2023年は大事な一年になってくるでしょう。カフカスとヨーロッパを繋ぐ新世代のMMA選手の挑戦を観守りたいです!

 

#Ⅳ シャフカット・ラフモノフ

"NOMAD" Shavkat Rakhmonov

出身:カザフスタンウズベキスタン出生)

年齢:28歳

階級:UFCウェルター級(10位)

 
 
 
 
 
View this post on Instagram
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

A post shared by Shavkat Rahmonov (@shavkatrakhmonov94)

www.instagram.com

シャフカット・バフティエヴィッチ・ラフモノフはカザフ人の両親のもと、ウズベキスタンのシュルチで生まれた、お父さん方の小ジュズ(アルティン・バイ族)の系譜を継ぐカザフ人です。

カザフ人の帽子ティマク(Тымак)をトレードマークに被るラフモノフは、カザフスタンのコクシェタウでMMA選手となりました。現在はアメリカ合衆国で研鑽を積む、中央アジアMMA期待の新星です。

ラフモノフはルーツであるボクシングの鋭い左ジャブ&右ストレートを基盤に、後ろ廻し蹴りや四つ組みからの投げ技&サブミッションを繰り出します。

サンボや柔術仕込みの重厚なベースの圧力はそのままに、上体を竹のようにしならせボクシング×螺旋の蹴りを繰り出すという旧ソ連圏のMMAスタイル。完成された伝統のスタイルは、ラフモノフが長い手足を駆使することで更に脅威的な威力を発揮します。

2022年のカールストン・ハリス戦では四つ攻めを内股でTDして切り返すと、後ろ廻し蹴りでダウンさせてパウンド連打で1RKO勝ち。ニール・マグニー戦では四つ組みで消耗させると、小外掛を切り返してTDを獲りギロチンチョークで2R一本勝ちしました。どの局面で隙を許さない試合運びで、きっちりフィニッシュするところが見事でしたね~。

ラフモノフはリージョン時代からとにかくフレームとフィジカルの強さが目立っていた選手でしたが、まさかUFCトップ勢にも通用してしまう程とは…驚愕です。逆にいえば王道の攻め×リーチに隠されたラフモノフの「地金」をまだ誰も観ることはできておらず…今年はトップ勢への挑戦からラフモノフの真価が観られることに期待したいです!

 

#Ⅴ マネル・カペ

"STARBOY" Mnael Kape

出身:アンゴラポルトガル

年齢:29歳

階級:UFCフライ級(9位)

 
 
 
 
 
View this post on Instagram
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

A post shared by マネル・ケイプ Manel StarBoy Kape (@manelkape)

www.instagram.com

マネル・”カペ”・ペドロ・ゴメスアンゴラルアンダに生まれ、ソウル五輪に出場したボクサーのお父さんがポルトガルのチームと契約した幼年期に、一家でポルトガルリオ・ティントへと移住しました。

アンゴラ系譜のポルトガル人であるカペはサッカー少年であったと同時に、6歳からボクシング、14歳から柔術を習い、17歳のMMAデビュー当時から「プロディジオ(天才)」と謳われた新世代のMMA選手です。

カペは基盤となるオーソドックス(右構え)と鏡合わせのサウスポー(左構え)を巧みに切り替える「スイッチ」を得意とし、ジグザグ軌道のスイッチ&フットワークから放つ左右パンチの挟撃で相手を幻惑させる「両利き」のボクシングMMAの使い手です。

強靭な脚のバネを活かした縦横無尽のスイッチ&ケージカッティングで壁際の「危険地帯」へ相手を追い詰め、ストレート&アッパーの強打で動きを止めてボディと頭部へ多彩に撃ち分けるショットガンパンチの速射で仕留める…金網際のカペは父譲りのボクシング能力を爆発させるハンターと化します。

2022年のダヴィッド・ドヴォジャーク戦ではTDされてもキムラロックで見事に切り返し、ケージの「危険地帯」へドヴォジャークを追い詰めてパンチ連打でダウンさせ、右カーフキック連打で最後まで削りきって判定で完勝しました。打撃をダッキングで回避して、プレッシャーを間断なくかける丁寧さが加わったのが素晴らしかったですね~。

2016年にプロスペクトとしてカペを紹介してから7年が経ちました。書いた当時に気になっていた長期欠場の理由…カペは生まれ祖国のアンゴラマラリアに侵され、病の苦しみと闘っていたのだそうです…。大きすぎる苦難を乗り越え、カペがリージョンでの奮闘からMMA選手として逞しく復活してくれたことは本当に嬉しいです😭

本年はいよいよトップコンテンダーへの挑戦を迎える大事な一年、二つの祖国に初のUFC王座を齎さんとするカペの熱い挑戦を観届けたいです!!

 

#Ⅵ リッキー・シモン

Ricky Simón

出身:アメリカ合衆国メキシコ系譜)

年齢:30歳

階級:UFCバンタム級(10位)

 
 
 
 
 
View this post on Instagram
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

A post shared by Ricky Simon (@rickysimonufc)

www.instagram.com

リッキー・シモンはメキシコ移民の両親のもと、アメリカ合衆国オレゴン州ペンドルトンで生まれたメキシコ系譜のアメリカ人です。四人兄弟の次男で、背中に「SIMŌN」のタトゥーを父兄弟の一族で刻んでいます。

シモンは9歳から始めたレスリングで目覚ましい才能を発揮するも、高校時代の負傷により大学レスリングを諦めざるを得なかったといいます。しかし、シモンは友人の練習に付き合う中でMMAと出会い、MMA選手としての新たな才能を開花させました。

シモンはレスリングで培われた分厚い上半身を活かした圧力の強さに、軽量級離れした両腕の膂力が生み出すパワーショットとTDコントロールを組み合わせたアグレッシブな攻めで試合の主導権を掌握します。

強靭な「筋肉の壁」は本来の肉体以上の圧力を生み出し、天性の強肩が生み出す驚異のパワーで相手のTD&ボトムコントロールを完全遮断します。相手をケージに追い詰め、左ジャブから必殺の右フックの大砲を炸裂させてKOを狙う、一点突破のダイナマイトの様な爆発力を生み出せるのがシモン最大の魅力です。

2022年のジャック・ショアー戦では1Rにリーチを活かしたショアーのワンツーに苦しめられるも、2RにショアーのTDを驚異の膂力で尽く完封し、ショアーのリズムが狂い始めたところに強振の右フックを叩き込みダウンを奪い、最後は肩固めで2R逆転一本勝ちを極めました。両腕が生み出す天賦のパワーで相手の磁場を狂わせる、シモンらしさ全開の快勝でした!

シモンは裏拳や廻し蹴り等の器用な技もたくさん持っているのですけれども、体格的に不利なバンタム級では、逆に天性のパワーを活かした一点突破のボクシング&レスリンMMAを磨き上げていく姿も観てみたいな~と感じています。連勝を重ねて這い上がってきたシモン、上位コンテンダーに挑戦する勝負の年となることに期待しています!

 

#Ⅶ ローマン・ドリゼ

"THE CAUCASIAN" Roman Dolidze

出身:ジョージアウクライナに過去在住)

年齢:34歳

階級:UFCミドル級(8位)

 
 
 
 
 
View this post on Instagram
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

A post shared by UFC Roman Dolidze (@romandolidze)

www.instagram.com

ローマン・ノダロヴィッチ・ドリゼジョージア人の両親のもとバトゥミに生まれました。ドリゼは幼少から聖アンドリア神学校に通い、20歳の時にウクライナオデッサ国立大学法学部に留学しました。

留学先のオデッサではじめて柔道やコンバットサンボに出会うと、独学から才能を開花させてADCC世界選手権にも出場しました。ドリゼは28歳でMMAデビューから快進撃を続ける遅咲きの大器です。

ドリゼは聳え立つ巨躯と広い四肢体幹の可動域を併せ持ち、優れた体幹能力を活かしたボディロック&テイクダウンにより、相手の体力を奪ってコントロールする力に長けています。加えて長い手足を活かした打撃とサブミッションは予測を超えた伸びと慣性を生み、衝撃的なフィニッシュを生んできました。

四つ組みの距離からのショートパンチ、左ハイキックのフェイントから放つ裏拳など、組みの「際」を狙ったアクロバティックな打撃を貫通させてしまう身体のしなやかさはドリゼの特筆すべき魅力であり、長身を巧みに駆使するボトムガードから攻めるサブミッションもまた独創的な魅力に溢れています。

2022年はカイル・ドーカウスを四つから右フックでダウンさせ、背後からボディロックで押さえると頭へ膝蹴りを叩き込んで衝撃1RKO勝ちしました。続くフィル・ホーズ戦ではボトムガードから膝十字&トゥホールドで右脚を痛めつけ、踏ん張りの効かないホーズを逃さず1RKO勝ち。

ジャック・ヘルマンソン戦では1Rに腕十字からペンデュラムスイープで豪快に脱出すると、2Rには腕十字から後ろ三角絞め、相手の足首を4の字で固める「ベアートラップ(トラバサミ)」からカーフスライサーで鮮やかに捕獲してTKO勝ちしました!

天賦の巨躯から繰り出すダイナミックな打撃&サブミッションで3連勝しコンテンダー入りを果たしたドリゼ。大一番でボトムから離れ業を極めてみせたセンスとフィジカルは驚愕の一言です。今年はトップ勢にこの快進撃を止められてしまうのか、それすら貫通して王座に辿り着くのか、大いに注目です!

 

#Ⅷ セルゲイ・スピヴァック

"POLAR BEAR" Serghei Spivak

出身:モルドバウクライナロシア系譜)

年齢:27歳

階級:UFCヘビー級(12位)

 
 
 
 
 
View this post on Instagram
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

A post shared by 𝐒𝐄𝐑𝐆𝐄𝐘 𝐒𝐏𝐈𝐕𝐀𝐊 (@polar_bear_ft_official)

www.instagram.com

セルゲイ・スピヴァックウクライナ人のお父さんとロシア人のお母さんのもと、モルドバのキシナウに生まれました。三つの東スラブ国の系譜から「スラヴ人」の血統を継いだ「北極熊」スピヴァックは、お父さんの影響でヒョードル・エメリヤネンコに憧れ、幼少期から柔術と柔道、コンバットサンボ、ボクシングの鍛錬を積み上げてきたスラヴMMAの新星です。

スピヴァックはコンバットサンボ仕込みのフック連打で間合いを詰め、四つ組みの「崩し」から鮮やかにテイクダウンを奪う柔道技の名手です。四つから変化する双手刈(ダブルレッグ)は勿論のこと、ボディロックの崩しから払腰や内股、小外掛と多彩な技を仕掛けます。

強靭な重量級選手たちを慣性に乗せて軽やかに宙に浮かせる、パワーとテクニックが合わさったスピヴァックの投げ技は技巧的な魅力に満ちています。鮮やかな投げ技を支える「崩し」を生み出す両腕のパワーも魅力で、寝技の押さえ込みでは強力なクロー(差し腕)で相手を押さえ込み、パウンドの雨を降らせてKOを狙います。

2022年のグレッグ・ハーディー戦では四つから内股で崩し体落でTDすると、脱出を許さず後から二枚蹴りで再びTDしてマットリターンに成功、最後は左腕を差してかち上げマウントを奪い1RKOで完勝しました。アウグスト・サカイ戦では大外掛に払腰、払巻込と1Rから投げ技のオンパレードを魅せ、2Rにもシングルから吊上げ、豪快に大外刈を決めてTKO勝ちしました。

スピヴァックの投げ技はとにかく鮮やかで、思わず「理合い~!😍」っと唸ってしまう合理的で技巧的な魅力に満ちていますね~。一撃の怖さが段違いなヘビー級ゆえ、どうしても「リーチ×強打」の相手に本領発揮の前に光を消されてしまう事もありますけれども、確実に成長をみせるヘビー級の業師を、今年も応援していきたいです!

 

#Ⅸ エリン・ブランチフィールド

"COLD BLOODED" Erin Blanchfield

出身:アメリカ合衆国

年齢:23歳

階級:UFC女子フライ級(10位)

 
 
 
 
 
View this post on Instagram
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

A post shared by Erin Blanchfield (@blanchfield_mma)

www.instagram.com

エリン・アン・ブランチフィールドアメリカ合衆国ニュージャージー州エルムウッドパークで生まれました。お母さんによって7歳からブラジリアン柔術の道場に入門し、冷静な試合運びでお父さんから「コールドブラッド(冷血)」のニックネームを授りました。

ヘンゾ・グレイシー柔術の系譜に連なる黒帯保持者で、巨匠ジョン・ダナハーにサブミッションを師事しました。紫帯時代に18歳でエディ・ブラボーのEBI女子フライ級トーナメントを制覇したMMAグラップリング界の新星です。

ブランチフィールドは幼少の頃から鍛え上げ、研ぎ澄まされた高速グラップリングの使い手です。寝技はブランチフィールドの庭であり、一度TDを奪えば瞬時に相手の自由を奪い、強靭な四肢を駆使したサブミッションで一本を狙う狩人と化します。

ポジショニング&コントロールの力、サブミッション&ディフェンスの力、共に女子MMAでも屈指の実力です。特筆すべきは自在に動く両脚による「サンカク(4字フック)」で、どのポジションからも相手を素早く捕獲し、パウンドや腕十字へと連携させることができます。

2022年はJJ・アルドリッチに長打を浴びて苦戦するも、立ったままハイエルボー・ギロチンチョークを極めて逆転一本勝ち。コーリー・マッキャン戦では左ジャブ連打からダブルレッグTDを決め、得意の「サンカク」でクルフィックスに捕縛し肘の雨を降らせると、最後はキムラロックで一本勝ちしました。

UFC女子においても卓越したグラップリングを魅せるブランチフィールドは、それでもまだまだトップ勢に比べて弱点も多いです。しかし、マッキャン戦で積極的に前に出てTDを獲るなど、短期間でグイグイ伸びる若さがあるのが魅力ですね~。今年も唯一無二の寝技を活かすMMAスタイルを模索して頑張って欲しいです!

 

#Ⅹ ドリュー・ドーバー

Drew Dober

出身:アメリカ合衆国

年齢:34歳

階級:UFCライト級(14位)

 
 
 
 
 
View this post on Instagram
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

A post shared by Drew Dober (@drewdober)

www.instagram.com

アンドリュー・マーティン・"ドリュー"・ドーバーアメリカ合衆国ネブラスカ州オマハに生まれ、シングルマザーのお母さんと5人の異母兄弟たちと幼少期を過ごしました。幼少期のドーバージャン=クロード・ヴァン・ダムのアクション映画やドラゴンボールZ等のアニメを通じて武道に興味を持ち、空手やカンフーを習っていました。

ドーバーが14歳で初めてUFCを観たとき、選手が互いに技術を出し合うチェスの様な美しさを感じてMMA選手を志したといいます。ドーバーはその年からムエタイを習い始め、中高校ではレスリングを、その後に柔術を習得してMMA選手となりました。

ドーバーは右ジャブとステップから一気に飛び込み左フックと左廻し蹴りを撃ち込むサウスポーのキックボクシングの使い手です。レスリングや柔術で培われた強靭なベースを活かした圧力の強さで相手を後退させ、ケージに磔にしてヒット&アウェイの銃撃戦に巻き込んでいきます。

ドーバーのアグレッシブな攻撃は一見リスク度外視の無謀な闘いですが、その実は広い視野と緻密な技術に裏打ちされた「拳のチェスゲーム」です。ドーバーの攻撃は常にリズムや照準を変えて撃ち分けられ、ハイペースなヘッドスリップ&フェイントで間断なく圧力をかけ続け、相手に思考や休む暇を与えず「銃撃戦」に相手を捕らえ続けます。

 

2022年はプロスペクト筆頭のテレンス・マッキニーに開始早々ダウンを奪われピンチに陥るも、これを耐え抜き膝蹴りでダウンを奪い返して1R逆転KO勝ち。ハファエル・アウヴィスの徹底したアウトボクシングや挑発に対しても一切ブレず、左フックでレバーを撃ち抜き2RKO勝ち。

ボビー・グリーンのカウンターを何発受けても圧力をかけ続け、左フックで追い詰めて2RKO勝ち。癖のある難敵たちに一切ブレない攻めで3連勝してコンテンダー入りを果たしました!

MMAで侵してはならない最大のリスク、それは「自分から攻められなくなる」ことです。そしてMMAの評価基準とは「効果的」な「攻撃性」があることです。ドーバーは最大のリスクを封じる為、ダメージを負うことを恐れず「拳のチェス」を遂行できる、そんなMMA選手としての在り方がとても魅力的な選手です。ちょっと王座を諦め気味なドーバーですけれども、今年もまだまだアツい試合をUFCで魅せて貰いたいです!

 

## おわりに

というわけで、今回は10人のUFCトップコンテンダー達を紹介しました!

今回紹介できたUFC選手達は勿論のこと、今まで紹介してきたお気に入り選手たちもどんどん活躍していって欲しいですね~。

MMAへの理解が書くたびに深まっていくと共に、まだまだ理解が及んでいない所がたくさんある事にも気付かされます。

観ることで発見したことを、今年も書いていけたらな~と願っています!

2023年のUFCも楽しんでいきましょ~!✨👑✨