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ミックスドマーシャルアーツ(MMA)という格闘スポーツについて、コラムや試合レビューを書いています。

2023年版 飛躍を願う12人のUFC選手たち #Ⅱ【UFCプロスペクト編】

2023年の「UFC」で新たな飛躍を魅せるのは一体誰なのか?

第1回ではUFCランキング入りを果たし、👑王座奪取を狙い鎬を削るトップコンテンダーたち10人を紹介しました!

theanswer.hatenablog.com

 

第2回では、今年にUFCランキング入りを達成し、トップコンテンダーに新たな風を巻き起こして欲しいお気に入りの🌟新星たち12人を紹介していきます~!

 

今年、UFCはついに創立30周年を迎えます。

2001年4月に統一ルールが公認され「MMA」が誕生してから20年以上が経ち、MMAというスポーツを志す新たな才能たちも非常に国際的かつ多様になっていると感じます。

UFCの頂点を目指さんとする新たなる才能たち、次代のMMAの発展を担うプロスペクトたちを、今年も全力で応援していきたいと思っています!!

 

それでは紹介ですノシ

 

#1 イード=ヨクブ・カフラモノフ

Said-Yokub Kakhramonov

出身:ウズベキスタンアメリカ合衆国在住)

年齢:27歳

階級:UFCバンタム級

 
 
 
 
 
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イード=ヨクブ・カフラモノフは、サマルカンド生まれのウズベキスタン人です。幼少期からコンバットサンボや柔道、柔術を経験しており、グラップリングの強さと重い打撃を持ち味とする中央アジアMMA期待の新鋭です!

カフラモノフは青年期に移住したアメリカ合衆国MMA選手として活躍し、メジャー契約を臨みますがなかなかチャンスを掴み切れず…故郷のウズベキスタンに一旦帰郷し休暇をとっていた折にUFCから代役の打診を受けました。大会4日前の直前オファーながらカフラモノフは即決しウズベキスタンを経ち、UFC本契約を勝ち取りました。

カフラモノフの一番の魅力は、サンボや柔道仕込みの「左組み(左四つ)」の力強さです。左ウィザー(小手巻き)などでガッチリと左を差してコントロールすると、体落や内股で投げてテイクダウン(TD)を獲ります。「左組み」は相手のTDを防ぐ力も強く、そこからギロチンチョーク等のカウンターにも繋げるなど連携も得意ですね~。

打撃戦でも圧力をガンガンかけ続けるアグレッシブな攻めが目を見張ります。得意な打撃は右フックと右ミドルキックで、左リードフックも四つのフェイントも混ぜて効果的に撃ち込みます。ダブルレッグTDやシートベルト*1&ライディングで押さえ込むレスリング力の向上も目覚ましく、着々と「サンボ&柔道」から「MMAグラップリング」へと進化を遂げてきていると感じます!


2022年はロニー・ローレンスを得意の「左組み」で崩し、体落で豪快に投げて主導権を握ると、打撃戦でも右オーバーハンドで優勢を獲って完勝しました。サイード・ヌルマゴメドフにも左リードフックやダブルレッグTDを決めて試合を優勢に進めましたが、2R終盤にギロチンチョークで切り返され無念の逆転一本負けを喫しました。

トップコンテンダー入りを懸けたヌルマゴメドフ戦に敗れてしまったカフラモノフですが、その内容で実力を証明したと感じます。まだまだアグレッシブな攻め方にはヒヤヒヤする弱点もあるものの、毎試合ごとに着実に経験を積んでいる今後の成長が楽しみな逸材であると感じますね~。

2023年もカフラモノフの持ち前であるスピード&パワーを活かした攻めで、トップコンテンダーの壁を打ち破るべく挑戦していって欲しいです!

 

#2 カイオ・ボハーリョ

"THE NATURAL" Caio Borralho

出身:ブラジル

年齢:29歳

階級:UFCミドル級

 
 
 
 
 
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カイオ・ボハーリョサン・ルイス生まれのブラジル人です。6歳のとき、お母さんに勧められて入門した柔道に心酔し、柔道の寝技で負けたことで18歳からブラジリアン柔術を習い始めました。その後、自分の力を試すためにMMA選手になったといいます。

ニックネームの「ザ・ナチュラル(自然)」とは、「闘いとは私にとって自然なものである」というボハーリョの信条に由来します。首に「FREE SPIRIT」、左胸に「柔道」のタトゥーを刻む南米のニューフェイスです。

ボハーリョはムエタイの強打と空手の運足とを組み合わせたキックボクシングの使い手です。サウスポーの構えから、柔術&柔道で鍛え上げられた分厚いボディを叩きつけるように放たれる左ストレートと左廻し蹴り(左ハイ&ミドルキック)は非常に突貫力がありますね~!

ボハーリョの打撃の魅力は、空手の運足である「寄り足(送り足)」や「継ぎ足」で一気に間合いを詰めて様々な強打を放てるところです。「寄り足」で踏み込んでの左ストレート、「継ぎ足」で右軸足をセットしての左廻し蹴り(左ミドルキック)も強力ですが、更にそれらをフェイントに前方へ跳躍して飛び膝蹴りや右リーピングフック*2を叩き込むのが非常に強力です。加えてレベルチェンジ&ダブルレッグTDに繋げるのも上手いですね~!

2022年はオマリ・オマールガジエフにアルメン・ペトロシャン、マフムート・ムラドフと3連戦して3連勝。どの試合も素早いフットワークで相手に「影を踏ませない」闘い方で見事に競り勝ちました!

ボハーリョは強力な打撃のために、逆に寝技がベールに包まれていましたけれども、オマールガジエフにスイープや四の字バックテイクを決め、ムラドフにもギロチンチョークからスイープを成功させるなど、寝技の強さも観ることができたのが嬉しかったですね~。

2023年はトップコンテンダー入りを懸けた試合が観たいボハーリョ。パワフルな打撃と寝技を武器に、ミドル級の強豪たちにガンガン挑戦していって欲しいです!

 

#3 ジャック・デラ・マダレーナ

Jack Della Maddalena

出身:オーストラリア

年齢:26歳

階級:UFCウェルター

 
 
 
 
 
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ジャコモ・"ジャック"・デラ・マダレーナ西オーストラリア州パース生まれのオーストラリア人です。幼い頃からお兄さんと「格闘ごっこ」に明け暮れ、14歳からボクシングを習い始めました。ヴァンダレイ・シウヴァの動画を観たことでMMA選手になることを志し、16歳から練習を初めて豪州MMAの新星へと成長しました。

マダレーナは純正のボクシングMMAの使い手、冴えわたるパンチのコンビネーションでKOを狙うアグレッシブなストライカーです。パンチを見切るディフェンス能力も高く、金網際に追い詰めたときのラッシュも、相手が反撃してきたときのカウンターも、どちらも高い破壊力を持ちます。

マダレーナの一番の魅力は「右パンチ」の突出した貫通力ですね~。ボクサーとしては右利きなのかな?と感じます。サウスポー(左構え)では右ジャブ、オーソドックス(右構え)では右オーバーハンド、どちらの構えでも突出した伸びをみせるハンマーパンチは素晴らしい威力です。左ストレートからの切り返しで撃ち込む右リードフックも、相手を死角から撃ち抜くマダレーナ必殺の一撃です!


2022年のUFCにてピート・ロドリゲスを右ジャブから左クロスのカウンターで1RKO勝ちすると、ラマザン・エミエフには左ボディから右オーバーハンドで側頭部を撃ち抜いて1RKO勝ち。ダニー・ロバーツにも左ストレートから右ボディフックでダウンさせて1RKO勝ちしました。UFCデビューから3連続1RKO勝ちして強烈なインパクトを残しました!

特に衝撃的だったのがラマザン・エミエフ戦で、エミエフに極めれたアナコンダチョークを耐え切って、右オーバーハンド一発でタフなエミエフをダウンさせたことです。DWSCでも肩固めから脱出していて、このアンチョ―カブル*3さの真価は如何ばかりか?というのも気になりますね~。

2022年にはコンテンダー入りを狙っていきたいマダレーナですが、地元オーストラリア大会で難敵ランディー・ブラウン戦が決定しています。果たしてフレームの大きい曲者ブラウンに、マダレーナは今まで通りの強さを魅せられるでしょうか!(がんばれ~!)

 

#4 エドメン・シャバジャン

"THE GOLDEN BOY" Edmen Shahbazyan

出身:アメリカ合衆国アルメニア系譜)

年齢:25歳

階級:UFCミドル級

 
 
 
 
 
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エドメン・シャバジャンアルメニア人の両親のもと、アメリカ合衆国カリフォルニア州グレンデール生まれのアルメニア系譜のアメリカ人です。

シャバジャンは幼少から松濤館空手を習い、高校ではレスリングを習得してMMA選手となりました。ニックネームの「ゴールデンボーイ」はアマチュアボクシング時代にコーチから授けられ、その名のとおりの躍進を経て当時最年少の21歳でUFC契約を勝ち取りました。

シャバジャンは松濤館空手をルーツとするストライカーで、右ストレート(逆突き)や右廻し蹴り(ハイ&ミドルキック)、右三日月蹴りに左リードのハイキック等、素早い運足から鋭い打撃で相手を射抜く長距離狙撃の使い手です。

シャバジャンの一番の魅力は、やはり空手仕込みの滑らかな運足、とりわけ「寄り足(送り足)」による間合いのコントロールの上手さです。寄り足でステルス機のように相手に悟られず半歩間合いを近づいた、瞬時に半歩下がって左リードフックのカウンターを撃ち込んだり…さらに運足をフェイントとしてミドルキックや飛び膝蹴りにも繋げていますね~。(華麗です!✨)

2022年はダルチャ・ルンギアムブラに対し慎重に間合いをコントロールし、攻防の中でガス欠してきた隙を逃さずに跳び膝蹴りと右ストレートを叩き込んで見事KO勝ちしました。3連敗という苦しい状況から見事に脱出しましたね~!

シャバジャンは優れた才能を持っていますが、正直にいうと過去のUFCトップコンテンダー入りは「上手くいきすぎ」てしまったと思います。しかし、コンテンダーから陥落する挫折を経て、優れた才能にようやく身体と精神の成長が追いついてきてくれたと感じます。

若くして注目され過ぎた選手が大いなる挫折を経験したとき、そこから再び這い上がることは本当に至難の道です。しかし、早熟すぎた才能が豊穣を迎える瞬間をぜひ観てみたい…一回り成長を遂げたシャバジャンの逆転ホームランに期待しています!

 

#5 マイケル・モラレス

Michael Morales

出身:エクアドルメキシコ在住)

年齢:22歳

階級:UFCウェルター

 
 
 
 
 
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マイケル・モラレス・ウルタドは黒帯柔道家の両親のもとでエル・オロ県パサヘに生まれたエクアドル人です。モラレスの両親、特に柔道国際審判員のお母さんの影響で5歳から柔道を習い始め、10歳からはオリンピックを目指しレスリングに没頭しました。15歳のときにMMAに魅せられ、お母さんの反対を押し切りMMA選手になったモラレスは、快進撃を続ける南アメリカMMAの新星です。

モラレスの一番の魅力は圧倒的なパンチ力。リーチの長い腕にかなりの強肩が備わっており、加えて本人のカウンターのタイミングも抜群です。とにかく予想を超えた角度、予想を超えた速さで振り抜かれる右パンチの爆発力はインパクト大でしたね~!

モラレスのスタイル自体はムエタイと柔道&レスリングの基本形という感じなのですけれども、攻め方がかなり独特です。いきなり金網を蹴ってスーパーマンパンチで躍動的に攻めたかと思えば、距離を取ってジーっと警戒してみたり…まさに「野性的」という感じの捉えどころの無さにハラハラしますが、そこが同時に魅力的にも感じます😊

2022年にUFCデビューすると、トレヴィン・ジャイルズにいきなり右ストレートと肩固めを喰らいあわや一本負けのピンチを迎えますが、これをスイープした返すとジャイルズの接近時に右クロスのカウンター&追撃の右ストレートで吹き飛ばして逆転1RKO勝ち。アダム・フュギットにも相打ち上等の左ジャブ&右クロスでダウンさせて3RKO勝ちしました。

モラレスは2022年のUFCで最も衝撃を受けたプロスペクトです。単純にポテンシャルの怪物性だけでいえば、今回紹介している12人の中でもピカ一ではないかと思います。ただ、まだまだ勢い任せすぎて強い相手にはあっさり敗けちゃいそうなフワフワ感もありますね~💦

しかし、怪物性とセンスの塊だからこそ開花する瞬間を観たいです。モラレスには今の個性を消さず、MMAスタイルを完全昇華させてほしいですね~!

 

#6 カルロス・アルバーグ

"BLACK JAG" Carlos Ulberg

出身:ニュージーランドサモアマオリドイツ系譜)

年齢:32歳

階級:UFCライトヘビー級

 
 
 
 
 
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カルロス・サオ・マリー・アルバーグサモアマオリ、そしてドイツの系譜を持つ両親のもとに生まれ、南オークランドのファミリーホームで育ったニュージーランド人です。幼少からラグビー選手を目指していましたが、ボクシングの試合に出場したことをきっかけにキックボクシング選手として活躍、その後MMAへと転向したポリネシアMMA選手です。

アルバーグはMMAの立技を席捲する「空手×ムエタイ」を融合させた最新式のMMAストライカーです。空手の「四股立ち」の構えから素早いフットワークで攪乱し、強烈な右廻し蹴り(ミドル&ローキック)を基盤に、蹴りのフェイントから放つ右ストレートや左フックで相手を迎撃します。加えてムエタイの「アップライト」に切り替え縦蹴りや膝蹴りを放つ等、二つの構えをギアチェンジする優れた技巧を魅せています。

アルバーグの一番魅力的な打撃は「左チェックフック」で、代名詞とも言える強烈な一発ですね~。「長身リーチ×運足」で作った広い制空権に相手が踏み込んで来たとき、空手の「開き足(ダイヤモンドステップ)」で左右へ瞬時にポジションを切り替えて放たれるカウンターの一撃です。

2022年はファビオ・シェラントにリーチ差を活かした打撃と四つからのテイクダウンで競り勝ち判定勝利。タフォン・ンチュクウィに左スティッフジャブから連撃で1RKO勝ちすると、ネグメレアーヌ・ニコラエにも左スティッフジャブからの左チェックフックで華麗に1RKO勝ちしました。

なんといっても左スティッフジャブ(刻み突き)を効果的に効かせていたのが素晴らしいスタイルの進化であったと思いますね~!特にネグメレアーヌ戦で魅せた、左スティッフジャブの撃ち終わりに瞬時に下がり放ったカウンターは美しい離れ業でした!

アルバーグがリーチを効かせ、強引に倒さず削って倒すMMAへと着実に進化していっているのは今後が楽しみですね~。やや年齢的に遅咲きのアルバーグですけれども、進化を止めずにMMAストライカーの最新到達点を魅せられる選手になっていって欲しいです!

 

#7 ナターリア・シウヴァ

Natália Silva

出身:ブラジル

年齢:25歳

階級:UFC女子フライ級

 
 
 
 
 
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ナターリア・ミランダ・クリスティーナ・シウヴァはピンゴ・ダグア生まれのブラジル人です。幼少期にソーシャルプログラムの一環として友人と習い始めたテコンドーに没頭し、16歳でMMAと出会いました。現在はブラジリアン柔術も習得し、日々成長を続けている南米女子MMA界の新星です。

シウヴァはテコンドーのL字構えから鮮やかなフットワーク&蹴り技で攻めるMMAストライカーです。継ぎ足から繰り出す左廻し蹴り(左ハイ&ミドルキック)や後ろ廻し蹴りが得意技であり、テコンドースタイルの弱点になりがちなパンチの攻防においても、優れた強肩から放つフック連打で制空権への侵入を容易には許しません。

組み技も左組みからの柔道技が冴えるシウヴァ。強靭な腰のベースと柔軟な筋肉の伸展により、相手のTDを受け流して逆に内股や払腰で華麗に切り返してTDを奪っています。寝技でも左組みの強さがブラジリアン柔術に活かされており、左組み×ヒップバンプでスイープに成功したり、腕十字を極めたりと、ボトムから反撃する力も魅力ですね~。

2022年にUFCデビューすると、ジャスミン・ジャスダヴィシウスの組みを耐えて左組みから内股&払腰で切り返してTDし、左の蹴りを駆使して判定勝ち。テレザ・ブレダの四つ組みも凌ぐとフック連打で果敢に攻め、最後はレベルチェンジに合わせたカウンターの右廻し蹴りを炸裂させる衝撃的なフィニッシュで3RKO勝ちしました。

UFC史上でも珍しいホイールキック(回転蹴り)によるTDカウンターのKO勝ちでインパクトを残したシウヴァ。打撃の一発だけでなく四つ組みの強さ、テコンドーの弱点を補強するようなムエタイの肘やパンチというMMAとしての技巧も魅力的ですね~✨

コンテンダー入りにはまだ火力が足りない?かもしれませんけれども、シウヴァには女子MMA期待の星として、UFCで一回りも二回りも進化していく姿が観たいですね!

 

#8 フランシス・マーシャル

"THE FIRE" Francis Marshall

出身:アメリカ合衆国

年齢:23歳

階級:UFCフェザー級

 
 
 
 
 
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フランシス・マーシャルアメリカ合衆国ニュージャージー州生まれのアメリカ人です。13歳でアメリカンフットボールの傍らに始めたブラジリアン柔術で才能をみせ、中学と高校レスリングを習熟、アマチュアで5連勝した後にMMA選手となりました。

ニックネームの「ファイア(火)」とはマーシャルが消防士であることに由来します。優れたグラップリングの下地にボクシングを融合させたアメリカ伝統のMMAスタイルで、23歳の若さでUFCデビューを勝ち獲りました。

マーシャルは若さ溢れるフィジカルの強さで圧力をかけ続け、左ジャブ&右ストレートのコンビネーションでKOを狙う王道でアグレッシブな攻めをみせます。まだまだ粗削りでパンチの被弾も多いですが、相手を休ませないカーディオ勝負に持ち込むタフさと相手のパンチを潜って放つ右クロスの強打の威力はとても魅力です。

組み技もダブルレッグ&ボディロックに組んでTDを狙う直球のレスリングスタイル。右ストレート&右フックの強打と瞬時からレスリングへ繋げられるレベルチェンジの連結も速いですね~。若さゆえに技術やフィジカルは発展途上ながら、とにかく若さとカーディオの持続力が生む速攻力がお気に入りです。

2022年にUFCデビューすると、マルセロ・ロッホに序盤からアグレッシブなボクシング勝負を挑んだマーシャル。ロッホの打撃を被弾しながらも前に攻め続け、2Rにダッキングで懐に潜り込むと右クロスを炸裂させてKO勝ちしました。

MMAに最も必要である強いカーディオを装填している若きパワーマシンであるマーシャル。ダメージの多い攻め方をしている為に不安要素も多く、これから負けも経験してしまうでしょう。しかし、UFCの鉄火場で「ファイア」が鍛え上げられ、強く逞しい鋼へと成長してくれることに期待しています!

 

#9 平良達郎/タイラ・タツロウ

Tatsuro Taira

出身:日本

年齢:22歳

階級:UFCフライ級

 
 
 
 
 
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平良達郎/タイラ・タツロウ沖縄県那覇市生まれの日本人です。幼少から野球を習うも中学時代に引退、15歳の高校1年生になった際、お兄さんに誘われて入門した道場でMMAに魅せられたといいます。アマチュアから経験を積んでMMA選手になり、優れた才能を発揮し躍進をつづける東アジアMMAの新星です。

平良は長いリーチを活かした右ストレートや廻し蹴り(右ミドル&ローキック)による長距離狙撃と、相手に巻き付きシートベルト(襷掛け)や4の字バックで大蛇のように極める抜群のサブミッションを誇る長身グラップラーです。

平良は最短距離を走る右ストレートの貫通力を持ち、寝技では相手を厳重な「二重ロック」で脱出不能に陥れます。4の字バックの際は足首で片膝を同時にロックし、シートベルトの際にも相手の手首を掴みコントロール…フィニッシュへの基本となる道筋をミスなく辿れる徹底した完遂力が平良の一番の魅力ですね~。

2022年にUFCデビューすると、カルロス・キャンデラリオから右ストレートでダウンを奪い、寝技戦で4の字バック&マウントを獲って競り勝ちます。CJ・ヴェルガラ戦ではダブルレッグでTDし、4の字バックの「二重ロック」を丁寧に左右に組み替えながら、腕十字に連携して鮮やかに2R一本勝ちしました。

UFCデビューから見事な2連勝を挙げた平良。どちらの試合でも若さと持ち前のフレームの強さが存分に発揮されていたと思いますね~。何度かポジションでピンチに陥りかけた時にも、冷静かつ粘り強く相手へ巻き付き見事なスイープで反撃へ繋いだところも素晴らしかったです。これからUFCの階段を登るにつれて「地金」を曝け出される場面もあるでしょう。しかし、成すべきことを「完徹」して一戦ずつ優れた才能を磨いてくるれることを期待しています!

まずはコンテンダーへの挑戦を懸けた嶮しい道、ヘスース・アギラーとの闘いが待ち受けている平良。東アジアMMAきっての新星の挑戦を全力で応援していきたいです🌟

 

#10 ブノワ・サン=ドニ

"GOD OF WAR" Benoit Saint-Denis

出身:フランス(ドイツに過去在住)

年齢:27歳

階級:UFCライト級(UFCウェルター級から転向)

 
 
 
 
 
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ブノワ・サン=ドニはフランス外国人部隊将校であるお父さんと教師のお母さんのもと、ニームに生まれたフランス人です。幼少からドイツのミュールハイムにフランスのランブイエ、リールと移り住む間、8歳から16歳まで柔道を習い、ブラジリアン柔術やキックボクシングを経てMMA選手となりました。

ニックネームの「ゴッド・オブ・ウォー(戦争の神)」とは、サン=ドニが18歳からフランス陸軍特殊作戦連隊「フレンチSAS」に入団し、軍事活動に従事したことから名づけられました。現在は軍を退役し、MMA選手として活躍しているフランスMMAの新鋭です。

サン=ドニは左組みの柔道技の使い手であり、優れた膂力で相手を崩して内股や小外掛でTD、4の字バックからの裸絞めでフィニッシュを狙う力強いグラップラーです。立ち技ではサウスポーから左の蹴りが強力で、左廻し蹴り(左ミドルキック)や左前蹴りで相手をケージに追い詰め、左フックから左組みにスイッチして主戦場のグラップリングに持ち込みます。

主武器の左腕と同じくらいに右腕も強く、右リードフックの強打は接近戦での重要な武器のひとつです。寝技は右サイドから左腕で極める場面が多いですけれども、裸絞めを右腕で極める場面も観られ、柔道技は左メインながらMMAでは両腕ともにパワーに溢れた攻撃ができることがサン=ドニの一番の魅力です!

2022年はニクラス・ストルツェをダブルレッグでTDすると、レッグクランプから4の字バックに繋いで2R一本勝ち。ガブリエル・ミランダには左オーバーハンドで連続ダウンを奪い、金網に詰めて右フックからのパンチ連打で2RKO勝ちしました。

サン=ドニは元々リージョンMMAスーパーライト級(165lb、74.8kg)を主戦場にしていた為、UFCにて階級転向に迫られた選手です。デビュー戦はウェルター級でしたが、2022年からはライト級に転向して連勝することができました。

次戦も既にライト級のジョー・ソレッキ戦が発表されています。強みも多いながら弱点もみられるサン=ドニですが、新たな適正階級ライト級でより強固なMMAスタイルを確立していって欲しいと願っています!

 

#11 デヴィッド・オナマ

"SILENT ASSASSIN" David Onama

出身:ウガンダアメリカ合衆国

年齢:28歳

階級:UFCフェザー級

 
 
 
 
 
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デヴィッド・A・オナマはキャングワリに生まれたウガンダ人です。幼少期からファイトスポーツに憧れていたといい、10歳のときに家族でアメリカ合衆国ミズーリ州へ移住した中でMMA選手となりました。UFC史上初のウガンダ人選手であるオナマは、東アフリカMMAに新たなる可能性の光を齎す選手です。

オナマは強靭な右の強肩を活かしたパワーショットを持ち味とするストライカーです。長いリーチを優れた身体能力から弾丸のように放たれる右拳の鉄拳は、試合を一撃で引っ繰り返してしまうKOパワーを持っています。強靭な右腕はグラップリングでも活かされ右四つ組みで組み勝つと小外掛やバックテイクに繋げ、サブミッションで極めきる強さを持っています。

オナマの一番の魅力は立ち技におけるケージカッティングです。右の強打を持ちながらサウスポーでも強いオナマは、左前蹴りや左オーバーハンドでも強い圧力をかけることができます。鋭い左で相手を右腕側に逃れようとする「罠」を仕掛け、相手が罠にかかると右の長打を伸ばして捕獲するという、天賦のパワーとテクニカルさを併せ持った打撃が魅力的ですね~!

2022年はガブリエル・ベニテスに対して、サウスポーから「罠」を仕掛けて衝撃的な1RKO勝ちをみせました。アマチュア時代に勝利しているギャレット・アームフィールドとの再戦もレベルチェンジTDから肩固めで2R一本勝ち。ネイト・ランドウェア戦では1ラウンドに右オーバーハンドでダウンを奪うも2ラウンドに逆転され、3Rの激戦の末に無念の敗戦となりました。

天賦のパワーを魅せるオナマ、ランドウェア戦で完全にガス欠してしまいながらもフルラウンド闘い抜いたことは、今後の経験として大事な一戦になってくれるといいですね~。カーディオや技術を更に磨き上げ、東アフリカMMAに更なる輝きを齎してくれることに期待しています!

 

#12 チェルシー・チャンドラー

Chelsea Chandler

出身:アメリカ合衆国

年齢:28歳

階級:UFCフェザー級UFCバンタム級に転向予定)

 
 
 
 
 
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チェルシー・チャンドラーアメリカ合衆国カリフォルニア州ストックトンで生まれ育ったアメリカ人です。高校ではバスケットボールと陸上競技に取り組み、大学時代にタイに留学してムエタイを1年習うと、24~25歳の時にブラジリアン柔術MMAの練習を始めました。

チャンドラーはセザール・"シーザー"・グレイシー柔術の直系を継ぐ紫帯の保持者で、ネイト・ディアスに師事しました。25歳という遅咲きでMMA選手になることを諦めかけかけていた時、ネイト・ディアスから激励を受けてMMA選手になる決心をしたといいます。そこから最短距離を駆け上がりUFCデビューを果たした、女子MMA中量級(フェザー&バンタム級)で最注目の新星です!

チャンドラーは8の字に構えた両肘の「節」から肩を旋回させ、急斜の角度から相手を刺し貫く「ストックトンスタイル」ボクシングの使い手です。基本はサウスポーの構えから体幹を乗せた左クロスと、そこから組み際に意識外から叩き込む右リードフックを得意とします。外角×中間距離で放つパンチの連射で意識からダメージを蓄積させる強力なMMAストライキングの持ち主ですね~。

しなやかな体躯から繰り出すグラップリングにおいても肘の使い方が上手く、両肘のフレームで相手のガードからの反撃を遮断、肘の「節」から旋回させて撃ち込むパウンドでダメージを刻みつけます。柔術仕込みのボディロック&小外掛のTDやクロスフェイス(枕)からガードパス&マウント奪取と、効果的で基本に忠実なグラップリングが出来るのも魅力的です。

2022年のUFCデビュー戦は当初女子バンタム級を予定していたものの、相手の欠場によってキャッチウェイト戦(140lb、63.5kg)に。ユリヤ・ストリアレンコにいきなりTD&マウントから腕十字を極められるピンチに陥りますが、これを凌いで得意の左ストレートの連打でダメージを刻んで逆転、最後はマウントからパウンド連打で1RKO勝ちしました。

かつてディアス兄弟が得意としたストックトンの「拳闘×柔術」スタイルを彷彿とさせるチャンドラー。遅咲きの大躍進であるぶん、経験の足りなさが大きな不安要素ではありますが、その素晴らしい才能でUFC女子中量級に新風を巻き起こしてくれることを願って止みません!

まだUFCではキャッチウェイト戦のみですし、今年は当初の女子バンタム級での試合をぜひとも観てみたいです!🥊

 

### おわりに

というわけで、第2回プロスペクト編でした!

今回も読んでいただきありがとうございます~😊

 

今回もいつも通り「10人に絞ろう!」と頑張ったのですけれども、12人になっちゃいましたね~💦

まだまだ紹介したかった選手の方々もいますけれども、今回はこの12人の選手の皆さんに全力注入させて貰いました!!

どんな選手にも好きなところ、ハラハラするところが其々にあり、だからこそMMAを観ていく喜びは尽きませんね~🥰

UFCという最高峰の山嶺、その頂点を目指す新たなMMAの才能たち。

その大いなる挑戦を、今年も楽しみに観させて頂きたいと思います!!✨🗻✨

 

 

*1:【シートベルト(Seat Belt)】ボディロックの一種。その名の通りシートベルトをかけるように相手の肩から反対側の横腹までを両腕を巻き付けて囲み、両手をグリップして相手を固める技のことを指します。日本では「襷掛け(たすきがけ)」という技名で知られます。

*2:【リーピングフック(Leaping Hook)】リープ(Leap)は「跳躍」を意味する言葉で、リーピングフックとは「跳躍して放つリードフック」のことを指します。前手と一緒に振り子のように後ろ足を「継ぎ足」をすると同時に、前足も一緒にジャンプすることで前方に跳躍、その慣性を前手に乗せてフックを撃ち込みます。日本でも有名な「ガゼルパンチ(Gazelle Punch)」は代表的なリーピングフックのひとつです。

*3:【アンチョーカブル(Unchokable)】絞める(Choke)ことができない(Unable)、つまり「絞め技で一本を獲られない」ディフェンスの強い選手を表す用語です。ジョン・フィッチを筆頭に、試合で何度も絞め技から脱した選手を評する意味で呼ばれます。日本の堀口恭司もアンチョ―カブルですね~。