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ミックスドマーシャルアーツ(MMA)という格闘スポーツについて、コラムや試合レビューを書いています。

イアン・ギャリーは、なぜ「イアン・マシャド=ギャリー」と名を変えたのか。MMA選手の「ダブルバレルド・サーネーム」の話。

イアン・ギャリーCage Warriorsウェルター級第15代王者であり、UFCでも現在4連勝中という、メジャーで大いなる飛躍を期待されているアイルランドMMAのプロスペクトです。

そんなギャリーですが、昨年の中頃に選手名を「イアン・マシャド=ギャリー(Ian Machado-Garry)」という名に新たに変更しました。

ギャリーが名を変えた背景には、どのような理由があったのでしょうか。

 

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イアン・ギャリーの新しい姓…「ダブルバレルド・サーネーム」とは

ギャリーが名を変えた理由、それは昨年に奥さんのライラさんと結婚されたことに由来しているといいます。

ライラさんはブラジルの系譜を持つイギリス人で、「マシャド」とはライラさんの母方の姓であるそうです。

つまり、夫婦の姓を繋げた一つの姓…「マシャド=ギャリー」という家族の姓となった、ということなのですね~。

このように二つの姓が繋がり一つになった姓のことを、「ダブルバレルド・サーネーム(Double-Barrelled Surname、二連の姓、二重姓)」と呼びます。

 

「ダブルバレルド・サーネーム」はイギリスやドイツ、海を越えたラテンアメリカ等、ヨーロッパ圏を中心にした広域にみられる姓の在り方です。

その由来は国や地域によって様々なのですけれども…ギャリーの場合、「ダブルバレルド・サーネーム」は家族が一つになるための大切な一歩であったといいます。

ギャリーと結婚する以前から、ライラさんにはマシャド姓の息子さんがいます。ギャリーとライラさんの間にも、息子さんが産まれました。二人の息子が共に繋がった姓を持つことで、兄弟としての繋がりを知って欲しい…新しい家族の誰もが取り残されないよう、願いを込めてダブルネームにすることを決めたそうです。

家族の繋がりの証明のため、二つの姓を合わせて新しい名前となる。

それが、ギャリーが「イアン・マシャド=ギャリー」と名を変えた理由でした。

 

MMAにおけるダブルネームの選手

ギャリーのように「ダブルバレルド・サーネーム」の姓をとる選手の方々は、MMAを観ていると何度か出会ってきましたね~。

 

UFC女子ストロー級のレジェンド、タイ系譜のアメリカ人であるミシェル・ウォーターソン

昨年にウォーターソンが旦那さんのジョシュア・ゴメスさんの姓と一つになり「ミシェル・ウォーターソン=ゴメス(Michelle Waterson-Gomez)」と名を変えたのは、記憶に新しいダブルネームですね~。

 

UFCInvicta FCで活躍するジン・ユ=フライ(Jinh Yu Frey)も、ダブルバレルド・サーネームである有名な選手です。

ユ=フライは父方に韓国の系譜を継いでいて、元々は「ユ・ジンヒ(Jinh Hie Yu)」という名前であったそうです。

しかし、三音節の名前をアメリカでは呼んでもらえず、そのため「ジン・ユ」と省略した名前を名乗るようになったという背景があります。

その後、旦那さんのダグラス・フライさんと結婚したことで、ユ=フライは現在のダブルネームの名に変わったのだといいます。

 

他にも、アシュリー・エヴァンス=スミス(Ashlee Evans-Smith)は特に強く印象に残っているダブルバレルド・サーネームの選手ですね~。

エヴァンス=スミスは『CFA』というプロモーションにおいて、「MMAで最初のトランスジェンダー選手」であるファロン・フォックスとの王座戦に臨み、フォックスに勝利してチャンピオンとなった選手です。

MMAにおけるトランスジェンダー問題」として、既に引退してはいるものの依然として渦中の人物であるファロン・フォックス。

是非についてこの場では語る言葉を持てませんが、トランスジェンダーのフォックスに対するエヴァンス=スミスの勝利は、そのような「渦」を突き抜けて得られたものでした。

そのような背景も伴って、今でも強く印象に残るダブルバレルド・サーネームの選手です!

 

おわりに

今回はMMA選手の「ダブルバレルド・サーネーム」について紹介させていただきました!

最近Invicta FCの👑王座遍歴を作るにあたり何人かのダブルバレルド・サーネームの選手の方に出会ったり、今回のギャリーのように名を変える場面に立ち会ったりする中で、近代日本とは異なる伝統的なヨーロッパ系譜の姓の在り方について、紹介をしたいと思いました。

 

私はMMA選手のルーツを辿ることは好きですけれども、名前やご家族のことは慎重に扱わなければならないな…と、こういう記事を書くにつれ改めて実感しますね…。

それでも、日本とは異なる文化をMMAを通じて理解するということに、一つの価値があり得るのではないか、という気持ちで書かせていただきました!