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ミックスドマーシャルアーツ(MMA)という格闘スポーツについて、コラムや試合レビューを書いています。

8月の「PFL 2024」準決勝をプレビュー!【#2 ライトヘビー級&ライト級編】

 

真夏の「PFL」プレーオフ準決勝!

今回は8月17日に日本でも放送される「ライトヘビー級&ライト級」の準決勝について紹介します!

昨年のPFL王者が2連覇を目指すライトヘビー級。

昨年のPFL王者が引退し、戦国時代に突入したライト級。

レギュラーシーズンを勝ち残った8名の選手を紹介していきます!!

 

#1 ヘビー級&女子フライ級編

theanswer.hatenablog.com

こちらも宜しければ!

 

それではどうぞ~ノシ

 

 

「PFL 8 (2024)」

日時  2024年8月16日(金)※日本では17日

開催地 アメリカ合衆国 ハリウッド

会場  セミノール・ハードロック・ホテル&カジノ

リンク Taplogy

Bellator MMA」でおなじみ、ハリウッドのハードロック・ホテル&カジノで開催!

ダニー・サバテロカール・アルブレクソン等、来日経験のあるMMA選手も参戦しますね~✨

 

PFLライトヘビー級

1位 インパ・カサンガナイ    (2戦2勝/2KO, 0SUB 11ポイント)

2位   ロブ・ウィルキンソン    (2戦2勝/1KO, 0SUB  9ポイント)

3位   ドヴレジャン・ヤグシムラドフ(2戦2勝/1KO, 0SUB  9ポイント)

4位   ジョシュ・シルヴェイラ   (2戦1勝/1KO, 0SUB  6ポイント)

2連覇を狙うカサンガナイが、最高ポイント獲得で好調を見せて1位通過しました!

シルヴェイラはアントニオ・カルロスJr.と同じく1勝1敗の6ポイントでしたが、シルヴェイラの敗戦がスプリット判定(1-2)であった点で差がついて4位通過となっています。

 

インパ・カサンガナイ vs. ジョシュ・シルヴェイラ

 

#1インパ・カサンガナイ/"Tshilobo" Impa Kasanganay

カサンガナイは昨年のPFLチャンピオン。今年は2連覇を狙います!

カサンガナイはムエタイを基盤にした接近戦メインのストライカ。至近距離での正確で破壊力のあるパンチの連打でKOを狙います。頭部とボディへの上段・中段へのパンチの撃ち分けが得意で、ボディストレートから右オーバーハンド、次いで返しの左リードフックへ繋げる完成度の高いコンビネーションを持っています!組み技・寝技はスプロールでの遮断に徹しており、打撃に純化した選手といえますね~。

レギュラーシーズンではアレックス・ポリッジのダブルレッグを切り抜けると、右オーバーハンド&左リードフックを効かせて頭部へのパンチ連打でTKO勝ち。続くヤコブ・ネドー戦では右ストレートで先制ダウンを奪われるピンチを迎えるも、右ボディから上段&中段に左右フックを散らして攻め、右オーバーハンドをテンプルに効かせて見事な逆転KO勝ちを果たしました!

「PFL Challenger Series」出身から初めてのPFLチャンピオンとなったカサンガナイは、今やPFLを代表する選手の一人。今年も抜群の破壊力と連打を誇るパンチを炸裂して2連覇を目指して欲しいです!

 

#4ジョシュ・シルヴェイラ/"Coninha" Josh Silveira

シルヴェイラはPFLの登竜門「Challenger Series」から昨年のリーグ決勝戦まで辿り着いた、PFL生え抜きの新鋭です!

シルヴェイラはフィジカルの強さを活かした左ミドルキック左三日月蹴り首相撲からの膝蹴りが得意です。組技でもシングルレッグ大内刈裸絞等の得意技を持っています。やや単発な攻撃になりがちなのが弱みですが、それを補う一撃のパワーとプレッシャーを持った選手ですね~。

レギュラーシーズンでは階級を上げたサディブー・シーにシングルレッグ&大内刈でTDに成功し、シーの右手の負傷によってTKO勝ち。続くロブ・ウィルキンソン戦では判定1-2で敗れたものの、左ミドルキックや右ジャブで先手を獲り、終盤には裸絞めで攻めて拮抗しました!

シルヴェイラはPFLで豊富な経験を積んでおり、覚醒まで後一歩のところまで来ている印象を感じる選手で、トーナメントを通して殻を破って進化して欲しいです!

 

ロブ・ウィルキンソン vs. ドヴレジャン・ヤグシムラドフ

 

#2ロブ・ウィルキンソン/"Razor" Rob Wilkinson

ウィルキンソンは「PFL」2022年シーズンの優勝者で、二度目の優勝を狙います!

ウィルキンソン首相撲フレーミングの「タイクリンチ使い」で、ヘッドピンライケーン(腕相撲)で巧みに中間距離を作って闘うムエタイ型のストライカーです。貫通力のある左ジャブ右クロス首相撲からの膝蹴りでアグレッシブにKOを狙い、タイクリンチからの崩し投げも巧みです。

レギュラーシーズンではトム・ブリーズをヘッドピンで金網に押さえつけ、タイクリンチから右ショルダーショット&頭部への膝蹴りを効かせてKO勝ち。続くジョシュ・シルヴェイラ戦では得意の打撃戦で先手を取られるも、クリンチからボディへの膝蹴りや、ボディロックから小外掛で判定2-1で競り勝つ新しい引き出しを見せました。

ウィルキンソンは昨年のシーズンを薬物検査の陽性により失格しています。今シーズンは汚名返上の機会であり、改めて実力を証明するパフォーマンスに期待しています!

 

#3ドヴレジャン・ヤグシムラドフ/"Wolfhound" Dovletdzhan Yagshimuradov

ヤグシムラドフはトルクメニスタン出身、PFLへ移籍した元Bellatorコンテンダーです!

ヤグシムラドフのルーツは空手で、サークリングからヒット&アウェイでKOを狙う遠距離狙撃型のストライカーです。右ストレート右アッパーカット右オーバーハンドと自在に軌道変化する右のパンチが最大の武器。右オーバーハンドはレベルチェンジも兼ねており、シングルレッグと混ぜてTDも狙います。

レギュラーシーズンではヤコブ・ネドーにの踏み込みにカウンターの右オーバーハンド&右アッパーカットと次々と合わせて圧巻のKO勝ち。続くシモン・ビヨン戦ではディフェンシブなビヨンに攻めあぐねるも、最終ラウンドにレベルチェンジ&シングルレッグTDを獲って競り勝ちました!

ヤグシムラドフはBellatorで積んできた経験値が豊富で、このトーナメントで更なる飛躍を魅せてくれることに期待しています!

 

ライトヘビー級の展望

昨年にライトヘビー級へ階級を上げてPFLに挑戦したことで、見事に栄冠を掴んだカサンガナイ。PFLの醍醐味であるキャリアの一発逆転を魅せてくれました!今年もハードパンチャーぶりは健在で、不安要素のガス欠が起こる前に短期決着で2連覇を決めたい所です!

対するシルヴェイラはPFLで潜在能力の高さを随所で魅せてきた選手です。あと一つ、ピースがカチッと嵌れば一気に化けるような期待を感じていて、カサンガナイという格上との正面勝負で、その道を切り拓いて欲しいと願っています!

ウィルキンソンとヤグシムラドフは、どちらもストライカーながら明確に得意な距離が異なるので、制空権争いが楽しみな一戦ですね~。ムエタイの組み手で触りながら打撃を放つウィルキンソンに、空手の遠くからタイミングを合わせて飛び込み狙撃するヤグシムラドフ、という感じです。

後半戦になるほど、ガス消費の少ないウィルキンソンが接近戦を獲ってアドバンテージが増えるのかな、と予感しますけれども、ヤグシムラドフもテイクダウンを混ぜながら競り勝つ試合が出来るので、競り合うタフな試合になってくれることを期待しています!

 

PFLライト級

1位   ブレント・プリマス (2戦2勝/0KO, 2SUB 9ポイント)

2位 ガジ・ラバダノフ  (2戦2勝/0KO, 0SUB 6ポイント)

3位   マイケル・デュフォー(2戦1勝/0KO, 1SUB 5ポイント)

4位   クレイ・コラード  (2戦1勝/1KO, 0SUB 5ポイント)

ライト級予選は1勝1敗の選手も多く、一強がいない激しい競り合いとなりました!

その中で、2連続で一本勝ちしたプリマスが1位通過し、判定で2連勝したラバダノフが続く2位を獲得。

1勝1敗ながら、2Rにフィニッシュして5ポイントを獲得できたデュフォーコラードも駒を進めました。

 

ブレント・プリマス vs. クレイ・コラード

 

#1ブレント・プリマス/Brent Primus

プリマスはPFLに移籍した、元Bellatorチャンピオン兼トップコンテンダーです!

プリマスは強靭な体躯を誇るフィジカル重視のグラップラーで、四つ組みから小外掛などでTDし、バックテイクから裸絞で一本勝ちを狙います。重厚なぶん打撃戦では小回りが苦手で被弾も多いですが、フィジカルを乗せた右ストレートの威力は高く、左ハイキックなどで多角的に攻めて「散らし」としても機能させています。

レギュラーシーズンではブルーノ・ミラン右カーフキックからニータップ&シッティングガードで足を崩してTDを奪うと裸絞めで一本勝ち。続くソロモン・レンフロ戦ではパンチの被弾を許すも、右ストレート&右アッパーカットでダウンを奪うと、パームトゥパームチョークを極めて激戦を制しました!

プリマスはスロースターター気味で、タフな試合ほど真価を発揮してくれる選手。トーナメントの過酷さを味方につけて優勝できるかに注目しています!

 

#4クレイ・コラード/"Cassius" Clay Collard

コラードは昨年のPFLファイナリストで、今年は4回目のリーグ出場となります!

コラードダッキングボブ&ウィーブからのパンチのコンビネーションを使いこなす、ボクシングに純正特化したストライカーです。左前脚のカーフキックレバーショットボディショットで相手を削り、上段・中段のショートレンジパンチの高速連打でKOをねらいます。MMAで屈指のヘッドスリップ(スリッピング・アウェー)の名手でもありますね~。

レギュラーシーズンではパトリッキー・"ピットブル"・フレイリボディへの右前蹴りを突き刺し距離を奪うと、右ストレート右アッパーカットの集中砲火を浴びせてTKO勝ちしました。続くマッス・バーネル戦ではボディショットを中心にパンチ連打で攻めるも、バーネルのカウンターの右フック&ダブルレッグTDを躱せずに完敗を喫してしまいましたね~。

コラードは魅力的なボクシング特化型MMAの使い手ですが、フィジカルとパワー差のある相手には組み技で光を消されてしまう厳しい状況も続いています。トーナメントを勝ち抜く為に、壁をもう一つ超えてくれることを願っています!!

 

ガジ・ラバダノフ vs. マイケル・デュフォー

 

#2ガジ・ラバダノフ/Gadzhi Rabadanov

 

ラバダノフはPFLへ移籍した、元Bellatorトップコンテンダーの一人です!

ラバダノフはサンボを基盤にパンチ連打で試合を支配するスラヴィック・ボクシングの使い手です。左ジャブでリズムを作り、右オーバーハンド左リードフックの強打でKOを狙います。加えて左リードフックをフェイントから連携するレベルチェンジTDも巧みで、「打→投」を奇麗に連結できるMMA選手です。

レギュラーシーズンでは ソロモン・レンフロからカウンターのパンチを浴びて劣勢になるも、果敢に懐に入りパンチを撃ち込み、ダブルレッグTDバックライドで競り勝ちました。続くエルヴィン・エスピノーサ戦でもエスピノ―サの長打を掻い潜って左ジャブ&右オーバーハンドで斬り込むと、レベルチェンジ&ダブルレッグTDを何度も成功させて勝利しました。

ラバダノフはレンフロにはパンチの反応速度で、エスピノ―サにはフレームとパワーで優勢を取られながらも、勇敢な攻撃と豊富な戦術を駆使して接戦に勝利したのが素晴らしかったですね~。この勝負強さを是非ともトーナメントで魅せて欲しいです!

 

#4マイケル・デュフォー/"The Canadian Badass" Michael Dufort

デュフォーは「PFL Challenger Series」の勝利を経て、リーグ本戦に初参戦しました!

デュフォー左リードハンド(左前手)を伸ばして遠い間合いを作り、左ジャブ右ストレート(&右クロス)で相手を突き離し続ける戦法をとります。左右の前蹴り三日月蹴りも放ちながら、本命であるレベルチェンジTDからの裸絞ギロチンチョークを狙うサブミッション使いですね~。

レギュラーシーズンではマッス・バーネルと激しい打撃戦を展開し、ボディへの右三日月蹴りで動きを止めるとパームトゥパーム・ギロチンで一本勝ちします。続くアダム・ピコロッティ戦では終盤にややガス欠した所で右クロスでダウンを奪われ、接戦を展開するも判定1-2で敗れています。

デュフォーのスタイルは間合いの維持を死守できるかが重要で、トーナメントでは忍耐力もカーディオの強さも求められるでしょう。更なる進化ができるかも重要になってきます!

 

ライト級の展望

昨年のPFL覇者オリヴィエ・オーバン=メルシエが引退したことで、「一強」のいない戦国時代へと突入した感のあるライト級。

その中でも、持ち前のフィジカルの強みを存分に発揮して2連続フィニッシュしたプリマスは、トーナメント優勝に向けた好調を感じます。Bellatorでもタフな消耗戦を幾度も繰り広げてきた経験も豊富で、悲願の頂点へ強い執念を魅せて欲しいところです!

コラードは唯一無二のボクシング特化スタイルで人気も獲得していますけれども、今年に入ってフレーム差のある相手に寝技で完敗しているのは不安要素です。トーナメントでも苦しい展開が予想されますが、ハマれば4名の中で最も爆発力があるのも確かで、今年もジョーカーになって欲しいですね~。

優勝候補といえるのはラバダノフですね。相手のカウンターやフィジカルに苦しみながらも、これらを跳ね返して競り勝ってきたバランスの良さと勇敢さは4名の中でも特筆すべき強みでしょう!対するデュフォーは自身の必勝の型をやり抜くタイプの選手なので、相性的にもラバダノフの方が取れる戦術が豊富であろうと感じます。

但し、デュフォーはフレームで優勢を取っており、ギロチンチョークの得意な選手でもあるので、型が機能できればラバダノフを空転させられる可能性もあるでしょう。懐に入るのを遮断したいデュフォーと、懐に入りたいラバダノフという構図なので、両者が接近する瞬間に特に注目したいと思います!

 

おわりに

というわけで、ライトヘビー級とライト級の紹介でした!

この2階級は、惜しくも敗退してしまった選手にも有力なMMA選手がたくさんいましたね~。

ニカラグア出身のエルヴィン・エスピノーサスロベニア出身のヤコブ・ネドーといったニューフェイス達には、更なる活躍を期待したいです!(ネドーは頭部のダメージが心配なので、まずはゆっくり休んで欲しいですけれども…;)

次回は最後、最激戦区のウェルター級&フェザー級について紹介したいと思います!✨