👑リオン・エドワーズの第2の祖国、イギリスで開催された「UFC 304」。
UFCウェルター級王座の防衛戦として、ベラル・ムハンマドを迎え撃ちました!
王者のリオン・エドワーズについては、以前にバックグラウンドを紹介しました。
ベラル・ムハンマドについても、昨年に紹介させて貰いました!
リオン・エドワーズとベラル・ムハンマド、UFCウェルター級でも特に過酷なキャリアを築いてきたお気に入り選手同士の闘い。
両者ともに至力を尽くした、最高峰に相応しい激闘でしたね~✨👑✨
それでは感想です!ノシ
#1 「視線を外さない」「継ぎ目を消す」…ベラル・ムハンマドの真価が炸裂!
上記の記事で、私はベラル・ムハンマドの魅力をこのように紹介しました。
「ベラルは5ラウンドを通して途切れず動き続ける強靭なカーディオが生み出すタフネスに加え、相手の攻撃から一切の視線を外さず、攻撃を受けても即座にプレッシャーをかけて反撃する「繋ぎ目の無い」戻りの早い攻めを得意とします。」
「ベラルの「視線を外さない強さ」とは、即ち相手の打撃に終始怯まないという勝利への執念が生み出す危機回避能力です。この強さはリージョン王座を獲得した頃から変わらない魅力であり、UFCで激闘を重ねカーディオや技術の底上げがなされたことで、その地金の強さが更に活きるようになってきていると感じます。」
今回のチャンピオンシップにおいて、ムハンマドの2つの強さ…「視線を外さない危機回避能力」と「繋ぎ目の無い戻りの早い攻め」が如何なく発揮されており、まさに真価を発揮しての素晴らしいパフォーマンスであったと感じました!
ムハンマドは遠い間合いから狙撃するエドワーズに対し、左ジャブからの連打で近接打撃戦を狙います。
ムハンマドはエドワーズが右側にサークリングする瞬間を狙って左リードフックで捕えると、ブロッキングの隙間を通す左アッパーカットで防御を撃ち破ります。その後も右ストレートを撃ち込んでドミナンスを奪うという、多彩なパンチの撃ち分けでエドワーズの波長を狂わすことに成功しました。
ムハンマドの動きで特筆すべきは、エドワーズの強打に対しても一切怯まず、即座に定位置へ戻り「必ず反撃をする」ことを徹底していたことです。
ストライカーの波長を狂わせる…というと、先日のショーン・ストリックランドvs.イズラエル・アデサンヤを思い出しますが、ストリックランドが徹底したディフェンスでアデサンヤの波長を狂わせたのに対して、ムハンマドは徹底して素早く戻りって反撃をすることで、プレッシャーを生み出してエドワーズの波長を崩したのでした。
このプレッシャーを維持する為に効果的であったのが、先に紹介した「視線を外さない」というムハンマドの強さです。
パンチを撃ち込まれても一切の怯みを見せずに相手を視続けるというのは、相手からの次の攻撃に即座に対応できるテクニックとしての利点もあり、相手の心に疑心暗鬼を生ませるマインドゲームとしての利点も兼ね備えています。ムハンマドはプレッシャーを効かせられたことで接近が容易になり、エドワーズがフルパワーで打撃を撃てない至近距離に詰めて闘うことが出来ていました!
#2 戦場はグラウンドへ…王者エドワーズの素晴らしい反撃!!
ムハンマドのプレッシャーはエドワーズの警戒を生み、そのエドワーズの一瞬の隙を突いたムハンマドのレベルチェンジ&テイクダウンが何度も炸裂しました!
ムハンマドはダブルレッグ&シングルレッグでエドワーズに組み付き、序盤からTDを奪います。エドワーズもこれを四つ組みで耐えますが、ムハンマドはニータップやスラムへ技を変化させて次々とTDを奪いました。
しかし、王者エドワーズもグラウンドで反撃を魅せます。リアクリンチ*1を獲ると、片足でフックしたままもう片脚で足を刈るというクロスシザートリップ*2の亜種のような技でTDを奪い、そのままバックテイク&ボディトライアングルで捕獲に成功します。
グラップリングで大局を掴んでいたのはムハンマドでしたけれども、エドワーズは終盤にもラウンド終了間際にバックポジションから脱出して反撃を魅せています。
これは二人の身体のフレーム差も関係していたと思いますね~。ムハンマドはバックテイクに成功しても、どうしてもフレーム差からエドワーズの身体を浮かせきれていませんでした。逆にエドワーズはシッティングの状態になれたことで、リバーサルして寝技を脱出するチャンスを掴めたと感じます!
エドワーズは試合終了間際にも寝技を脱出すると、オープンガードでムハンマドに覆い被さり、フルパワーの左肘打ちを炸裂させてムハンマドを流血させます!
ムハンマドは消耗が激しく明らかにダメージがあった為、逆転の可能性もあったと感じます。今回はムハンマドが多くのドミナンスを獲っていたので大局は動きませんでしたけれども、ダメージ評価が高い現行のユニファイドルールであれば、もう少しエドワーズに攻撃の時間があればラウンドを獲れた可能性もあったな~と思います。紙一重でした!
#3 艱難辛苦を乗り越え…
両者が最後まで力を出し切ったチャンピオンシップは、素晴らしい激闘となりました。
結果はベラル・ムハンマドが判定3-0で勝利!
アウェイの地イギリスで、悲願のUFCチャンピオンに初戴冠しました!!!(涙)
2016年7月にUFCに参戦して以来、実に8年越しの王座戴冠。
パレスチナ初、そして中東初のUFCチャンピオンが誕生しました✨👑✨
上記の記事で、わたしはムハンマドのスタイルについて以下のようにも書きました。
「この優れたアベレージをベラルが維持できる時間は、年齢を考えても残念ながら残り少ないでしょう。中東の系譜を継いだMMA選手、ベラルの王座挑戦への大一番をぜひ観たいと願っています!」
ムハンマドの全盛期は、残念ながら残り少ないでしょう。
王者として防衛戦にも臨むことになりますが、果たしてその時までアベレージを維持できるのか…
だからこそ、今回の王座挑戦は正真正銘、最後のチャンスであった可能性が高く、そのチャンスを見事に掴んだムハンマドに全力で拍手を送りたいです!!!!
無念の敗退となったエドワーズも、グラップリングや一瞬の肘打ち等、敗れて尚強さを魅せてくれる試合でした。群雄割拠のウェルター級ではありますけれども、今後もトップコンテンダーとして進化を続けていって欲しいです!
グレーテストファイト!!!
ムハンマドおめでとーーー!!!!✨👏✨
ベラル・ムハンマドの入場曲です!
「انا دمي فلسطيني(私の血はパレスチナ人)」 by ムハンマド・アッサーフ
アッサーフはガザ難民キャンプから夢を叶えたスター歌手として知られ、その半生をモデルにした映画「歌声にのった少年」は日本でも公開されました。
ベラル・ムハンマドはパレスチナ移民のご両親のもとにアメリカ合衆国で生まれたパレスチナ血統のアメリカ人であり、遠い地のディアスポラにも広く普及しているこの曲を入場曲としたムハンマドの、自身のルーツを代表する強い想いを感じました!