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ミックスドマーシャルアーツ(MMA)という格闘スポーツについて、コラムや試合レビューを書いています。

2012.11.5 日本人MMAメジャーリーガーの対戦予定と展望 『UFC マカオ大会 他』

November 十一月
『UFC on FUEL TV 6: Franklin vs. Le』 11月10日:中国、マカオ開催

<メインカード>
[UFC ライト級ワンマッチ]
五味隆典/Takanori Gomi(日本、神奈川県/33-8)
"The Fireball Kid"
 /1978年9月22日(33歳)/久我山ラスカルジム所属
 /中学時代にボクシング、高校時代にフリースタイルレスリングを経験。アマチュア修斗からMMAデビュー。
 /日本人離れしたパンチの破壊力と変則的なスタンス&スイッチで一撃KOを狙うストライカー。
 /国内有数の知名度を誇る人気ファイター。サウスポー。
 /PRIDE 初代ライト級王座&トーナメント優勝
 /修斗 第5代ウェルター級世界王座
 /UFC戦績は2-3。昨年はクレイ・グイダに一撃を封じられ、ネイト・ディアズのリーチ&ボクシングに一方的に被弾を許し連敗。今年の日本大会で光岡との日本人対決が組まれ、1RにKO寸前まで追い込まれるも2Rにダウンを奪い逆転KO勝利を挙げた。
vs.マック・ダンジグ/Mac Danzig(USA、オハイオ州/21-9-1)
 /1980年1月2日(32歳)/PKG&Fight Science所属
 /端正な顔立ちの持ち主。軽やかなフットワーク&正確なボクシングと、素早い柔術テクニックを持つ。
クリンチゲームやポジショニング争いなどの競り合いで強さを見せるタフガイ。オーソドックス。
 /TUF6 ウェルター級トーナメント優勝
 /KOTC 第7代ライト級王座
 /UFC戦績は5-5。TUFフィナーレではトム・スピアーを一方的な試合で仕留め優勝。昨年はマット・ワイマンへの因縁の再戦で激闘を繰り広げるも判定負け。今年にエフレイン・エスクデロとのTUFウィナー対決を制し判定勝利を挙げた。

…展望…
かつてはKOTC王者になっているダンジグ。ほぼ全てのキャリアをケージで培ってきた彼のケージ際での技術はとてもスマートで上手いです。常に足を使うスタンドも広いケージならでは。クリンチゲームになれば五味は一方的に消耗することは免れません。五味は近年被弾も多くなってきているので、スタンドで効かされてしまうと戦局はかなり危ういものになってきます。
五味は中央で距離感をつかむことと、プッシングに圧されない筋力をつけることが必要で、脅威である打撃をフェイントとして混ぜていく事でリズムを作っていく事が望ましいと思います。
五味はこれでUFC6戦目。生き残るためにケージでのスタイルの確立をしていきたいところです。

<プレリミナリーカード>
[UFC フライ級ワンマッチ]
漆谷康宏/Yasuhiro Urushitani(日本、愛媛県/19-5-6)
 /1976年9月8日(35歳)/和術慧舟會RJW所属
 /アマチュア修斗出身で、キャリアのほぼすべてを修斗で培ってきた。サウスポー。
 /長いリーチから精度の高い打撃を繰り出す。対戦相手の勢いを殺し、フェイントと連携技で試合を掌握する。
 /ケージマッチはCAGE FORCEの2戦で、清水清隆にカットでTKO勝利している。
 /修斗 第3代世界バンタム級王座
 /修斗 2007年バンタム級新人王

 /UFC戦績は0-1。昨年は正城ユウキ戦でハイキックをヒットさせTKO勝利、修斗王座を防衛した。今年には新設されたUFCフライ級の初代王座決定トーナメントに抜擢されるも、バンタム級コンテンダーであったジョセフ・ベナヴィデスに終始展開をコントロールされ2RにパンチでTKO負け。
vs.ジョン・リネカー/John Lineker(ブラジル、パラナ州/19-6)
"Hands of Stone"
 /1990年1月1日(22歳)/EMPORIUM所属
 /強靭な身体能力から繰り出されるパンチのラッシュで一撃必殺KOを狙うストライカー。
 /数々のブラジルMMAプロモーションを渡り歩き、体格差のある選手に真っ向から打ち合い勝利してきた。
 /モヒカンとモミアゲが特徴的で、イングランド系ブラジル人。オーソドックス。
 /Jungle Fight バンタム級王座
 /Nitrix CF バンタム級GP2011優勝

 /UFC戦績は0-1。昨年は7試合7連勝3(T)KOというレコードを叩き出し、イリアルジ・サントスに勝利しブラジルメジャー団体JFのバンタム級王座を獲得。今年は階級変更しUFC参戦。TUFの人気ファイター、ルイス・ゴーディノットと1R200発以上のパンチが飛び交う大乱打戦を繰り広げるも、2Rにスタンディングギロチンを極められ一本負けを喫した。

…展望…
UFCフライ級で無念の敗北を喫した二人による生き残りをかけたサバイバルマッチです。
「他団体の王者」「ストライカー」「再起戦」と似た境遇の二人ですが、スタイルは真逆。あの手この手で対戦相手をかく乱するウルシに対し、リネカーは愚直なまでにひたすらパンチを打ち込むスタイルです。オクタゴンを存分に使う高速戦闘化が著しいフライ級において、ウルシはフィジカル差とケージの広さが、リネカーはベタ足と階級転向によるスピード差が、それぞれネックとなっています。リネカーは追い込みが苦手なので、ウルシとしてはベナビやゴーディノよりも闘いやすい相手ではありますが、過去最強のパンチ力を持った相手であることは間違いないです。

[UFC バンタム級ワンマッチ]
水垣偉弥/Takeya Mizugaki(日本、神奈川県/15-7-2)
 /1983年12月16日(28歳)/シューティングジム八景所属
 /幼少から剣道を習っている。アマチュアパンクラス修斗を経てプロMMAデビューを果たす。
 /リーチの長さを活かした鋭いストレートとショートアッパー、パウンドを持つ。オーソドックス。
 /日本人軽量級選手で08年以降メジャーリーグで活躍してきた唯一の選手であり、ケージマッチ経験も豊富。
 /CAGE FORCE バンタム級王座&トーナメント優勝
 /修斗 2005年フェザー級新人王

 /UFC戦績は2-2。昨年は「鉄拳」ブライアン・ボウルズとの一軍入りをかけた試合に挑むも、プレッシャーの前に攻めあぐね判定負け。その後コール・エスコヴェドに打撃戦で競り勝ちTKO勝利する。今年の日本大会ではクリス・カリアソとのポイントゲームで主導権を握るも、パンチヒットを重視され判定負け。コンテンダー戦以外で初めて星を落としてしまった。
vs.ジェフ・ホーグランド/Jeff HouglandUFCイリノイ州/10-5)
"Hellbound"
 /1978年8月2日(34歳)/Combat Sport and Fitness所属
 /無精髭を蓄えたワイルドな風貌。柔術黒帯保持者の万能型グラップラー。サウスポー。
 /高い極め力を持ち、ケージ際のわずかな隙間からでも流れるようなスイープで一本勝ちを狙う。スタンドは風貌通り荒々しく、ムエタイタイプの技を得意とする。反面フットワークとテイクダウン力に課題を残す。 
 /Rumble on the Ridgeフェザー級王座
 /UFC戦績は1-1.昨年はウィスコンシン州の「Rumble on the Ridge」を圧倒的極め力で連続一本勝ちし戴冠、UFC初戦ではドニー・ウォーカーを寝技で翻弄し判定勝利する。今年は「タイガー」イーヴス・ジャボウィンと対戦するも、スタンドで完全に主導権を握られ完封負け。弱点を露呈する手痛い敗戦を喫してしまった。

…展望…
岡見に次ぐ安定感を誇る「日本人第二のメジャーリーガー」ガッキーですが、日本大会では安全策が裏目に出て手痛い黒星を残す結果になってしまいました。今回の対戦相手のジェフはスタンドに若干の穴があるものの、フィジカル差のないガッキーにとって脅威のパワーであることは疑いなく、逆にグラウンドでは上を取っても一瞬の隙で極められる危険性のある選手です。立ってボクシングで優位に立つことは勿論ですが、ジャッジに有無をいわさず認めさせる「勝負強さ」を発揮できるかが勝負の分かれ目になると思います。  

[UFC ミドル級ワンマッチ]
福田力/Riki Fukuda(日本、岐阜県/18-6)
"Killer Bee"
 /1981年1月6日(31歳)/GRABAKA所属
 /学生時代はフリースタイルレスラーとして活躍、プロレスラー候補生からMMAに転向したタフファイター。
 /日本人最高峰のフィジカルとスピードを持ち、高速タックルorクリンチからの打撃を得意とする。
 /恩師である山本徳郁の主催するジムの旧名「KILLER BEE」をミドルネームにしている。サウスポー。
 /DEEP 第5代ミドル級王座
 /UFC戦績は1-2。昨年にUFC初参戦、ニック・リングを相手にプレッシャーをかけ優勢に試合を進めるも、無念の判定負けを喫してしまう。その後交通事故に逢い欠場、今年の日本大会で復帰する。スティーブ・キャントウェルと白熱の打撃戦を繰り広げ、持ち前の勝負強さで判定勝利する。次戦のコンスタンティノス・フィリッポウ戦では懐に入りきれないままフィリッポウのパンチを被弾し、判定で敗れた。
vs.トム・デブラス/Tom DeBlass(USA、ニュージャージー州/7-1-0)
 /1982年5月14日(30歳)/Ocean County Jiu Jitsu所属
 /USA東部最大のMMA団体「Ring of Combat」の二冠王。柔術一段の一流柔術家で、NAGAやPAm優勝経験者。
 /屈強な肉体と素早いフットワークを持ち、勇猛果敢な打撃とグラウンドでの圧倒的な制圧力が武器。
 /UFC契約前のMMAキャリアは全てROC。オーソドックス。
 /ROC ヘビー級王座
 /ROC ライトヘビー級王座

 /UFC戦績は0-1。昨年から今年にかけてROCで4連勝(内3戦が1R勝利)。LH絶対王者として君臨していた。スウェーデン大会にてシリル・ディアバテと対戦。序盤はリーチに勝るディアバテにプレッシャーをかけたものの、スタミナを切らして劣勢のまま判定負けを喫した。

…展望…
UFCミドル級においてフィジカルで互角に闘う頼もしいリッキーですが、今後はフィジカル、テクニック共に一筋縄ではいかないテクニシャンとの試合が待っています。デブラスはデビュー戦で屈辱のスタミナ切れ負けをしましたが、ヨルゲン・キルスの欠場による緊急参戦であったこともあり、今回の試合が真の実力証明となるため、その気合は並々ならぬものがあると予想されます。試合ではとにかく序盤のスピードとテイクダウンが勝敗の決め手。寝技ではデブラスに軍配が上がるでしょうが、レスリングスキルにおいてリッキーは負けていないと思いますので、前戦のように待たずに自信を持って闘えば勝利の可能性は必ずあると思います。ミドル級戦線で生き残るために、このタフファイター対決をなんとしても乗り超えてほしいです!

[UFC バンタム級ワンマッチ]
手塚基伸/Motonobu Tezuka(日本、長野県/19-4-4)
 /1987年8月29日(24歳)/総合格闘技道場コブラ会所属
 /空手、柔道の経験を持ち、柔術茶帯の保持者。現パンクラスバンタム級1位。
 /三島譲りの多彩なグラウンドテクニックを持つトリッキーなグラップラー。サウスポー。
 /入場時には特撮ヒーロー&怪人風のマスクと入場曲で会場を沸かせる。
 /ライジングオンの前身「Powergate」を経てパンクラスで活躍。ケージマッチはCAGE FORCEでの中原太陽戦がある。
 /パンクラス 第16回ネオブラッド・トーナメント バンタム級優勝
 /UFC戦績は0-0。昨年は現バンタム級パンクラシスト石渡との王座挑戦権試合に敗れたが、その後3連勝。今年の曹竜也との試合は不完全燃焼のDSとなったが、次戦ではZSTエースの清水俊一に判定で勝利し石渡への王座挑戦をアピールした。カン・キョンホの負傷欠場により急遽UFC参戦が決定。初の海外&メジャーケージマッチに挑む。
vs.アレックス・カセレス/Alex Caceres(USA、フロリダ州/7-5)
"Bruce Leeroy"
 /1988年6月20日(24歳)/Young Tigers Foundation所属
 /巧みな足技と派手な回転技&飛び蹴りを連発し、「独創性と創造性」を身上とする異色の若手ファイター。
 /その風貌とスタイルから、アクション映画「ラストドラゴン」の主人公、ブルース・リロイのミドルネームを持つ。ちなみにリロイは「ブルース・リーが好き過ぎてカンフーに目覚めてしまう」という破天荒なキャラクターである。
 /UFCドキュメンタリー「TUF12」のメンバーであり、敗退したもののそのキャラクター性で番組を盛り上げた。
 /ちなみにホセ・カセレスという一つ上の兄弟がいる。サウスポー。
 /UFC戦績は2-3。昨年よりUFCデビューを果たすものの二連敗を喫し、その後バンタム級に階級転向。転向初戦のコール・エスコヴェド戦を変則的な打撃と素早い寝技でコントロールし初勝利する。今年のエドウィン・フィグエロア戦ではローブローを放ってしまい、判定で敗戦。次戦のダマッシオ・ページ戦では1・2R共にガードワークを駆使してページを翻弄し、三角締めで一本勝ちを果たした。

…展望…
ブルース・リーの故郷、中国で開催されるマカオ大会に大抜擢されたカセレス。派手なパフォーマンスは隙も多く、本人が自分の能力をコントロールしきれていない感のある、まだ将来の未知数な選手の一人です。対戦相手がパワーのあるグラップラーキョンホから巧みな寝技を見せる手塚へと変更したことがどう影響するのか。ケージマッチ経験に圧倒的な差のある両者ですが、カセレスはあまりクリンチ&テイクダウンをする選手ではないので、中央での打撃戦からのテイクダウンの取り合いになることが予想されます。リーチを効かされると手塚はかなり辛い展開になります。偶然にもカセレスMMAファイターとしての完成度を測る絶妙な組み合わせになったのかもしれません。とはいえ「パンクラス代表」手塚の職人芸もぜひ見たいところです。


December 十二月
『UFC 155: Dos Santos vs. Velasquez 2』 12月29日:USA、ネバダ州ラスベガス開催

<メインカード>
[UFC ミドル級ワンマッチ]
岡見勇信/Yushin Okami(日本、神奈川県/27-7)
"Thunder"
vs.アラン・ベルチャー/Alan Belcher(USA、アーカンソー州/18-6)
"The Talent"







『TBA』2012年月日()
[TBA TBA級ワンマッチ]
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