今回はシフティングのエントリーです!
「ONE FF 81」と「UFC 307」を観て、紹介したいと思い書きましたノシ
シフティングについては、コチラの過去記事を参照ください~
#1「ONE FF 81」タン・ジンのシフティングフック
ONEフライ級キックボクシング2位の世川武尊と対戦したタン・ジン。
1Rに世川からダウンを奪ったパンチは、左シフティングフックでした!
ONEフライ級キックボクシング 3分✖3ラウンド
#2世川武尊 vs. タン・ジン
タン・ジンは左ジャブから右オーバーハンドを撃ち、これを世川がバックステップで後方に回避します。
ここから、タン・ジンは右オーバーハンドの慣性を活かして1度目のシフティングを開始、右足を前に出して軸足に切り替えます。
さらに2度目のシフティングで慣性を載せて左フックを放ち、この「第3の矢」で世川を見事に捕らえてダウンを奪いました!
MMAで技術の普及が続くシフティングですけれども、キックボクシングにおいてもシフティングによる追撃が効果的に発揮された、非常に魅力的な場面でしたね~✨
タン・ジンはシフティングフックをこの1パターンしか放てなかった為、この後には世川に対応され回避されてしまいましたが、タン・ジンが19歳であることを踏まえれば新鋭が大きな一手を掴んだ攻撃であったといえるでしょう。
攻撃を回避された先にある死角を獲る「あと一歩」。その一歩を埋めるフットワークとして、シフティングが効果的であることを改めて実感できたワンシーンでしたね~!
#2 「UFC 307」ホアキン・バックリーのシフティングフック
UFCウェルター級9位のスティーブン・トンプソンを見事にKOした、同級11位のホアキン・バックリー。
バックリーがトンプソンからKOを奪った一撃も、右シフティングフックでしたね~!
#9スティーブン・トンプソン vs. #11ホアキン・バックリー
サークリングの巧者であるトンプソンを捕らえる為に、バックリーはシフティングを活かして大きな成果を挙げていました。
バックリーはダッキング&エルボーブロッキングでトンプソンの長打を掻い潜り、強振フックの慣性に合わせてシフティングで軸足を切り替えて追撃することで、何度もトンプソンとのリーチ差を埋めて強打を撃ち込み、TD(テイクダウン)にも成功しています。
3ラウンド、左構えで懐に潜ったバックリーは、トンプソンのカウンターの右クロスを左エルボーブロッキングで迎撃すると共にシフティングして左軸足に切り替えます。その慣性に乗った状態から右パンチの「キャンセル」で再度シフティングし、右軸足から跳躍することで右リードのリーピングフックを放ち、見事なKOを奪いました!(上記動画はこのシーンです)
この試合でバックリーがダッキング&エルボーブロッキングと併せてシフティングによる打撃またはTDを試みた回数は18回(各ラウンドで6回ずつ)。
そのうち壁に追い詰めて打撃を撃ち込む、TDを獲るといった最大効果を得られた回数(◎)は7回、壁には詰められずとも効果を得られた回数(○)が5回、形には入ったが効果を得るに至れなかった回数(△)が2回、上手く効果が出なかった回数(✖)は4回でした。
1R ◎◎✖◎○✖
2R ✖△✖○◎△
3R ○◎○○◎◎←フィニッシュ(KO勝ち)に成功
1ラウンドと3ラウンドはシフティングによる攻撃が効果的に機能しており、トンプソンの得意な遠距離での攻防を上手く潰せていた印象です。
2ラウンドはニータップTDを成功させたり良い場面もありつつも、トンプソンと間合いが開いてプレッシャーを受ける、攻撃が失敗する場面も多かったですね~💦
トンプソンの様なリーチ差のあるフットワーク使いに対して、最も効果的と思われる壁際のチャンスを作るという意味で、バックリーのシフティングはこの試合において勝敗を左右したMMAテクニックであったと感じます!
バックリーのシフティングは攻撃を「キャンセル」しながら最小の動きで死角を獲るという高度な動きで攪乱しており、打倒トンプソンに向けて精密さとキレを鍛え上げた研鑽を感じさせてくれる素晴らしい動きでした!💖
#3 おわりに
MMAの試合場であるケージは、円形に近く口径が広い特徴を持っており、サークリング&スイッチによるアウトファイトをし易い特性を持っています。
そのような遠距離&リーチ殺法への対策として、攪乱し死角を獲れるシフティングが発展してきたと感じます。
今回の紹介したタン・ジンのようにパンチの強振により力強く高速で接近し一撃を穿つシフティングも、バックリーのようにブロッキングや「キャンセル」と共に素早く最小最短の動きで攪乱して斬り込むシフティングも、どちらもストライキングの幅を広げてくれる魅力的な技術であると感じます✨
リーチの長さやフレームの強さを活かした長打が強さを魅せる現在のMMAストライキングにおいて、シフティングはリーチ差やフレームのパワー差を埋める一手となり得るカッティング技術であり、今後の益々の普及と発展に注目していきたいです!!!