クロネコMMA図書館🐾

ミックスドマーシャルアーツ(MMA)という格闘スポーツについて、コラムや試合レビューを書いています。

UFC 306 ショーン・オマリー vs. メラブ・ドヴァリシヴィリ 感想

 

いや~~大満足!!!

という試合でした!ショーン・オマリー vs. メラブ・ドヴァリシヴィリ!!!

互いに克服するべき課題を乗り越えんとする、素晴らしい競り合いが観られましたね~

これぞMMAの醍醐味!という攻防が凝縮した一戦でした✨

 

試合前から紹介記事を書こうと思っていたのですけれども、色々あって間に合わず…。

簡潔に感想を書いていきたいと思います!

 

#1 「視線誘導の魔術師」…オマリーのKO勝ちへの導線

オマリーは抜群のリーチを活かし、視線誘導によるビッグショットでKOを狙うストライカーです。

最近の試合では特にボディショットを多用しており、オマリーの優れたリーチとストレートの伸びは、一方的に相手のボディを撃ち込むことに成功していました。

このボディショットを「一方的に」当てる、というのが大事で、これによりオマリーはポイントで優位に立ち、射程を把握すると共にヘッドショットへの布石を打つことができます。加えて相手のフラストレーションを引き出してミスを誘う二次的な効果も期待できます。

そのような布石から、相手の視線を誘導しておいて放たれるのが頭部へのストレートや膝蹴りであり、その「導線」でオマリーはKO勝ちを生み出しました。

 

#2 空を切る拳で「魔術」を祓う…ドヴァリシヴィリのTDへの布石

今回のドヴァリシヴィリは、特にこのオマリーの「導線」を引く過程を阻害し、オマリーに布石を打たせなかったという点が一番良かったと感じますね~。

つまり、オマリーに始点となるボディショットを「一方的に」撃たせなかった、という点に尽きると思います。

ドヴァリシヴィリはオマリーのボディショットに再三左リードフックを被せるカウンターを放っており、ほとんどが空を切っていたわけですが、「空振りでも成功している」というMMAの打撃の不思議な特性を大きく活かしていました。

オマリーはボディショットに常にカウンターを合わせられるストレスと、一方的に撃ち込めない事でその先の「導線」を上手く引くことが出来ていなかったと感じますね~。

オマリーに常に反撃を警戒させる、次の動作への導線を引きにくくさせる…「空振りでも成功している」というのはつまり、このような二次効果を生み出すことでTDへのアドバンテージを獲れるということです。

そのアドバンテージはドヴァリシヴィリが最遠距離からのローキック等により布石を敷き、最も重心から遠い部位である足首をアンクルピックで捕らえるというTDへの「導線」を確保することに繋がっていましたね~!

まさしくMMAだからこその王道のグラップラーの攻め手であり、グレイシー柔術から続く定石の攻め方を最新技術で遂行したドヴァリシヴィリは実に見事でした!

 

#3 オマリーの「第2の矢」、そしてドヴァリシヴィリの完遂!

一方でオマリーもTDを獲られて1~2ラウンドこそ焦りをみせて懸命に脱出のため「動いてしまい」、ドヴァリシヴィリの追い込み漁に捕まってしまいました。

しかし、3ラウンド移行はTDを獲られてからも、体力の温存に努めて無理に動き切らない、スタンドアップにとにかく専念するといった姿勢が観られたと思いますね~。

そして、3Rからはドヴァリシヴィリのアンクルピックを徐々に回避するなどTDへの対処も少しずつ出来るようになっており、劣勢のなかにも打開への意欲を最後まで消さなかったことも良かったです。

そういったハードワークのなかにもタフな冷静さを持って耐えるなかで、最終ラウンドにはボディへの中足蹴りをヒットさせることに成功しました。

軌道が下から伸びるボディキックは追い詰められた中で特に光っていたオマリーの得意技の一つであり、これからの進化の為に更なる強化を期待したい重要なポイントであったと感じます!

ドヴァリシヴィリはパンチによるボディショットにはカウンターを合わせて阻害することに成功していましたが、このオマリーの「第2の矢」に即座に対応できていませんでしたね~。

後半はグリップしきれずTDを逃す場面も多かったですし、オマリーの打撃やそのプレッシャーにより、予想以上のカーディオの疲弊があったと思います。

そのような中でも、ダメージを受けながら最後までオマリーに影を踏ませずに、自身のMMAグラップリングを完遂したドヴァリシヴィリは、チャンピオンに相応しい根限りの闘いを魅せてくれたと感じました!

 

#4 おわりに

MMAストライキングもサブミッションも大きな進化を遂げており、今後もフィニッシュシーンが生まれていくでしょう。

ただ、MMAの根幹を成すのは、常にグラップリング…「打投極」の中核を成す「投」です。

打撃を掻い潜り、TDを獲り押さえ込む。それが「グラップラー」。

TDを切り、TDから立ち上がり打撃の距離を作る。それが「ストライカー」。

これらの攻防こそがMMAの根幹であり、それは未来永劫変わることは無いでしょう。

もし変わるとしたら、それがMMAというスポーツの寿命であると言えます。

 

今回の試合は、明確なストライカーとグラップラーの試合でした。

もしかしたら、片方の選手がワンサイドでフィニッシュする可能性もあったかもしれません。

しかし、MMAとしては、2人が「ストライカー」「グラップラー」として双方全力を尽くし、共に進化を魅せてくれた今回の試合がベストであったと感じますね~✨

まさにグレートファイトであったと言えるでしょう!!!!!

 

王者となったドヴァリシヴィリは、既に次戦にウマル・ヌルマゴメドフ戦を控えています。

双方ともにUFCバンタム級の頂点を決めるに相応しい、最も過酷な総力戦を期待していますね~

そしてオマリーも、今回の試合を経て更に進化したスタイルを次戦で観たいです。

個人的にはコーリー・サンドヘイゲンとのストライカー対決を是非観てみたいですね~✨

 

UFCバンタム級を、これからも発展の灯りが照らし続けてくれる。

その大きな可能性が開けた、そんな激闘でした!!!!!🔥

 

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メラブ・ドヴァリシヴィリの入場曲、「サムショブロ(სამშობლო、祖国)」

ジョージアの7人組フォークバンド、バニ(ბანი)による曲です!

こちらがライブ演奏による「サムショブロ」です~↓

入場曲の後半は「サムショブロ」からラップ調の歌?に切り替わっていましたね~(こちらはちょっと分からなかったです💦)

また後で後半の歌についても調べていきたいです!

 

ドヴァリシヴィリの入場曲といえば、「ミディ・ミディ・モフディヴァル(მიდი, მიდი, მოვდივარ、行け、行け、行くぞ)」のイメージだったのですけれども、まさか今回の大一番…チャンピオンシップで入場曲を変えるとは思っていませんでした~💦

わりとMMAで大一番に入場曲を変えるのって良い方向に行かないイメージが強かったのですけれども…そのジンクスを跳ねのけたドヴァリシヴィリの勝利でしたね~。

 

対称的にオマリーはお馴染みルーペ・フィアスコ(Lupe Fiasco「スーパースター(Superstar)」で入場していましたね~。

「貴方が本当にスーパースターであるなら、恐れなど無いでしょう…」という、自身を鼓舞するようなこの歌はオマリーにピッタリだと思うので、今後も変わらずこの歌で入場して欲しいですね~。

ドヴァリシヴィリも「ミディ・ミディ・モフディバル」がピッタリなのでまた入場で使用して欲しいですけれども…今回の「サムショブロ」も良かったので悩みますね!(贅沢な悩みだな~)