
本日は、日本MMA選手がUFCチャンピオンシップに挑む運命の日!
UFCフライ級王者ヴァンに、ランキング3位の平良が挑戦するXデー!
…になる予定でしたが、急遽延期となってしまいましたね~💦
王者ヴァンの負傷による1ヶ月後への延期。
予定されていたマイアミ大会から北上して、ニーアーク大会へ決戦の地は移されます。
ヴァンの負傷からの快復と、平良の長期減量によるコンディション維持。
両者の調整が心配ではありますが、来月のXデーを待ちたいです!!
と、いうわけで、今回はヴァン vs. 平良への現時点での見立てを紹介します!
両者のMMAに対する戦略と戦術とは如何なるものなのか?
今回の試合にあたって、注目しているのはどのポイントなのか?
そのように試合に向けての展望を考える一助になれば幸いです✨
それでは、紹介です~ノシ(楽しみだな~)
はじめに
まずは、試合に向けた基礎情報を紹介します!
2026年5月9日(土) ※日本時間5月10日(日)
アメリカ合衆国
ニュージャージー州 ニューアーク
プルデンシャル・センター
👑UFCフライ級チャンピオンシップ(5分×5ラウンド)
👑
ジョシュア・ヴァン vs. 3
平良達郎
当初はアメリカ合衆国南部のマイアミで行われる予定だったこの試合。
ヴァンも南部のヒューストン育ちで、どちらかといえばヴァンのホーム試合でした。
北東部のニューアークへと移された為、地の利はイーブンにより近づきましたが…
ヴァンはミャンマー生まれのクリスチャンの一族、チン族の出身です。
ですが、MMA選手としてはほぼアメリカ合衆国のMMAチームで育った選手です。
そういう意味では依然としてヴァンのホーム試合であるとも言えますね~。
ジョーンズに次ぐUFC史上2番目の最年少王者が、新たな記録を打ち立てる闘いに臨みます!
平良もアメリカ合衆国のデンバーで調整を行っていますが、アウェー試合といって良いでしょう。
しかし、挑戦者である以上、アウェー試合での勝利を求められるのは当然といえます。
いずれにせよアウェーで逆境を跳ねのける力が無ければ、最高峰の王者とは言い難い。
日本選手として8人目、試合としては9度目の挑戦となる今回の一戦。
日本MMAの国産チームで育った平良が、MMAの歴史に新たな1ページを刻めるのでしょうか!🔥
基礎情報の紹介はここまで。
それでは、各選手の紹介へと移ります!
ジョシュア・ヴァン
"THE FEARLESS" Joshua Van / ဂျော့ရှုအ ဗန်
出身
ミャンマー チン州 ハカ(出生)
アメリカ合衆国
テキサス州 ヒューストン(在住)
(チン族系譜)
年齢 24歳
階級 UFCフライ級(第8代王座、現チャンピオン)
所属 4オンス・ファイトクラブ
構え オーソドックス
経歴 無し(アマチュアMMAのみ)
戦略(Strategy)
・パンチ連打によるKO
東南アジア選手特有の強靭な筋肉のバネを活かしたパンチが最大の武器です。
多くのUFC選手が、予想以上に伸びてくるヴァンのパンチを躱せずに被弾し、ダメージを蓄積されて敗れています。
また、一度相手の懐に潜り込めば、死角から右オーバーハンドや左右のショートフック等のパンチを速射連打して猛烈な追撃を魅せてくれます。
右ストレートや右オーバーハンドを躱されても間髪を入れずにショートフックを速射し、相手の対処能力をオーバーヒートに陥らせるほど連射し続けることのできる若さとタフネスさも魅力ですね~。
ステップインを兼ねる左ジャブ&右ストレートも強力ですが、相手の撃ち始め&撃ち終わりを狙ったフックが最も強力です。
ワンコンタクト内で高密度のパンチを交差させ、相手の処理能力をオーバーヒートさせた隙にビッグショットを叩き込む優れたハードパンチャーです!
戦術(Tactics)
・「後ろ足重心アップライト」によるパンチ連打
「後ろ足重心アップライト」は、かのヴァンダレイ・シウヴァに代表されるMMAムエタイの強力なスタンスです。
後ろ足に重心を置き、背筋を伸ばしたアップライトの構えで後ろ足を引き摺るように動くのが特徴で、ハードパンチャーが得意とするスタイルの一つです。
構造としてはパンチを撃つ「引金」であるトリガーステップ(Trigger Step)の構えを常に維持している状態です。
ヘッドスリップやパンチのフェイントを出して身体が傾いた状態からでも、瞬時に左右ジャブ&ストレートやショートフックを早撃ちできるのが最大の強みです。
ヴァンは右ストレートや左ボディショットで前傾した際にも、スウェーバックして後退した際にも、後ろ足に重心をかけたままアップライトの構えを崩しません。
ステップアウトしたヴァンを追撃しようとして懐に誘い込まれ、ヴァンのカウンターパンチで手痛い逆襲を食らってしまった選手も多いです。
先述したヴァンの「死角に回り込み追撃する連打」のスピードと威力も、この特殊な打撃スタイルから生み出されていると感じます。
また、この構えは前のめりにバランスを崩す事が少ない為、TDを狙われてもスプロールですぐ防御態勢に入ることが出来るという、攻防一体の強みもあります。
この打撃スタイルを維持するには相当の瞬発力とパワー、なによりパンチ力が必要不可欠であり、現在のヴァンにはその全てを備えていると感じます!
弱点(Weak Point)
・射程外からの攻撃(スイッチジャブ、ローキック他)
ヴァンの打撃への反応は非常に速い。特に面して左側からの打撃(相手の右ストレート等)に対する反応は鍛え込まれていると感じます。
一方で、ヴァンはシウヴァ戦で左スイッチジャブをほぼ全て被弾しています。ミドルキックやローキックも何度も被弾していました。
これは面して右側からの打撃への対応が弱いというより、射程外から一気に踏み込んでくる打撃や、射程外から伸びてくる蹴り等には若干対応が遅れるという事なのかな?と感じています。
・懐に入られやすい(クリンチ、ボディロック他)
ハードパンチャーであるが故の弱点です。
どうしてもパンチを撃つときに脇が甘くなりますし、相手のフェイント(レベルチェンジ)にも引っ掛かりやすいです。
シウヴァ戦や鶴屋戦では、明確な劣勢に行かないまでも何度も懐に潜られて防御を強いられています。
・組技・寝技への対応(TD、ポジショニング)
TDについては、シウヴァ戦では後半にレベルチェンジTDを獲られた他、鶴屋戦でもジャパニーズウィザーで背負投を獲られています。
今までの試合では、TDからのエスケープ能力の高さで弱点を補っています。
相手に捕まれた脚を腰から回転させて引き抜くリンプレッグ(Limp Leg)。
下からボディロックで組み、足のフックで相手を前方へ崩すエレベータースイープ(Elevator Sweep)。
相手との間に肘や前腕で隙間を作り、プレッシャーパスやピンを防ぐフレームディフェンス(Frame Defense)。
これらのエスケープ技を身に着けた上で、パワーとバネの強さによる相乗効果でヴァンの優れたTDエスケープ能力が成立しています。
ポジショニングについても、現在の時点ではまだ大きな隙を観せてはいません。
チャイレス戦では自分から50/50ポジションに引き込みフットロックを狙っていますし、その後にダブルレッグTDでトップポジションも獲り切っています。
鶴屋戦でエレベータースイープからエスケープを成功しているように、MMAで必須のボトムポジションからのエスケープ強化を決して疎かにはしていないと感じます。
但し、一級のグラップラーとは対峙した事が無いため、依然として一番の不安要素である事は確かです。
パワーとバネの瞬発力が通じない程の寝業師に押さえ込まれた時、今までのスタイル自体を崩してしまう懸念はまだ払拭できていないと感じます。
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ジョシュア・ヴァンはキリスト教プロテスタントを信仰するチン族の出身です。
Instagramでも、新約聖書の「ローマ人への手紙」の一節を引用し、勝利を誓っています。
平良戦に向けて(Outlook)
ヴァンは接近戦を狙うハードパンチャー。TDされるリスクとは常に隣り合わせです。
リーチを13cmも上回られる平良に対して如何に消耗をせずにTDを防御し、寝技からエスケープできるか。それが勝負の天秤を左右します。
ヴァンは特化型の寝業師との対戦経験が少ないため、平良戦は未知との遭遇です。
果たして、ヴァンは打撃の世界に自力で寝業師を引き込めるだけの総合力があるのか。
MMA選手として、チャンピオンとして真の実力が試される「証明の一戦」です!
ヴァンの「後ろ足重心アップライト」は強力なスタイルですが、一方でパンチの一撃でKOする可能性は低くなってしまいます。
つまり、寝業師を相手にすると、脇を差されて組まれるリスクが高いということです。
平良戦ではスプロール&ブロウルとフレームディフェンスで脇を譲らず突き放し、「先の先」を捕らえた伸びのあるロングショットで平良の出足を食い止めていく事が大切になります。
出足を食い止められれば平良は消耗し、寝技だけでなく打撃戦に色気を出すしかなくなります。
そうなればヴァンの主戦場であるショートパンチの打撃戦に引き込むことができます。勝機はグッと上がるでしょう!
ヴァンは右カーフキックの乱発は控えた方が良いかもしれません。射程を合わせるローキックは、優れた寝業師に対して蹴り足をカットされる大きなリスクと隣り合わせです。
序盤はパンチの攻防で差をつけながら、平良がパンチに警戒した時に要所で右カーフキックを撃つ。
クリンチやレベルチェンジにスプロール&ブロウルを合わせる事に注力し、蹴り足は絶対に献上しない。
後半戦にフェイントの手段として右ティープ等を温存しておく。というのも一手では無いかと思います!
最も脅威なのは、平良にTDされてポジションを獲られてしまうことです。
平良にバックテイクまで到達されれば不利さは如何ともしがたく、それ故に何としてもボトムで冷静にエスケープを狙いたいところ。(ここは後述します!)
平良にTDされても決して焦らず、エスケープを狙いながら消耗させ続けること。
仮にエスケープできずとも正面から暴れ続けて、次のラウンドの逆襲へと望みをつなぎたいところです!
私的な視点としては二つ、試して欲しいと思っている手があります。
・右アッパーカットや右ボディニーの「昇弾」を狙う
ヴァンの得意技の一つに、レバー(肝臓)を狙った左リバーショット(Liver Shot)が挙げられます。
また、右アッパーカットも撃つこと自体は少ないものの、高い威力を誇っています。
平良はボクシング&レベルチェンジの前傾姿勢を基本にとる選手である為、死角を狙うとすれば刺突(ジャブ、ストレート)と挟撃(フック、エルボー、ラウンドキック)に加えて昇弾(アッパーカット、ニー)を効果的に出す必要を感じます。
顎やレバーに昇弾を撃ち込めればベストです。ロイヴァルは平良戦でシングルレッグTDにカウンターのストレートニーを合わせてダメージを与えていました。
ヴァンはロイヴァルと違い平良とフレーム差がある為、特に顎への一発狙いは失敗すればラウンドを失うリスクが高いです。
レバーを狙う左リバーショットもリーチ差がありオーソドックス同士の平良にはやや狙いづらい。接近戦で組まれるリスクがどうしても跳ね上がるので、狙うには消耗させて下地を積み重ねる必要があると感じます。
一方、平良はフックの強振からクリンチ(特に首相撲)を狙うやや強引な寝技へのアテンプトを行う傾向もありますから、クリンチで強引に組んできた時は昇弾のチャンスです。
顔&ボディへの左リバーショットや右アッパーカット、鳩尾への右ボディニーを突き刺して怯ませていきたいですね~。
ただし、クリンチでも昇弾を狙って脇が開いてしまうと、ボディロック(シートベルト)で組まれたり、アンクルピックやニータップで足を掬われたりするので要注意でしょう。
あくまでもクリンチ勝負ではパワーを活かした突き放しに徹して、平良が消耗してきてくれた時に前述した左リバーショット、右アッパーカット、右ボディニー等の昇段でダメージを与えていく事で、右オーバーハンド等での頭部への致命の一撃へと繋げて欲しいです!
・TDされても冷静にエスケープを試み続ける
平良のように方程式を持った寝業師に対して、安易に背中を見せてエスケープを狙うべきではありません。
MMAでボトムガードからやるべきことは、唯一つ。
エスケープを成功させる為に、正面から真っ向勝負する…「撤退戦」です。
撤退戦に必要な必須項目の一つに、「寝業師のベースを崩すこと」が挙げられます。
ベースを崩す為に、まず「両膝をつかせない」ことに注力して欲しいですね~。
たとえば、バタフライフック(Butterfly Hook)で正面から片側だけでも腿を上げさせられれば、寝業師の侵略を防ぐ「防波堤」として機能します。
ニーシールド(Knee Shield)も状況によって使い分けられれば、更に同様な効果を期待できます。
尤も、平良のようにシートベルトまで使いこなす相手に対しては、アンダーフックやフレームディフェンスなどスペースを作る動きを併用し、防波堤を築きたいところです。
ヴァンが鶴屋に試みたエレベータースイープは、この点において非常に機能的でした。ヴァンは鶴屋のピンを崩し、スイープで片膝を浮かせ、アンダーフックからドッグファイトに持ち込んでエスケープしています。
平良に対して防波堤を築くことが出来たら、リンプレッグやヒップハイスト(Hip Heist)で正対しながらエスケープを狙って欲しいです。
ヒップハイストによるエスケープはパクも平良戦で試みていましたが、パクは防波堤を築けないまま強引なエスケープを狙って失敗しています。
平良に対して、十分に防波堤を築くまではエスケープを試みるのは非常に危険です。
しかし、ヴァンのMMA選手としての真価は、TDを奪われた瞬間から始まる「制限時間」内に、如何に先手を獲って防波堤を築けるか、そこにこそあるでしょう。
UFCフライ王者として、エスケープの闘いにも正面から闘い続ける姿をこそ観たいですし、撤退戦が出来ることを証明して欲しいです!
この試合におけるヴァンの肝は、
「➀後ろ足重心アップライトを崩さずに、前に攻め続けて圧力をかけられるか」
「②TDを獲られた時に、余力を残してエスケープすることが出来るか」
の二点かな、と感じます。
フレームで不利なヴァンの強みは、どの局面においても「バネを活かす」ことにあります。
平良は前傾姿勢で重心が重く、全ての攻撃がフルパワーである一方で、小回りが効かない弱点もあります。
パワーすら平良が上の可能性もありますが、ヴァンにはバネの爆発力が生む瞬発力にこそ勝機を見出して欲しいです。
2人ともオーソドックスで構えは固定していますから、サウスポーばかりと闘ってきたヴァンにとって吉と出るか凶と出るか。ここにも注目しています。
10cmの身長差と13cmのリーチ差という圧倒的な不利を覆すには、懐に入ってきた平良を「先の先」で捕らえると同時に、懐でも上中段への速射連打から突き放すまでをセットで続けて暴れ続けることが必要になります。
寝技からもエスケープを狙い続けて欲しいですし、長期戦の激しいガンファイトで分があるのはヴァンでしょう。リーチ差を踏まえても、ヴァンのボクシングは卓越しています。
平良から如何にして打撃戦の色気を引き出すか。TDを防ぎ、エスケープ出来るか。
チン族の若き王、ヴァンには下馬評を覆す獅子奮迅の闘いを期待しています!🔥
平良達郎(タイラ・タツロウ)
出身
日本
沖縄県 那覇市
年齢 26歳
階級 UFCフライ級(現ランキング3位)
所属 ザ・ブラックベルト・ジャパン
構え オーソドックス
経歴 ブラジリアン柔術
戦略(Strategy)
・ポジション確保による無力化
日本選手らしい重厚なボディと腰のベースにより相手のバランスを奪い、四肢の長さを活かしたポジション確保で無力化する特筆すべき寝技の強さを持ちます。
多くのUFC選手が平良にガードを容易く突破され、バックテイクによる完全捕縛で無力化されています。
その秘訣は応対せざるを得ない致命のポジションで主導権を握る「先手」と、複数箇所を同時にロックして逃げ場を無くす「詰手」との二点に集約されます。
平良に対し、定石の寝技対策では容赦なく退路を塞がれ、袋小路まで誘導されてしまうでしょう。
ポジションという死地に相手を追い詰め、得意の狩場で容赦なく無力化する。そんな寝技の真価を魅せることのできる選手であると感じます!
戦術(Tactics)
・「先手」のクロスフェイス&シートベルト、「詰手」のボディトライアングル
平良の寝技の特性は、大きく三つの技による二つの工程で構成されています。
前述した「先手」を獲る工程と、「詰手」を獲る工程の二つです。
「先手」を獲る最初の技がクロスフェイス(Cross Face、枕)。
ガードパス(ハーフ、マウント)を獲る前段階、相手に対してボディを斜めに押さえるプレッシャー&ピンの動きです。
斜めに押さえられる事は相手の脱出を困難にし、応対せざるを得ない動きを強いれる主導権を奪う技ですね~。
「先手」を獲る二つ目の技がシートベルト(Seatbelt、襷掛)。
押さえられた相手は必然的にタートルポジションへ移行せざるを得ず、そこを先回りして相手を斜めにボディロックするバックテイクの動きです。
ここでも斜めに捕縛することでバランスを奪うことができます。対応された際にも背後を獲り続け、有利なポジションを守りながら次の「詰手」に移行できます。
そして「詰手」を獲るのがボディトライアングル(Body Triangle、胴三角絞)。
背後からの無力化を完全にする為、相手の胴を三角絞で捕らえるバックテイクの動きです。
平良のボディトライアングルによる捕縛は実に強力で多彩で、他の技と併用させる事で「詰手」はより強力になり得ます。
特筆すべきはパワーハーフ(Power Half)とブルームスティック(Bloomstick)の二つ。
パワーハーフは相手の後頭部を圧するネルソンホールドの一種であり、ブルームスティックは相手の片膝裏に脚を差し込む捨身のテイクダウンです。
相手が立ち上がろうとしても、ボディトライアングルに二種の技を併用させて堅牢な捕縛を実現させていると感じますね~!
弱点(Weak Point)
・テイクダウン(TD)失敗率の高さ(TDへの連携技の少なさ)
平良の主戦場となる寝技に持ち込む為のTDには、また改善の余地が残されています。
平良は右ストレートとレベルチェンジの初動を被せ、シングルレッグやダブルレッグTDを狙います。
右ストレートが十分に脅威となっていれば成功率が高まり、逆に右ストレートの脅威が減ってしまうと、必然的に遠距離などから強引にTDを試みざるを得ません。
その結果、相手に動きを予測されスプロール等でTDを切られる、ないしはギロチンチョーク等のTDカウンター技で動きを制限されてしまう場面が多いです。
TDカウンターについては、正直なところ平良が今までギロチンチョークの形に入られることはあっても、極められる程に深く入られたことはMMAではほぼ無いので取り越し苦労な感もあります。
しかし、動きを制限されてしまえば寝技で十分な攻撃をする時間が奪われてしまいますし、ギロチンチョークに入られただけでジャッジに悪印象を持たれてしまう可能性も否定できません。この弱みは早い段階で消していって欲しいですね~💦
・打撃の緩急の少なさ(パンチのパワー配分の不足、初動の読まれ易さ)
多くの日本選手と同じ打撃戦による課題を、平良もまた残しています。
前提として、平良のリーチを活かした右ストレートは素晴らしい威力であり、右アッパーカットや左ジャブ、左ハイキックといった打撃はどれも魅力的です。
ただし、打撃戦で重要なのは一撃の威力だけではありません。
如何に本命の打撃を悟らせず、本命の打撃以外の打撃を少ないパワーで撃つか、という点が、平良だけではなく日本選手の多くが不得手な分野であると感じます。
平良のパンチはいずれもフルパワーに近く、相手に見せるだけのパンチや相手に距離感を錯覚させるパンチを撃つのは苦手な印象です。
その為、後半になるほどパワー配分不足による消耗でフォームの崩れが観られると感じます。
この弱点はリーチを存分に活かして最大遠距離に陣取ることでカバーできている部分もあると思います。
・打撃の被弾によるダメージ蓄積(前傾姿勢、フットワークの隙、回避の困難さ)
もう一つの打撃戦の懸念は、打撃戦の重心操作にやや隙が残るという点です。
平良だけでなく多くの寝業師が直面する課題で、前傾による圧力を持つ一方で「振り子」のような重心操作が難しくなってしまいます。
その為、平良はフットワークの切れ目に一瞬静止することがあり、ロイヴァル戦ではこの隙に右ジャブや左ストレートを撃ち込まれてしまいました。
背筋がしっかり伸びているぶん咄嗟のパンチへの回避は困難であり、打撃の被弾時にダメージを逃がせず蓄積してしまう不安が残りますね~💦
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平良は琉球民族の系譜を継ぐ沖縄県出身の「島人(シマンチュ)」です。
Instagramでは、沖縄県の民族衣装「クバ笠」を被り自身のルーツを示しています。
ヴァン戦に向けて(Outlook)
平良が誇る寝技…「先手と詰手」の必勝の型に、如何にダメージを消耗せずにヴァンを引き込めるか。それが勝負の天秤を左右します。
現在のMMAには、寝業師が致命的に不利になるルールが一つあります。
それは、ラウンドが区切られているということ。
つまり、「ラウンド毎に強制的にブレイクされ、ラウンド毎にTDを獲り直さないといけない」というディスアドバンテージです。
平良はロイヴァルからTDを獲り、一時は無力化させて追い詰めるも、ラウンド毎に消耗とダメージでTDを獲るのが困難になっていき、前後に被弾した打撃のダメージで敗れてしまいました。
MMAである以上、ヴァン戦で似た展開が起きない保証はありません。
逆に、このディスアドバンテージを埋めることが出来れば、勝機はグッと上がるでしょう!
私的な視点としては二つ、試して欲しいと思っている手があります。
・ヴァンの左前脚(軸足)を攻める
平良が最も陥ってはならないミスは、ヴァンに対して打撃戦に色気を出し過ぎてしまうことです。
しかし、決して打撃戦を捨てる必要もありません。
圧倒的なリーチ差がある以上、打撃でも優勢に立てればそれに越したことはない。
ただし、平良がフルパワーでヴァンの頭を狙って単発のパンチを撃っても、「後ろ足重心アップライト」相手にはカウンターの餌食になりかねないです。
さらに、2人は共にオーソドックスで構えが固定している為、ヴァンはサウスポー達を相手にしてきた今までよりパンチを撃ち込み易くなる可能性もあります。
あくまでも、打撃戦はヴァンの土俵であることを念頭に置いた上で、リーチ差を活かせる戦略を立てる必要があると感じます。
その一例として、前傾した左前脚を攻めてヴァンの優勢を崩すという手があります。
左前脚はパンチャーの軸足であり、軸足を殺すことはパンチャー対策の定石です。
軸足を挫けばパンチの威力を削ぐことが出来ますし、同時にTDに対する防御も弱めることが出来ます。MMAにおいて成功すれば一石二鳥の効果があります。
先のパントージャ vs. 朝倉は例として記憶に新しいと思います。左前脚に攻撃をチラつかされることは、それ自体が強烈なストレスとなり、出足を鈍らせる効果があります。
但し、ヴァンのパンチの射程距離内ではカウンターを貰うリスクが高く、また後ろ足に重心を置くヴァンには蹴りをカットされ無効化される危険性もあります。
その為、左前脚を狙うならリーチ差を活かした最大遠距離からフェイントを混ぜて意識を散らした瞬間を狙い撃つことが重要になってくるでしょう。
最も効果的なのは、右後ろ脚による膝を狙ったジョイントキック(間接蹴り)です。
ただ、ヴァンは若く、脚力も非常に強い。ヴァンに小外掛を狙った相手が、軸足の強さに逆にバランスを崩して転倒した例もあります。甘い攻撃では崩せない。
鶴屋も右サイドキックをヴァンの左腿に撃ち込んでいましたが、距離を作るだけの甘い蹴りではヴァンの勢いを止めることは不可能でしょう。
狙うならカカトを落として左膝への全力の一点狙い。それ以外はダメージを通せる可能性は低いです。
またサイドキックは重心が崩れやすく、出来ればパントージャの様なヴァレリーキックが撃てるとベストですね~。(先のパントージャ vs. ヴァンでも実は期待していました。)
サイドキックで撃つなら、右ストレートをフェイントに散らした右後ろ脚によるジョイントキックか、左ハイ&ミドルを散らした左前脚によるジョイントキックかの二択になると思います。リーチ差を活かしたジョーンズ戦術を狙っていきたいです。
第二の手は、ふくらはぎを狙う右カーフキックです。
平良の右カーフキックは長いリーチを活かした効果的な打撃であり、これまでの試合でも相手を転倒させる場面も観せています。
右カーフキックを狙うなら、左ジャブ&右ストレートやレベルチェンジのフェイントでヴァンの意識を散らし、ヴァンが居着いた瞬間を狙って蹴り抜くことが必要になってくるでしょう。
平良はスイッチして下がることも出来るので、距離を詰められたら一瞬下がり、すぐにスイッチジャブ&右カーフキックで押し返す、というコンビネーションも有効だと感じます。
ただし、前述の通りヴァンは非常にタフネスであり、ダメージを与えられる右カーフキックの威力があって、初めて他のフェイントや牽制の打撃も生きてくると感じます。
鶴屋もチェックフック等を狙っていましたが、居着いた腰で威力が乗らずに撃った為にヴァンに劣勢を悟られ、逆に攻め込む隙を与えてしまいました。
フェイントや散らしは大切な布石ですが、本命の打撃をカウンターのリスクも覚悟して強打する必要があるでしょう!
第三の手は、蹴りを使えない場合にパンチで軸足を狙うという火急の奇策です。
左前脚を狙って左ジャブ&右ストレートを撃ち込むという一風変わった攻撃ですね~。
本来は脚はよく動くために標的にするには不向きなのですが、リーチ差がある平良ならロングフックのように振り抜いたパンチでも一定の牽制効果が出せると感じます。
平良が前傾姿勢を基本とし、左ジャブや右ストレート等の刺突打撃が得意で、レベルチェンジTDの触られることに圧力を出せる寝技師であることを踏まえれば、遠距離からカウンターに注意して撃てば十分に牽制効果が出せると思います。
欠点としてはジョイントキックやカーフキック程にはダメージを与えられないこと、前傾して頭を差し出すのでカウンターを貰えば大ダメージは必至ということで…やはり火急の策ではありますね💦
それでも、闇雲に一発逆転を狙ってパンチの撃ち合いに巻き込まれない為の牽制に徹すれば、一定のストレスをヴァンに与えらる可能性はあると感じます。
勿論ひとつの打撃に一辺倒ではすぐに読まれてカウンターの餌食となる為、バランスよく揺さぶり本命の寝技にも繋げることが出来れば「ザ・ベスト」では、と感じていますね~✨
・TDアテンプトから、複数の経路でバックテイクを狙う
ヴァンの筋肉のバネによるTDへの抵抗力は尋常ではありません。パントージャの首相撲を引きはがし、鶴屋のトップキープを全て弾き返したパワーは侮れない。
遠い距離からシングルレッグで獲り切れないor獲ってもガス欠する、というのが一番ジャッジの印象も悪く、後半戦にも辛く、ヴァンを有利にさせてしまいます。
これらのヴァンの危険性を最大限に無力化する為にも、バックテイクを狙うことが最大の勝利条件となってきます。
故に、レベルチェンジ&シングルレッグの始点からバックテイクを狙える複数の経路を用意して攻めて欲しいです!
第一に、シートベルト(ボディロック)への連携を狙い続けて欲しいです。
理想は福田戦のように蹴りをカットしてヴァンの体勢を崩し、シートベルトで一気に組みつき打撃戦を封じること。
勿論ベストはシングルレッグ一発でTDを獲れることや、ボディロック&シートベルトに連携して小外掛等の足を払いでTDを獲れることです。
しかし、もしヴァンの防御にTDを防がれたとしても、背後をとって無力化し、消耗させられれば当初の目的は達せられます。
なので、最終目標の候補にはリアクリンチ(Rear Clinch、スタンディングバック)を想定して攻めて欲しいです。
平良のシートベルト(ボディロック)の目的はポジションを確保してヴァンの打撃を無力化することであり、極論を言えば必ずしもTDを獲る必要はありません。
シートベルトから脇を潜ってリアクリンチに持ち込めれば、その目標は一定の成果を出せます。
ヴァンの上体および片腕を無力化させたリアクリンチなら、時間をかけてTDを獲る攻めができますし、それでも防御が厳しければブルームスティックを刺してバックパック(Backpack、飛びつきバックテイク)でペレス戦の再現を狙っても良いかと思います。
ただし、完全にバックパックで背後に乗ってしまうと、ヴァンは捨身の振り落としを狙ってくる可能性もあるので、そこは注意点ですかね~💦
シートベルトを組めずに定石の手が封じらても、第二の手であるシングルレッグTDに望みを繋げて欲しいです。
しかし、ヴァンにスプロールで潰され、死に体を晒すことは避けねばなりません。
同様に、ロイヴァル戦のようにTDカウンターのストレートニーを被弾することも避けねばなりません。
故に、長身のアドバンテージとケージの壁を活かせる「押し込みシングル」でTDを狙って欲しい。
中腰の90°直角に構えて頭を外側に出さずに相手の胸(または肩)にぶつけるよう突進し、シングルレッグで片脚を抱えれば、残ったヴァンの後ろ足を崩すだけでTDを獲ることができます。
ここから平良の得意な「三所攻(みところぜめ)」を狙っていければベストです。
残った後ろ足を大内刈で払い、「胸(肩)への押し込み」「シングルレッグ」「大内刈」の三ケ所を同時に攻めてTDするこの技を、平良は既にUFCで成功させています。
但し、こちらのTDはヴァンにエスケープされる隙がより多くなるというリスクがある為、ケージを活かしてあくまでもバックテイクに連携させることが大切かな、と感じます。
前述の二経路でなくとも、バックテイクに持ち込みラウンドを支配できれば成功です。
もし長期戦になれば最低でも5回はヴァンをTDしなければならないですし、短期決戦であっても、サブミッションやパウンドに体力は極力温存するべきです。
消耗やカウンターのリスクを最小限にしてTD&バックテイクすることを大切に攻めて欲しいです!
この試合における平良の肝は
「➀序盤のラウンドで消耗せずにTDを獲ることが出来るか」
「②序盤でガス欠せずにポジションを確保することが出来るか」
の二点かな、と感じます。
序盤に消耗してTDを獲っても、またTDを獲った後にガス欠をしても。
後半ラウンドに棒立ちになった所をヴァンにパンチで逆襲されてしまう危険性が跳ね上がります。
もちろん理想はパク戦のように右ストレートでダウンさせて無傷でバックテイクに持ち込むことですけれども、MMAにおける寝業師のディスアドバンテージを理解して、ダメージを最小限にしたまま長期戦でヴァンを無力化していく事も視野に入れて闘って欲しいです!
おわりに
色々と書きましたが、最終的には「未完の大器」同士の対決という結論になります。
二人はともに未完のMMA選手であり、だからこそ予想を超えてくれる可能性に満ちています。
どちらかが序盤に「懸け」に勝ち、ワンサイドで圧勝する可能性もあるでしょう。
このような若手同士のUFCチャンピオンシップは、経験不足が出てしまうこともあります。
その上で、両者の全力で勝ちに徹した闘いの末に、それぞれが互いの限界を引き出し合い、新たな時代の到達点を魅せてくれる試合に期待しています!
兎にも角にも、両選手ともに良いコンディションで試合当日を迎えられることを願っています✨🙏🏻✨