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ミックスドマーシャルアーツ(MMA)という格闘スポーツについて、コラムや試合レビューを書いています。

サカラ祭りinローマ!「Legio's Arena」にてカポエイラ使いがカーフスライサー一閃!



[現在試合のライブ映像が公開中です。…メイン2試合は2時間12分頃から]

南ヨーロッパ
=Legio's Arena=
11月29日 $『ケージ』と『本棚』と『音楽』と ~Cage &Books &Music~-イタリアイタリア(ローマ)

イタリア人として唯一UFCに本格参戦している、「レジオーナーリウス(古代ローマの「軍団兵」の意)」アレッシオ・サカラが主催するMMAイベント「レジオズ・アリーナ」が開催。スペシャルゲストにリコ・ロドリゲスを招待し、母国イタリアでアマ・プロのMMA試合を行いました。
試合場はヘキサゴンタイプで、少し小さめの黒いケージリングです。
演出的にはシンプルで、音楽がとてもオシャレですね~。
ビアンキニvs.ランゴネ戦後の休憩時間には、カポエイラのデモンストレーションが行われるなど、独自の演出でイベントに華を添えていました。(イタリアには100校以上のカポエイラ学校があるほどカポエイラの人気があり、ブラジル人の留学生も多いらしいですよ。)

[ダブルメインイベント第2試合 77kg級]
アンデウソン・ダ・シウヴァ(ブラジル/カポエイラ・センザラ・ウナイ)
vs. エウジャニウ・エレンドレア(モルドバ
Anderson "Morcego" da Silva vs. Eugeniu Delendrea

ダ・シウヴァ勝利 1R サブミッション(リバース・カーフスライサー)
モルドバムエタイ選手エレンドアがメインに出場。本来はモルドバゲオルゲ・グリティコと対戦予定でしたが、グリティコの負傷により対戦相手が変更、ブラジルの"モルスィゴ(蝙蝠)"ダ・シウヴァが出場しました。
ダ・シウヴァは1977年10月28日生まれのカポエイラ・マスターで、カポエイラを学ぶために2002年よりイタリアに移住している選手です。
試合はカポエイラのバックスピンキックなど積極的に攻めるダ・シウヴァに距離を捉えきれないエレンドアという立ち上がり。バックから引き倒すようにテイクダウンを獲ると、一気に関節技の波状攻撃を仕掛け、最後はカーフスライサーが炸裂し圧勝のサブミッション勝利となりました。
勝利したダ・シウヴァは鮮やかな側転パフォーマンスで大会を締めくくりました。


[鮮やかな勝利を見せた"モルスィゴ(蝙蝠)"アンデウソン・ダ・シウヴァによるカポエイラの紹介PV]

[ダブルメインイベント第1試合 84kg級]
ランベルト・ラフィ(イタリア)
vs. ジョバンニ・ルチアーニ(ブラジル/ジュージツ・ファクター)
Lamberto Raffi vs. Giovanni Luciani

ルチアーニ勝利 2R TKO(タオル投入によるギブアップ)
イタリアの柔術の先駆者であるラフィと、今年のトリノ柔術選手権の青帯アブソリュート(無差別)級優勝の新鋭柔術家ルチアーニとのMMA対決が組まれました。
思い切りの良いフックを打ち攻めていくラフィですが、1R半分で激しく消耗し動きが落ち、ルチアーニはテイクダウンを獲りガンガン攻めていきます。2R序盤にラフィのコーナーマンがタオルを投げてルチアーニのTKO勝ちとなりました。ルチアーニはブ厚い上半身が印象的で、仕留められなかったものの終始グラウンド&パウンドで抑え込みワンサイドで試合を制しました。
試合後セコンドに飛び乗って喜ぶルチアーニが可愛い。

以下はセミプロ選手によるアマチュア契約の試合です。

[77kg級]ルカ・ピスカレッリ vs. イズマエル・フォスカリーニ
Luca pisciarelli vs. Ismael Foscarini

フォスカリーニ勝利 2R 判定
拮抗し互いに攻め切れない打撃戦。ところどころ蹴りも混ぜていくフォスカリーニと、直線のパンチでアドバンテージを取ったピスカレッリ。常に攻めの姿勢を保ち徐々に手数でも勝ったフォスカリーニがぎりぎりの判定勝利。

[77kg級]アレッサンドロ・トゥッチャレッリ vs. ダニーロ・ディ・メッラ
Alessandro Tucciarelli vs. Danilo Di Mella

トゥッチャレッリ勝利 2R 判定
スパルタン系の髭を貯えたボクシングスタイルの両者。ゴッツリした体格からKOパワーのある拳を打ち込むトゥッチャレッリと、被弾しながらも回転の速いフックで反撃を試みるディ・メッラ。フロントチョークでも攻めたトゥッチャレッリが二度のローブローを受けながらも判定勝利。

[71kg級]ジョルダーノ・スパレッティ vs. マウロ・ペトルツェッラ
Giordano Spaletti vs. Mauro Petruzzella

スパレッティ勝利 1R サブミッション(フォアアームチョーク)
伸びのある左ストレートから一気にダウンを獲ったスパレッティ、そのままマウントを奪取しフォアアームチョーク(前腕ギロチン)でタップアウト勝利。スパレッティは手足が長く動きにも迷いが無いので、順当に行けばプロの世界でも活躍できるかも。今後にちょい期待の選手です。

[67kg級]ガブリエレ・リメッシ vs. レオナルド・シルベストリ
Gabriele Rimessi vs. Leonardo Silvestri

リメッシ勝利 2R 判定
寝技戦となるもバックを獲りコントロールしたリメッシが圧倒。何度かチョークが極めかかる場面を作るもシルベストリももがき続け生き残りました。

[70kg級]フェルナンド・ビアンキニ vs. ダビデ・ランゴネ
Fernando Bianchini vs. Davide Langone

ビアンキニ勝利 1R サブミッション(袈裟固めからのレッグ・アームロック)
荒々しい打撃戦からビアンキニが鋭い投げを見せ、そのまま袈裟固めの体勢に。
ランゴネの右手を脚で挟んだビアンキニが捻り、かなり凄いベキキッ!という音がしてランゴネは戦闘不能に。
良く見えませんがランゴネは肩を負傷し、試合後も腕を上げられず苦しそう。ビアンキニ勝利がコールされるも、ビアンキニは心配しランゴネと一緒にリングを去りました。
即担架で検査してほしい怪我でしたし、ランゴネの怪我は心配です。予想外の事態に対応がすぐ取れないのは、アマチュア故の怖いところだと改めて感じる試合でした。

[77kg級]ステファノ・ロレンティ vs. ファビオ・ディ・ジェス
Stefano Laurenti vs. Fabio Di Gesu

ドロー 2R 判定
がっぷり四つに組み合い打ち合う好試合。2Rにロレンティがパンチを効かせマウントを獲るも、ディ・ジェスがリバースした所で試合終了。勝負は引き分けとなりましたが、男らしい試合に会場からも拍手喝采

[77kg級] ルカ・パンセリ vs. ジャコポ・ヴァレンティ
Luca Panseri vs. Jacopo Valenti

ヴァレンティ勝利 3R 判定
優れたレスリングテクニックを見せたヴァレンティが判定勝利。
この試合のみヘッドギア&レガース着用でした。

[おまけ]
ダ・シウヴァの極まり手「カーフスライサー(The Calf Slicer)」はふくらはぎを圧縮する足関節技です。

相手の片脚のひざ裏に手を挿しこみ、その脚のふとももと脛を包むように自分の脚を三角締めのように引っ掻けて、ひざ裏の手を軸にサンドイッチのようにグイッと挟み込むことでふくらはぎ(カーフ)を押しつぶす圧縮系のサブミッションが完成します。
ダ・シウヴァやUFCのシャーリズ・オリヴェイラ(ブラジル)が見せたリバース・カーフスライサーはこの変形技で、ひざ裏のポイントを自分の脛を挟み作って、両手を使って脚をアームバーのように引くことでふくらはぎを圧縮させています。使う部位は違ってもやっていることは同じですね(実際はオリヴェイラのカーフスライサーはもう少し複雑みたいです)。リバース・カーフスライサーはバックから仕掛ける変則技で極まるとディフェンスが難しく、エレンドアも対処できぬままタップをしてしまいました。
ルールで使用が禁止されている場合もある足関節技のひとつですが、ダ・シウヴァのように積極的に取り入れる選手がいると対策も進み、新しい展開も増えると思うのでこれからが楽しみです。チャオーー!!


[ショーン・ロバーツ(Sean Roberts)さんによるカーフスライサーの解説動画。非常に分かりやすいです。]