クロネコMMA図書館🐾

ミックスドマーシャルアーツ(MMA)という格闘スポーツについて、コラムや試合レビューを書いています。

【6.23】環太平洋の激戦区!UFCシンガポール大会 安西信昌vs.ジェイク・マシューズ編

6月23日のUFCシンガポール大会では、5人の日本MMAファイターの参戦が発表されています

5人中4人はキャリアの中でもトップクラスの「大物」と戦う、日本MMAにとって激戦区となった本大会。

今回はウェルター級の一戦、安西信昌 vs. ジェイク・マシューズ紹介です

 

UFC Fight Night 132

-Cowboy vs. Edwards-

2018年6月23日(土) インドアスタジアム(シンガポール

 

ウェルター級(77kg級) 5分3ラウンド(15分制)

安西信昌 vs. ジェイク・マシューズ 

Shinsho "Animal" Anzai vs. Jake "The Celtic Kid" Matthews

 

「豪州の星」ジェイク・マシューズは、オーストラリアMMA屈指の人気選手です。

親子二代のトレーニングで19歳の時にMMAデビュー。

UFCデビュー後はオーストラリア大会で3年間皆勤賞(!)で出場し、スリリングな打撃の攻防で魅せる激闘派ストライカーです。

 

そんなマシューズに挑むのが、「不動の野獣」安西信昌(あんざい しんしょう)です。

真言宗智山派法恩寺の生まれで、フリースタイルレスラー「アニマル安西」という名前でMMAデビュー。

その後、強烈なフックとレスリングを混ぜた日本MMA有数のパワーファイターとして活躍しています。

 

マシューズはライト級で連敗し、起死回生のウェルター級再転向から2連勝中。

3連勝目を狙うこの試合で、久しぶりの海外遠征となりました。

安西にとっては、アンダードッグの立場から大きな獲物を狙える位置に着きました。

嵐のような連撃を見せるマシューズを、安西は跳ね返せるのでしょうか!

 

🌀🌀🌀🌀ウェルター級再転向で逆襲を狙う暴風、「豪州の星」ジェイク・マシューズ🌀🌀🌀🌀

 

ジェイク・マシューズはキャリア初期の19歳の時に、格上のルーク・ジュモーを打ち破るアップセットを起こします。

TUFではオリヴィエ・オーバン・マルシエに一回戦で敗れてしまうものの、翌々月のニュージーランド大会でライト級に転向してUFCデビュー、ここからキャリアの躍進が始まりました。

UFCではインパクトの強い勝利と痛恨の挫折との繰り返しで、アグレッシブさ全開の試合とアップダウンの激しいキャリアのなかで確実に進化を遂げてきたタフさが魅力ですね~。

 

コーチでありお父さんでもあるミック・マシューズ(画像右)と生み出した我流のMMAは、縦構えで軽くステップを刻みながら、瞬時に飛び込んで長打を叩き込む出入りの激しいストライキングが特徴的です。

 

 

 

 

初期キャリアでは右ストレートとダブルレッグテークダウン(以下TD)の二択で押し切っていましたが、UFCで生き残るためにスイッチを混ぜる「両利き」のファイターへ進化を遂げています。また、ウェルター級に再転向したことで以前の軽やかさを失った代わりに一撃の破壊力は増し、まさにロバート・ウィテカーのような逆襲を狙えるポジションといえます。

 

 

 

🐚🐚🐚🐚沈黙から解き放たれ、いよいよ大物と対戦。「不動の野獣」安西信昌🐚🐚🐚🐚

 

安西信昌は25歳の時にレスリング実績を誇る田中章仁との「レスラー対決」で完勝するアップセットを起こし、日本のライトヘビー級で注目を集めます。

ミドル級へ転向するとウィル・ノーランドや川村亮を豪打で立て続けにKOで打ち破り、一気にUFCへとキャリアを進めました。

UFCでは更にウェルター級へ転向、デビュー戦でアウベルト・ミーナのアッパーに沈む挫折を味わいますが、その後はUFC日本大会で二連勝。長く試合が組まれない苦しい時期がありましたが、ようやく大きなチャンスが巡ってきたことになります。

 

安西のパワー溢れるMMAは、レスリングをルーツとしながらもオーソドックス(右手が後ろ)であることが特徴的で、レベルチェンジTDと強振フックとの二択で相手に圧力をかけて下がらせることで試合を支配します。豪快に振り抜くフックの中でも、至近距離で放つショートフックはノーモーションかつ最短距離を走る打撃です。

 

 

 

 

安西はアッパーをあまり使用しませんが、膝蹴りは縦軌道から放つ武器の一つです。また、相手の立ち際を瞬時に捉えるヘッドロック首相撲の捕獲力の強さは安西の初期キャリアからの強みであり、正面から組んでコントロールしながら膝蹴りやフックと連携させていきます。

 

 

 

🔍🔍🔍🔍試合への展望…「打撃と組技の連携」が、ストライキングを左右する🔎🔎🔎🔎

 

マシューズは、前戦で完勝したリー・ジンリャン戦の再来を狙いたいでしょう。

マシューズのスイッチは打撃と連動して行われます。軽いホッピングから瞬時に放たれる右ストレートから、打ち終わりにクラウチでスイッチしつつウィービングを行い、右ストレートと反対方向への移動や連打を可能にしています。カウンターのダブルレッグTDも右ストレートの軌道から放たれており、連携の軽やかさはドミネーターステップを彷彿とさせますね。

 

ジンリャンは試合中何度かマシューズを追い詰めるも、スイッチによる反対側からの奇襲を被弾して距離を取られ、距離が開いたところでカウンターを貰う、という流れで敗れています。

ジンリャンの敗因の一つは距離を詰めて打ち合いを狙いすぎたことであり、安西はレベルチェンジでマシューズの得意な遠距離でも圧力をかけ、打撃と組技の二択を迫っていくことが大事だと思います。

 

安西は距離が開くと右オーバーハンドから強引に攻めがちですが、ロジャー・サパタ戦のようにカウンターを取られる危険があると感じます。レベルチェンジによる「組みの圧力」あってこそ隙を生め、隙を生めるからこそ思い切った打撃&TDができると思います。

一発のKOを焦らずに、打撃と寝技との連携を今一度しっかりと繋げることで隙を与えずに攻めて行って欲しいです。

 

💠💠💠💠おわりに💠💠💠💠

今年のUFCは日本選手6人が試合を行い、勝者は1人という苦しい状況ですね~(´;ω;`)

勝敗自体はあんまり気にしてないんですけれども、むしろ「相手の攻撃やフィジカルの前に自分の攻めを崩されて修正できない」という「負け方」がしんどさを増していると感じます

それは戦術やフィジカルの卓越した強い相手と試合をしているからなのですが、やはり「崩されっぱなし」だと観るモチベーションが落ちてくるのも事実です💧

 

こうして日本選手のことを書いていますが、わたし自身は同じくらい海外選手も好きです

国籍関係なく「崩されても諦めず修正し、逆転する」姿を魅せて欲しいですし、その姿を観続けていきたいと感じています!

ピアソンvs.廣田は熱かったですね~!あそこから更に勝利するシーンまで観れたら、最高です✨

 

 

ぜんぜん関係ないけどWMEなんだしUFC坂本龍一さんとかYoshikiさんとか呼んでくれないかな~(願望)