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ミックスドマーシャルアーツ(MMA)という格闘スポーツについて、コラムや試合レビューを書いています。

バーレーン王国のMMAが英国に再上陸!『Brave CF 24』感想【中東MMAの新風】

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『Brave CF 24 -Jenkins vs. Martins-』

2019年7月25日(木)

クイーン エリザベス オリンピックパーク(イングランド ロンドン)

 

ペルシア湾に浮かぶ島国バーレーン王国で、現バーレーン国王の子息であるハリド・ビンハマド・アルハリファ王子による、新たな中東MMAプロモーションが活躍しています。

中東MMAに新たな風を吹かせる、『Brave CF(ブレイブ コンバットフェデレーション)』です!

 

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Brave CF創設者ハリド王子(左)と、最高責任者ムハンマド・"ホーク"・シャヒドCEO(右)

 

Brave CFは、ハリド王子の名を冠したバーレーン最大のMMAチーム『KHK MMA』を母体にして、2016年に創設されました。

KHK MMAバーレーンおよび中東の選手たちの育成に力を注ぐとともに、SBGアイルランドの首脳ジョン・カヴァナをヘッドコーチに迎えたり、フランキー・エドガーハビブ・ヌルマガメドフといった世界各国のファイターたちへ活動支援を行っています。

Brave CFにも世界から有望なMMA選手たちが集まり、地元のバーレーン&中東MMA選手たちとの試合が観られることが大きな魅力となっています。

 

Brave CFは国際アマチュアMMA組織『IMMAF』との関係性も強く、MMA政策を進めるチェチェン共和国のラマザン・カディロフ首長とも交流を深めており、『中東MMAの新風』としての発展にも注目しています。

 

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『Road to Brave(ロード トゥ ブレイブ)』は、大会ごとに選手の背景に迫るプロモーション番組

 

7月25日に行われた『Brave CF 24』は、昨年の北アイルランド大会からおよそ一年ぶりの英国開催で、今年はイングランドの首都ロンドンで開催されました。

今大会はBrave CFフェザー級王者バーバ・ジェンキンズの防衛戦や、国際色豊かなメンバーによる好勝負が展開されました。

IMMAF出身の若手ファイターも多く出場していましたね~。

それでは感想ですノシ

 

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Brave CFフェザー級チャンピオンシップ  <145lbs 5分5ラウンド>

バーバ・ジェンキンズ〔C〕 vs. ルカス・"ミネイロ"・マルチンス

 

 

王者ジェンキンズは、NCAA D-Ⅰレスリング二冠王の俊敏さを誇るレスラー。

Brave CF初参戦で前王者エリアス・ブーデグズダンを破り、フェザー級王座を獲得しました。

挑戦者マルチンスは、ローキックで相手を崩すムエタイスタイルのストライカー。

フェザー級の選手でしたが、減量失敗によりライト級に転向しBrave CF王座を獲得。

しかし、防衛戦で挑戦者アブドゥルカリム・アルサワディのスラムにより脚を負傷し敗北。

今回の復帰戦では、再びフェザー級に階級を戻して王座戦に挑みました。

 

 

 

レスラーvs.ストライカーの一戦は、ジェンキンズの飛び膝蹴りで火蓋が切られました。

ジェンキンズは飛び膝蹴り&フックで至近距離に近づくことに成功すると、ダブルレッグで組みつき、ギロチンで反撃するマルチンスをハイクラッチで崩してTDに成功します。

立ち上がろうとするマルチンスをリストライドで潰すと、グラウンドアッパー&パウンドの雨を降らせてレフェリーストップ!

ジェンキンズがマルチンスに勝機を与えず、王者の貫禄を見せ初防衛に成功しました!

 

 

 

 

Brave CFライト級 <155lbs 5分3ラウンド>

キアン・カウリー vs. マチェイ・ゲフシェフスキ

 

 

カウリーはIMMAFとBrave CFを中心にキャリアを積むSBG所属のストライカー。

長身を活かして相手を捌き、肘打ちやローキックで攻めるムエタイ使いです。

ゲフシェフスキは北アイルランドを拠点に活躍するパワーファイター。

近距離での強振フックの連打や柔道投げで攻める豪快なスタイルです。

 

 

カウリーが長身を活かしたローで圧力をかけ、ゲフシェフスキがサークリングする展開。

ゲフシェフスキは低く屈んで潜り込んでフックを放つも、カウリーが上手く捌きます。

しかし、ゲフシェフスキがジャブからシフティングで飛び込んで追い打ちのフックを放つと、これが見事に着弾しカウリーはダウン!

ゲフシェフスキが遠い間合いに一撃を届かせ、見事なKO勝ちを挙げました!

 

 

Brave CFバンタム級 <135lbs 5分3ラウンド>

エイデン・ジェイムズ vs. キャメロン・エルス

 

 

リーチの長さと回転の速いパンチの速射で無敗の4連勝をマークしたジェイムズ。

対するは英国で活躍するハードパンチャーのエルス。打撃戦は必至のカードでした。

 

 

開幕から鋭い打撃を打ち合う両者。エルスが潜り込み、ジェイムズは打ち抜きを狙います。

互いにローを打ち合った後に、真正面から打撃が交差します。

ジェイムズはエルスの潜り込みに合わせてパリー&打ち下ろしのクロスを放ちますが、エルスは間一髪でダッキングして回避すると、オーバーハンドを見事に着弾!

エルスがダウンの追撃パウンドで、無敗のジェイムズを完全KOで打ち破り勝利しました。

 

 

Brave CFウェルター <175lbs 5分3ラウンド>

ラミ・ハメット vs. ジョン・ロビンソン

ワイドスタンスから鋭く踏み込み、ダートやボディキックをヒットさせ続けたハメット。

ロビンソンもケージに詰めクリンチ際にパンチを振るいますが、最後までアウトレンジを守り長打を打ち込んだハメットが、ユナニマス判定で勝利しました。

Titan FCウェルター級で二度の王座戦を経験しているATTのハメット。

ワイドスタンスのスピードと長打のキレを増し、Brave CFで二連勝を挙げました。

 

Brave CFバンタム級 <135lbs 5分3ラウンド>

ルイ・サノダキス vs. ジェイムズ・ブラム

英国パンチャーのブラムが速攻を仕掛け、サノダキスがジャブ&ヘッドキックで迎撃。

サノダキスがパンチでダッキングを誘いヘッドキックの追撃でダウンを先取。その後もリーチを活かしてブラムに一撃を許さず、アウトファイトを完遂し判定勝ちしました。

パンクラスの瀧澤謙太戦で来日経験のあるサノダキス。

トライスターMMAらしい、冷静沈着なヒットマンスタイルへと進化を遂げています。

 

Brave CFバンタム級 <135lbs 5分3ラウンド>

ガムザット・マガメドフ vs. イアン・クリーリー

マガメドフがダブルレッグで粘り強く組み付き、ケージ際で何度もTDを決めていきます。

ストライカーのクリーリーに打撃戦を許さず、パウンドで削って押さえ切り判定勝ちしました。

2017年のIMMAFバンタム級世界王者であり、KHK MMA所属選手でもあるマガメドフ。

Brave CFのロールモデルとして、今後の成長にも期待して行きたいです。

 

Brave CFフライ級 <125lbs 5分3ラウンド>

フセイン・アヤド vs. ミッチェル・ジョンソン

アヤドがジョンソンのローキックをカットし、ダブルレッグTDを決めて打撃を封じます。

マウントポジションから肘打ち&パウンドで一気に攻め、最後は三角絞めで一本。

IMMAFとKHK MMAで地道に経験を積んできたバーレーン選手のアヤドが勝利しました。

 

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というわけで、中東MMAで最注目のプロモーション、Brave CFの感想でした~

中東では2010年に『UFC 112』UAE大会が初開催され、以降も様々なMMAプロモーションが創設され、活動を続けてきました

なかでもヨルダンMMAプロモーション『Desert Force(デザートフォース)』は階級制度や審判組織を設立するなど、中東MMAの先駆けとなった存在でした

残念ながら現在は活動休止状態のDesert Forceですが、ハリド王子がBrave CFを創設したのも、Desert Forceでバーレーン選手の活躍を観たことが切っ掛けだったそうですね~

同じく休止状態だった『Abu Dhabi Warriors(アブダビウォリアーズ)』が、今年に入ってUAE Warriors(UAEウォリアーズ)』と名を変えて再始動してくれたことは驚きであり、同時に嬉しかったですね~

9月7日には5年ぶり、3度目のUAE大会となるUFC 242』が遂に開催されます

中東MMAの盛り上がりと共に、『Brave CF』が更なる発展を続けてくれる事を願っています!

 

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