🥃MMA APÉRO🥃

ミックスドマーシャルアーツ(MMA)という格闘スポーツについて、コラムや試合レビューを書いています。

カーフキック MMAのルネサンス 【MMAテクニックよもやま話 その②】

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2018年に「MMAお気に入りテクニック十選」で紹介させて頂いたカーフキック(ふくらはぎ蹴り)が、だんだんと日本でも認知され始めていて最近ニコニコしています✨😊✨

というわけで、もうちょっとだけMMAにおけるカーフキックのお気に入りを紹介してみます💦

 

⬇️2018年にカーフキックを紹介した記事のリンクです⬇️

こちらはシリーズの後半です(どの技もカッコよくて好きですね~👍🏻)

 

 カーフキックという呼ばれ方が確立する以前から、MMAにおいてカーフキックは主にブラジル選手が使うローキックの亜種として知られていました。

20世紀ブラジルのヴァーリ・トゥード全盛期において多用されたというムエタイをルーツとするブラジリアン・カーフキックは、破壊力を前面に出す強烈な蹴り技でした。脚をバットのように振り切りバケツを蹴り飛ばすような蹴り方で、被弾した相手が一発で動きを著しく落とす様子は当時から衝撃的でした。

 

メジャーMMAにおける黎明期のカーフキックの使い手として、今回は二人のお気に入りブラジルMMA選手を紹介してみます。

一人はペドロ・ヒーゾ、もう一人はヒカルド・アローナという選手です。

 

ペドロ・ヒーゾは「路上の王」マルコ・フアスに師事したムエタイ型ストライカーで、相手を破壊する三種のローキック(太腿蹴り、膝裏蹴り、ふくらはぎ蹴り)の使い手でした。「UFC 27」で歴戦のアメリカンレスラー、ダン・セヴァーンの脚を右ローキック二発で破壊してギブアップさせた試合は今観ても鮮烈です。

近~中距離の攻防が中心であった黎明期のUFCにおいて、パンチの連打や他のローキックと連携させたヒーゾのカーフキックは猛威を振るいました。ヒーゾは距離に応じて三種のローキックを使い分けましたが、特に至近距離の打ち合いでカーフキックを放つ事が多かったと感じます。「UFC 18」のマーク・コールマン戦や「UFC 30」のジョシュ・バーネット戦等は特に分かりやすいですね~。

ヒーゾはUFCという大舞台において、MMAにおけるカーフキックの有効性を強く示しました。ヒーゾはハードパンチャーとして知られますが、その強振パンチをフェイントにして繰り出されるカーフキックは今観ても非常に美しくて怖い一撃ですね~;

 

※2分40秒くらいからアローナのカーフキックが特集されています。

ヒカルド・アローナはカーウソン・グレイシーに師事したブラジリアン柔術家であり、MMAにおいても優れたグラップラーとして知られます。

アローナが打撃戦において重宝したのが遠距離から大きく踏み込んで放つ右カーフキックです。グラップラーとしてパンチの間合いを避けてテイクダウンの距離を作りたいアローナにとって、この右カーフキックは抜群の効果を発揮しました。

「Pride 無差別級GP 2006」においてアリスター・オーフレイムの右脚を破壊した一撃は特に鮮烈で、右奥脚のカーフキックだけでなく左前脚のカーフキックを蹴り込んで見事なダウンを奪いました。脚を破壊されたアリスターがギブアップし、決着後も立ち上がれなかった程の一撃でした。アローナはヒーゾのようなストライカーだけでなく、グラップラーにおいてもカーフキックが有効に混ぜ合わせられる技である事を示しています。

 

MMAとは「格闘技術のルネサンス(復興)」であり、MMAで使われる多くの技は19~20世紀か、はたまたそれ以前に世界の各地で編み出され、受け継がれて来たものです。技は時勢の流行によって時に風化されますが、それらの「忘れられた技」に秘められた本来の力を、試行錯誤によって高めていく事がMMAの最も面白い要素のひとつです。

アメリカン・トップチームにおいても、カーフキックはブラジルMMA選手(現コーチ)のカテル・クビスさんが2009年に渡米した際は「置き去りにされた技」であったといいます。クビスさんの献身によってATTにおいてカーフキックは「復興」し…それが近年のATTで優れたカーフキック使いが生まれ続けている成果に繋がっているといいます。

かつてはMMAと繋がりの無い伝統的な武術の技とされていたカーフキック。それが現在のメジャーMMAでこれほどの認知を経たのは、歴史を絶やさず繋いできた人々の献身と、伝統の技を現代版に昇華させた人々の邁進の成果です。MMAにおいてはあらゆる技術に可能性が存在し、それが証明されるまでには長い積み重ねが必要である事を感じさせてくれますね~!

 

これからも予想もつかない技が現代のMMAで「復興」されていく事でしょう。

その絶え間ない進化こそ、私がMMAが大好きな理由のひとつだな~と再確認しています✨