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ミックスドマーシャルアーツ(MMA)という格闘スポーツについて、コラムや試合レビューを書いています。

【MMAアーカイブ】英国MMA三大プロモーションの一角!『UCMMA(アルティメット・チャレンジMMA)』を概説&名勝負10選を紹介!

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今回は大好きなMMAプロモーションをひたすらザックリ紹介していくコーナーです!

今回紹介するのは、「UCMMA(アルティメット・チャレンジMMA)」です!!!

 

 

UCMMA(アルティメット・チャレンジMMA)とは!

UCMMAは英国MMAの偉大なる始祖Cage Rageケイジ・レイジ)」の直系にあたるMMAプロモーションです!


こちらがUCMMAのPVです。

サムネのテンションが高そうな愉快なおじさんが、UCMMA創設者デイヴ・オドネルさんです!(詳しくは後述)

 

UCMMAは英国MMAにおいてCage Warriors(ケージ・ウォリアーズ)」「BAMMA(バンマ)」と同時期から活動している第3の英国MMAプロモーションです。

Cage Rageの終了に伴い、2008年から現在まで約60大会を開催してきた老舗MMAプロモーションであり、英国MMAの発展を支えて来ました。

 

Cage WarriorsBAMMAがグローバルな大会を開催していたのに対して、UCMMAは地元イギリスに根差した大会を開催しました。そのため日本においては他2つに比べて知名度が低めです。しかし、その歴史と貢献度を考えれば、英国MMAプロモーションとしてCage WarriorsBAMMAに肩を並べる存在といって良いと感じます!

 

英国メジャーMMA選手として現在もUFCで活躍するジミ・マヌワアーノルド・アレン、BELLATORで活躍するマイケル・”MVP”・ペイジリントン・ヴァッセルはUCMMAをルーツに持つ選手達です。ジョニー・ウォーカーアミール・アルバジモデスタス・ブカウスカス等のUFC選手もUCMMAで活躍していました。

 

古くはブラッド・"ワンパンチ"・ピケットトム・”コング”・ワトソンジョン・マグワイアアレックス・リードといった歴戦の名選手達がUCMMAで王座を獲得しています。日本でも人気になったガロア・ボファンドやONEで活躍するジョナサン・ハガーティーは、後述する「UK-1」ルールでUCMMA王座を獲得した事もあります!

 

Cage WarriorsBAMMAとは一味違う「地元系イギリスMMAのUCMMA、今回はそんなUCMMAの魅力について紹介していきます!!!!!

わりと長いけどのんびり読んで下さいね~~ノシ✨ 

UCMMA(アルティメット・チャレンジMMA)の魅力とは!

UCMMAの創設者は、Cage Rage共同責任者の一人であったデイヴ・オドネルさん。

このオドネルさんですが、MMA史上最高クラスにテンション高いプロモーター」として非常にインパクトの強い人です(笑)

上の人がオドネルさんです。テンション高いな~!💦

そんなオドネルさんはUCMMAを通してMMAにおける面白い試みをたくさんした人です。代表的な例をいくつかあげてみます。

 

UCMMAのここが面白い! その①

プロモーター自身がメインコメンテーターになってUCMMAを推しまくる!

オドネルさんはUCMMAの最高責任者であると同時に、大会やプロモーション動画のメインコメンテーターも務めています。オドネルさんはUCMMAの全大会でパートナーの相方(何度か代替わりしています)と一緒に「今日の大会はマジすごいぜ!」という感じの熱烈トークを繰り広げます。

オドネルさんは観客側が弱冠引き気味になるレベルのテンションの高さでUCMMAを推しまくるので、一つの様式美として確立してしまうオリジナリティを持っていると感じますね~!

上に載せた「UCMMA トップ10ノックアウト」のランキング動画でも、オドネルさんが各試合に熱烈コメントをしています。コメントに熱が入り過ぎてむせちゃうくらい熱烈です!(かわいい)

 

UCMMAのここが面白い! その②

UCMMAキックボクシング部門「UK-1(ユーケー・ワン)」王座を制定!

UCMMAは名の通りMMAプロモーションですけれども、活動初期から並行してキックボクシング部門「UK-1(ユーケー・ワン)」を設立しています。

「UK-1」という名の通り、ルールは「3分×3ラウンド」「クリンチと肘なし」のK-1ルールです。ヨーロッパにおいて「K-1」とはこのK-1ルール」の事を差し、UCMMAに限らず多くのプロモーションがK-1ルールの試合を行っています。英国(UK)とK-1との語呂合わせでシンプルイズベストな名前ですね~。

UK-1は「金網(ケージ)でのキックボクシング」を時代に先んじて取り入れました。現在のUK-1はボクシンググローブに戻っていますけれども、オープンフィンガーグローブを着用するルールだった時期もあり、UK-1に出場するMMA選手も多いと感じます。UC「MMA」とU「K-1」、2つの部門が重なり合う事で互いに影響し合いながら歴史を刻んできたのがUCMMAといえますね~。

 

UCMMAのここが面白い! その③

「スーパー王座」や「ベテラン王座」等、多くの特別王座を制定!

 UCMMAは防衛戦によって代替わりするメインの王座の他に、防衛権を有さない「スーパー王座」を制定しています。このスーパー王座はキャッチウェイトで行われる事も多く、メイン王座とは別路線で多くの選手に王座獲得の機会を与えていると感じます。

この他にも両名合わせて齢100歳越えとなる年配の方同士の「ベテラン王座」や、グローブをつけないベアナックル王座」など、バリエーション豊かな王座を制定していますね~。

 

UCMMAのここが面白い! その④

④「WCMMA」やリアリティショー等、アマチュアMMAにも奔走!

UCMMAと並行して開催されるのが、「WCMMA(ホワイトカラーMMA)」というマチュアセミプロMMA部門のプロモーションです!

「ホワイトカラー」とはざっくり言うと「スーツを着て仕事をする職種の人達」の事で、このプロモーション名は「一般の人がMMAを体験することができる」というコンセプトに基づいています。アマチュアMMA用のルールと健康管理の元で試合は行われ、セミプロの試合も行いながらプロへの登竜門としても機能する、という自由度の高さが特徴的でしたね~。

他にもTUFのような格闘リアリティショー番組「Born to Fight」を放送してトーナメントを開催する等、様々な人がMMAに参加する試みをオドネルさん風味で行っています!

 

UCMMAのここが面白い! その⑤

⑤金網で「MMA×ラグビー」!?新興スポーツ「アルティメット・ボール」を創立!

オドネルさんの一番のビックリ企画が、まさかの新興スポーツの創立です!

「アルティメット・ボール」と名付けられたその新興スポーツは、なんとMMAの打撃やテイクダウンが許可されたボールスポーツ」というビックリなものでした!

要約すると「ボールを持っている選手に対してMMAの打撃やテイクダウン、スイープ等を仕掛ける事が許される」というスポーツで、金網の両側にゴールネットを設置した状態で、ラグビー型のボールを用いて「3 on 3」で点を執り合うというルールでした。

MMAの技は打撃(ボディへのパンチ、プッシュキック)寝技(テイクダウン全般、スイープ)ボールを持っているプレイヤーに対してのみ使用することができ、それ以外は禁止されるというものでした。

オドネルさんはCage Rageの頃から構想を練っていたそうで(え~!?)、UCMMAで実際に大会の休憩時間中にプレーのデモンストレーションを行ったりしました。

世の中には「チーム対抗MMA」「2対1MMA」「アスレチックMMA」等いろいろ独創的なMMAが存在しますけれども、MMAボール」という発想はオドネルさんならではのビックリな発想でしたね~。そのうち再始動するかも?しれません!

 

 UCMMAお気に入り名勝負10選!!

お気に入りの名勝負から10試合を厳選して紹介します!

 

UCMMAお気に入り名勝負 第1位!

UCMMA ライト級チャンピオンシップ

f:id:paky21:20191230103726p:plainティム・ラドクリフ(挑戦者) vs.f:id:paky21:20210329192245p:plainf:id:paky21:20191230103726p:plainマイケル・"ハルク"・パストゥ(第3代王者)

初代UCMMAライト級王者ティム・ラドクリフは「ザ・ハニーバジャ―(ラーテル)」のニックネームを持つ英国MMA軽量級の「小さな巨人」で、メジャーでの活躍は無かったものの複数の英国MMAタイトルを獲得した英国MMAレジェンド選手の一人です。

ラドクリフは第2代王者フランシス・ヒーグニーとの防衛戦に敗れて王座を失ってしまいますが、「UCMMA 18」で自身が敗れたヒーグニーを倒した新王者を相手に王座への返り咲きを懸けたチャンピオンシップに挑戦します。

ラドクリフが挑んだ第3代王者マイケル・パストゥはキプロスの血統を持つイギリス人MMA選手で、「ハルク」の異名をとる筋骨隆々なパワーファイターです。パストゥは暫定王座からヒーグニーとの王座決定戦に挑み、これに勝利して正規王座を勝ち取っていました。

試合が始まると挑戦者ラドクリフはローキックを次々出して先制攻撃を仕掛けますが、内腿へローキックを打ち込んだ所でパストゥの右オーバーハンドフックがカウンターで炸裂!ダウンを奪ったパストゥはラドクリフの顔面にパウンドの豪雨を振らせ、ラドクリフは連打を浴びて絶体絶命のピンチに陥ります。

ラドクリフはロール&インヴァーテッドとニーシールドで懸命にパストゥをガードに引き込み、Zガードとバタフライガードを駆使してハーフから立ち上がりピンチを脱します。しかしスタンディング状態に戻ってからもパストゥは右の強打で攻め続け、更にダブルレッグでTDを奪ってラドクリフは再びマットに戻されます。

このまま終わってしまうのか…と思われた1ラウンド終盤、ラドクリフが怒涛の反撃に転じます。ラドクリフは素早くハーフガードに潜ってスイープを狙い、パストゥが反応してファーサイドへ飛ぼうとした所で外ヒールフックを仕掛けて脱出します。スタンディング状態へ戻ったラドクリフは圧力をかけるパストゥを首相撲で捉えて、膝蹴りをレバーに叩き込みます!

この一撃が決まり、パストゥの動きが一瞬止まります。この勝機を逃さなかったラドクリフはハイキックを一閃!!!ハイキックをまともに被弾したパストゥは崩れ落ち、ラドクリフが鮮烈な大逆転KO勝ちで王座返り咲きに成功したのでした!

第4第UCMMAライト級王座を勝ち取ったラドクリフはその後王座を返上し、いくつかのプロモーションを渡り歩いて2年後にMMAを引退しました。現在は自身の名を冠した「ティム・ラドクリフBJJ」を設立し、ブラジリアン柔術の指導者としてセカンドキャリアを歩んでいます。パストゥはその後UFCのリアリティショー番組「TUF Smashes」の出演メンバーに選ばれるも、試合前の練習で腕を負傷してしまし、試合をする事なく無念の途中退場となってしまいました…(´;ω;`)

その後はMMAを離れてしまったパストゥですが、最近になって元気に巨大サンドイッチを食べている姿を観ることができました!w元気そうでよかったな~💦

ラドクリフも家族とのんびり過ごしたり柔術セミナーをしているようで、かつて激闘を繰り広げた二人が闘いから離れた姿にほっこりしたのでした😊

 

UCMMAお気に入り名勝負 第2位!

UCMMA バンタム級ワンマッチ

f:id:paky21:20191230103726p:plainアーノルド・アレン vs. f:id:paky21:20191230103726p:plainネイサン・"ドレッド"・グレイソン

アーノルド・アレンは現在UFC選手として活躍中、ネイサン・グレイソンもUCMMAとCage Warriorsの二冠を達成しているという現在の英国MMAを背負って立つ両雄がプロ初期キャリアで激突した一戦です!

後に「全能(オールマイティ)」の異名を取る程の技巧者となるアレンですが、この試合はなんとプロデビュー戦のグリーンボーイ。相手のグレイソンも後に「ドレッド」のニックネームの由来となったドレッドヘアーがまだありません。なんだか二人とも初々しいですね~😊

しかし、試合では初期キャリアとは思えないほどのハイスピードの激しい攻防が展開します。グレイソンの猛獣のような荒々しい打撃に対し、アレンはスマートな速射打撃とアームバーや多彩なテイクダウンを駆使します。1ラウンド終盤にはグレイソンがマウントを奪取し、パウンドでアレンはあわやKO寸前まで追い込まれるもブザーに救われます。

迎えた2ラウンドも勢いが衰えないグレイソンは、膝蹴りからの強打を当ててアレンを金網に追い詰めます。窮地に立たされたかに思えたアレンでしたが、ここから狙い澄ました左クロスがカウンターで炸裂!!!!!この一撃でグレイソンは崩れ落ち、アレンが大逆転のデビュー戦白星を飾ったのでした!

その後アレンはカナダのトライスターMMAへ単身移籍し、UFCにおいても「全能(オールマイティ―)」さに更なる磨きをかけて連勝を重ねています。グレイソンも荒々しくも強烈な強打に磨きをかけ、UCMMAとCage Warriorsでライト級王座を勝ち取り国内二冠を達成。BELLATORにも挑戦していますね~。

現在は全く別の道を歩んでいる英国トップMMA選手の2人。そんな2人がMMAの世界において真っ新なキャンバスであった頃に交差していた、そんな瞬間に思いを馳せる一戦ですね~。

 

UCMMAお気に入り名勝負  第3位!

UCMMAミドル級ワンマッチ

f:id:paky21:20200109200541p:plainデニストン・サザーランド vs. f:id:paky21:20191230103726p:plainジャック・"ストーン"・メイソン

デニストン・"マッドマックス"・サザーランドはジャマイカで生まれ英国へと移住したブリティッシュ・ジャマイカンで、体格差のあるヘビー級の選手にも恐れずに拳をぶん回すハードパンチャーとして鮮烈な記憶を残しています。

対するジャック・"ストーン"・メイソンも異名通りの石のようなズシリとした組み技の削りを信条とする選手で、しっかりと削り込んで消耗させながら時折繰り出す強烈な肘の一撃がこれまた記憶に残っています。

そんなお気に入りの2人がぶつかったのが「UCMMA 18」で、当時の第2代UCMMAミドル級王者マーク・"ウィザード"・ウィアーへの実質的な挑戦権を懸けたトップ・コンテンダー戦でした。

試合はサザーランドが右の一撃でメイソンを吹き飛ばして開幕します!サザーランドはボブ&ウィーブからシフティングで右にスイッチすると、フックとアッパーの中間軌道を通るシャベルフック(45°フック/スマッシュ)を炸裂させてダウンを奪いました。対するメイソンもレベルチェンジTDからのフロント・ギロチンチョークで反撃する一進一退の攻防が繰り広げられます。

1ラウンドは一撃のサザーランド、2ラウンドは削りのメイソンが獲って迎えた運命の3ラウンド。サザーランドは右オーバーハンドで思い切って踏み込むと、そこからボブ&ウィーブで攪乱しながら右フック&膝蹴りで攻め込みます。メイソンも踏んばりますが攻めきれず、最後に攻めきったサザーランドが激戦に判定勝ちしました!

王座挑戦権を得たサザーランドは、「UCMMA 21」にてウィアーをボブ&ウィーブからの強打で粉砕しUCMMA第3代王座を勝ち取りました。サザーランドはその後もUCMMAで二度王座を獲得し、メイソンはCage Warriorsに移籍して黄金期のCW戦線で活躍しました。メイソンが「Cage Warriors 52」マット・インマン戦で鮮烈な肘打ちKO勝ちした一戦は今でも観返しますね~。この二戦はファイトパスで観れるので、是非観て欲しいです!!(激推し!)

 

UCMMAお気に入り名勝負 第4位!

UCMMA ウェルター級チャンピオンシップ

f:id:paky21:20191230103726p:plainビル・ボーモント(第5代王者) vs. f:id:paky21:20191230103726p:plainジャメイン・フェイシー(挑戦者)

サザーランドvs.メイソンと並ぶUCMMA推し選手同士の試合です!(大好き)

第5代UCMMAウェルター級王者”スーパー”・ビル・ボーモントは少年時代にボクシングを習い、25歳から古豪ブラッド・ピケットに師事してMMA選手となりました。ボーモントは師匠ピケット譲りのヘッドムーブから連動させるMMAボクシングの使い手であり、同時に何度チョークを極められても脱出する「アンチョ―カブル(決して首を絞めさせない)」の選手としても印象的でした。

ボーモントの王座に挑戦したジャメイン・フェイシーは"ミスター・ペイン"の異名をとり、ムエタイをルーツとした強打を武器としたストライカーでした。フェイシーは堂々とした立ち振る舞いとロックバック&スウェーの鮮やかな回避から凄まじいKO勝ちを連発して強いインパクトを残した選手でした。一方でキャリアの大一番では泣かされ続けたものの、逆境を諦めなかった「不屈の漢」でもありました。

質実剛健のボーモント」対「大胆不敵のフェイシー」というスタイルも生き方も対照的な両者の試合は、フェイシーが打点の高い膝蹴りやミドルキックで攻め、ボーモントがリアクリンチから崩し投げでサイド&クルースフィックで削るという一進一退の展開が続きます。

試合が大きく動いたのは3ラウンド。ややガス欠を始めたボーモントにフェイシーが谷落としでTDを奪うと、マウント&バックグラブに捕獲して一気に裸絞めを極めに行きます!ボーモントは何度も首を獲られて絶体絶命のピンチを迎えますが、その度に「アンチョ―カブル」を発揮して耐え続けます。

ボーモントが窮地を脱した最終局面、レッグダイブを仕掛けるフェイシーをスプロールしたボーモントは、スタンディング状態のままパーム・トゥ・パームのフロント・ギロチンチョークを敢行します!これがネッククランク気味に極まり、試合終了ラスト1秒前にボーモントが大逆転の一本勝ちで激勝&王座防衛を果たしたのでした!

激闘に勝利した王者ボーモントは、その後ジョシュ・コリンズに敗れて王座を退き引退。現在は趣味の釣りを楽しみながら家族とのんぎりセカンドキャリアを歩んでいます。フェイシーはその後もUCMMA王座を諦めずに挑戦し続け、ついに第3代UK-1ライト級王座を見事なKO勝ちで勝ち取りました。昨年のBLM運動の活発化の際にはパトリック・ハッチンソンさんと共に負傷者の救護を行い、現在は慈善団体「UTCAI(ユナイテッド・トゥ・チェンジ・アンド・インスパイア)」のメンバーとして奔走しています。セカンドキャリアまで対照的な2人ですけれども、そんな2人が激戦を繰り広げたこの試合はUCMMAのベストバウトの一つだと感じます!

 

UCMMAお気に入り名勝負 第5位!

UCMMAヘビー級チャンピオンシップ

f:id:paky21:20191230103726p:plainオリ・トンプソン(挑戦者) vs. f:id:paky21:20191230103726p:plain"ビッグ"・ベン・スミス(第2代王者)

英国のシンボル「ビッグ・ベン」の異名をとったベン・スミスは、UCMMAの黎明期を支えたヘビー級のエースでした。スミスは屈強なボディから勇猛果敢な打撃と裸絞めで攻める真っ向勝負を信条とし、UCMMAヘビー級GP優勝、UCMMAヘビー級スーパー王座獲得、そしてUCMMAヘビー級王座獲得とヘビー級で完全制覇を達成した選手です。

そんなUCMMAヘビー級の象徴となったスミスにも、落日の宿命が訪れます。後にUFCでも活躍したオリ・トンプソンとの「UCMMA 19」王座防衛戦でした。スミスはいつものように速攻を仕掛け左フックで先制打を奪います。トンプソンも四つ組みから投げを狙い、二人がもつれ合うように倒れた所でバッティングが起こりスミスは流血してしまいます。

ここからトンプソンがバックテイクを奪いパウンドで猛攻、一気に天秤が傾きますがスミスは王者の矜持をみせる猛烈な反撃をみせ、一進一退のスクランブルが展開します。激しいスクランブルは2ラウンドになっても続きましたが、遂にスミスがガス欠で失速し、最後は王者の必勝パターンであった裸絞めでトンプソンが一本勝ちを挙げ王座を獲得したのでした!

トンプソンはその後UFCやBELLATORに挑戦し、スミスはUCMMA王座に二度挑戦しました。どちらも勝利はなりませんでしたけれども、この試合が一つのUCMMAヘビー級の終着点であったな~と感じますね~。最後まで王座返り咲きを諦めなかった「ビッグ・ベン」は好きな選手です!✨

 

UCMMAお気に入り名勝負 第6位!

UCMMA ライトヘビー級チャンピオンシップ

f:id:paky21:20191230103726p:plainジミ・マヌワ(初代王者) vs.f:id:paky21:20200124191355p:plainヴァレンチーノ・ペトレスク(挑戦者)

ジミ・マヌワはUCMMAライトヘビー級王座を5回に渡り防衛したUCMMA史上最高の「絶対王者」であり、しかもその全ての防衛戦が圧勝に終わっているという驚異の戦績を残しています。

そんな中で「UCMMA 14」で絶対王者に挑んだヴァレンチーノ・ペトレスクはマヌワの強打の前にも臆さず、最後まで諦めずに肉薄した選手です。マヌワの斬り裂くようなジャブ&フックを掻い潜り、ボディショットやミドルキックを狙って果敢に攻めていきます。

しかし、マヌワは首相撲からの強烈な膝蹴りで徐々にペトレスクの勢いを削いでいきます。レバーへ突き刺さるような膝を耐えるペトレスクですが徐々にマヌワのパンチを躱しきれなくなっていきます。マヌワは首相撲からの肘打ちでペトレスクを下がらせると、右手の首相撲でペトレスクを引き寄せながら左アッパーカットを炸裂させます!

たまらず後退し金網に追い詰められたペトレスクに、マヌワは右手で首相撲をかけながら更に左アッパーを打ち込み、最後は左アッパー&右クロスの連打でペトレスクを完全粉砕してKO勝ちしました!ペトレスクがしっかりと攻防ができた分、マヌワの凄まじいKOパワーが浮かび上がってしまうような戦慄のKO勝ちでしたね~💦

マヌワはペトレスク戦後も更に防衛を重ね、新たに台頭してきた新鋭リントン・ヴァッセルとの「UCMMAライトヘビー級頂上決戦」の機運も高まっていたと感じます。しかし、マヌワがUFCへ移籍し、ヴァッセルがBELLATORに移籍した事で2人が相まみえることは遂にありませんでした。現在も活躍を続ける英国MMAライトヘビー級二強が激突するところも観てみたかったな~と、この試合を観る度に想うのでした。

 

UCMMAお気に入り名勝負 第7位!

UCMMA バンタム級チャンピオンシップ

f:id:paky21:20191212124047p:plainルイス・トスタ(第4代王者) vs. f:id:paky21:20191230103726p:plainダニー・ローソン(挑戦者)


 UCMMA第4代バンタム級王者ルイス・トスタはブラジリアン柔術家ルイス・ヘイス門下の黒帯柔術家であり、そのグラップリング技術を駆使して鮮烈なる一本勝ちを魅せた寝技師でした。

トスタがUCMMAで猛威を振るったサブミッションの数々はどれも印象的でしたが、その中から「UCMMA 43」ダニー・ローソンとの王座防衛戦を紹介します。ローソンはイングランド東部で活動した「CFC(ケージ・ファイターズ・チャンピオンシップ)」のフェザー級王者で、長い手足を駆使するオールラウンダーでした。

トスタはダブルレッグで組み付くと瞬時にレッグロック・ポジションに引き込んで外ヒールフックを狙います。トスタはローソンの右膝裏をフックして脱出を防ぎつつ、外ヒールからトゥホールドに変化させます。そのままローソンの左脚を内側に持って行き、サドルのような状態から一気にトゥホールドを極めて一本勝ちしました!

鮮やかな寝技で王座を守り、ロンドン・シュートファイターズの同門マイケル・"MVP"・ペイジにベルトを巻いて貰ったトスタ。以降はBELLATORへ移籍するもディーン・ガーネットと引き分けた後はMMAを離れてしまいました。素晴らしい寝技師であるトスタのメジャーMMAでの活躍をもう少し観たかったですね~泣

 

UCMMAお気に入り名勝負 第8位!

UCMMAミドル級チャンピオンシップ

f:id:paky21:20200130195233p:plainパヴェル・ドロフティ vs.f:id:paky21:20210328210435p:plainモデスタス・ブカウスカス

 第9代UCMMAミドル級王座を懸けて、新鋭2人が激闘した一戦です!

UFCで活躍するモデスタス・ブカウスカスのお父さんはソ連時代にNHBで活躍したというギンタス・ブカウスカスさんで、モデスタスは幼い頃に英国へ移住すると父ギンタスさんの下でキックボクシングとサンボを習いました。22歳でジャクソン・ウィンクMMAへ出稽古に行く等、日々成長を続ける英国在住のリトアニア人選手です。

対するドロフティはモルドバ生まれのコンバット・サンビストで、英国に移住すると英国MMAの名門ロンドン・シュートファイターズへと移籍し、強靭な肉体とパワーで力強く攻めるMMA選手として活躍しました。

英国MMAの発展により本土ヨーロッパの選手が英国ジムへ在籍する事も多くなり、モルドバ人のドロフティ、リトアニア人のブカウスカスが英国のUCMMAで王座に向けて勝ち進んだ末の一戦は印象的でしたね~。

しかし試合はまさかの一瞬で決着がつきます。ドロフティが小外刈りでトップを奪うと、オープンガードの状態でおもむろに立ち上がり、なんとスタンディング状態でのアンクルロックを敢行!これが見事に極まって秒殺一本勝ちで新チャンピオンの座を勝ち取ったのでした!

王者となったドロフティはその後もUCMMA王座を二度守りましたが、レバノンMMAプロモーション「Phoenix FC」の王座戦に敗れた後はMMAから離れています。一方のブカウスカスはCage Warriorsに移籍するとライトヘビー級王座を獲得し、ついにUFC契約を果たす躍進を遂げています。2人とも素晴らしい才能のある選手ですし、更に進化を遂げた姿を是非観てみたいです!

 

UCMMAお気に入り名勝負 第9位!

UCMMA バンタム級チャンピオンシップ

f:id:paky21:20210112005908p:plainf:id:paky21:20200202234537p:plainアミール・アルバジ vs. f:id:paky21:20210329151642p:plainf:id:paky21:20191230103726p:plainニコ・ジョカ

このブログでも以前に紹介させてもらったアラブの新星アミール・アルバジが、無敗のまま「UCMMA 44」で第5代UCMMAバンタム級王座決定戦に挑んだ一戦です!

アルバジはイラクに生まれ、7歳でスウェーデンへ亡命した後に英国ロンドン・シュートファイターズに所属してMMA選手となりました。対戦相手のニコ・ジョカはアルバニアに生まれ、12歳で英国に亡命し歴戦のキャリアを誇るベテランの寝技師です。

ともに寝技を得意とするグラップラー同士の対決は、ジョカがホイールキック&ミドルキックを打ち込み先制します。アルバジは即座にレベルチェンジTDを狙い、スプロールするジョカの右脚からディープハーフ・ガードに潜り込んで、そこからベリンボロのような動きでバックテイクを成功させます。

何とか立ち上がるジョカですが、アルバジはリアクリンチの状態からジョカの右腕を対角の左手でリストコントロールして動きを封じ、後ろから腿を刈って投げ落としてマットリターン(再びマットに戻す)を成功させます。その後もクロスボディ&バックグラブによる制圧にリフトアップTDを二度炸裂させ、1ラウンド終了間際にはアームバーから変化させたシザーチョーク(洗濯バサミ)で一本勝ち寸前までジョカを追い詰めます。

圧倒的な寝技で攻めるアルバジの勢いは2ラウンドも衰えず、シングルレッグからパスしてハーフを奪い、アナコンダチョークで更に追い込みます。ここを切り抜けたジョカですが、アルバジは即座にダブルレッグからリフトアップ&スラムで叩きつけてテイクダウン!この一撃でダメージを負ったジョカが降参の意を伝え、レフェリーストップのTKO勝ちでアルバジが寝技師対決に完全勝利しました!

圧倒的な力を魅せたアルバジは、その後Brave CFに移籍してからMMAの最高峰UFCに参戦しています。ジョカも自身の名を冠した「Nico's Fisht Night」をプロモートする等、「第二の祖国」英国の若い選手達の活躍をサポートする為に邁進を続けています!どちらも更なる飛躍を遂げていって欲しいですね~✨

 

UCMMAお気に入り名勝負 第10位!

UCMMA ライト級チャンピオンシップ

f:id:paky21:20191230103726p:plainアルフィー・デイヴィス vs.f:id:paky21:20210329001013p:plainコスタディン・エネフ

※この試合はアルフィー・デイヴィス本人がアップしたフィニッシュのみの映像です💦

残念ながらYouTubeにこの試合はアップされていませんでした…(´;ω;`)ムネン

UFCファイトパスには個別で試合がアップされているので、是非フルで観て欲しいお気入りの一戦です🙏🏻💦

アルフィー・デイヴィスは伝統派フルコンタクト空手をルーツとするキックボクシングの名手で、ホイールキック(後ろ廻し蹴り)やアックスキック(踵落とし)で華麗に相手を撃ち抜くストライカーです。デイヴィスは第6代UCMMAライト級王者マクシム・マトゥスに挑戦するもマトゥスのレスリングの前にあと一歩届きませんでした。

しかし、先代王者マトゥスが王座を返上した為、ブルガリア人のコスタディン・エネフとデイヴィスに王座決定戦の白羽の矢が当たりました。エネフはコンバット・サンボをルーツとするウェルラウンドなMMAの持ち主であり、この試合は「打撃vs.組技」として互いの真価が問われる一戦でした。

エネフは接近戦でデイヴィスの遠距離打撃を封じる為、序盤から左右フックの連打&四つ組みから果敢にテイクダウンを狙います。デイヴィスはここを耐えると遠距離でスイッチを繰り返し、チェックフックやホイールキックで攻めます。迎えた2ラウンドにデイヴィスのスイッチからのカウンターの膝蹴りがレベルチェンジTDを狙ったエネフに着弾!この一撃で完全KOを奪ったデイヴィスが、UCMMA第7代ライト級王座を手にしたのでした!

わたしは「ストライカー」とは「打撃ができる選手」では無く、「組みを遮断し打撃を"選択できる"選手」の事であると思っています。MMAの「打投極」の中心点に「投(組み)」が位置している以上、MMAを征するという事は、「投(組み)の選択肢を選ぶ権利を得る」という事に他ならないからです。

そういった意味で、この日のデイヴィスは紛れもなく「ストライカー」の証明を果たした一戦でしたし、現在出場しているBELLATORでも更なる活躍を観たいですね~!

 

おわりに!

以上、UCMMAについての紹介でした~~!!

ホントはもっと書きたい試合はたくさんあるのですけれども、今回はひとまず終了させていただきます~

読んで頂いた皆さん、ありがとうございました~~✨😌✨

 

UCMMAはCOVID-19パンデミックの影響により、現在は活動を休止しています。

英国MMACage WarriorsBAMMA、UCMMAの英国MMA三大プロモーションの時代を経て、新たな時代を迎えようとしているのを感じていますね~

一抹の寂しさとこれからのワクワクを同時に感じています。

それとは別に、これからもUCMMAが愛される英国MMAプロモーションであってほしいな~、素晴らしいプロモーションである事を語りたいな~と思って書いてみました。

お気に入りのMMAプロモーションは他にもたくさんありますし、これからも大好きなMMAプロモーションをちょっとずつ語っていけたらな~と思っています✨f:id:paky21:20191230103726p:plain