日時 2021年9月25日(土)
会場 非公開(ポーランド コニン)
主催プロモーション Brave CF
共催プロモーション GalAna EC
中東バーレーンを母体とする「Brave CF(ブレイブ・コンバット・フェデレーション)」は各国の地域MMAプロモーションと提携し、世界中で大会を共催している国際MMAプロモーションです。
そんなBrave CFが、今年9月末に初のポーランド大会を開催しました!
大会開催をサポートしてくれた「GalAna EC(ガラナ・エクスクルーシブ・チャンピオンシップ)」はポーランドに本拠を持ち、エジプトで活動を続けている「ポーランド×北アフリカ」という面白いコンセプトを持ったMMAプロモーションです。
今回のポーランド大会も、地元ポーランド選手と北アフリカ選手達が数多く出場する個性豊かな大会となりました!✨
メインイベント
Brave CF ライト級チャンピオンシップ 5分×5ラウンド
メインイベントはBrave CFライト級チャンピオンシップ!
今年4月の「Brave CF 50」から延期していた試合が実現しました。
王者はチュニジア人、挑戦者はエジプト人。北アフリカMMA選手2人が国際MMAチャンピオンシップを争う注目の一戦となりました!
Brave CFライト級第5代王者アミン・アユーブは、「フィアスネス(熾烈)」のニックネームをとるチュニジア血統のフランス人選手です。
アユーブはアラブ首長国連邦の「UAE Warriors(ユーエーイー・ウォリアーズ)」ウェルター級&ライト級2冠王の経歴を持ち、しなやかで素早いキックボクシングとブラジリアン柔術、特に下からのスイープや関節技を得意としています。
Brave CF初参戦ではギロチンチョークで鮮烈デビューを飾り、2戦目にしてライト級王座に挑戦。第4代王者クレイトン・シウヴァに3連フックで豪快にKO勝ちしてBrave CF初のチュニジア人王者に認定されました。今回は王座の初防衛を目指します!
対する挑戦者アフメド・イブラヒム・アミールは「ザ・ブッチャー(肉屋)」のニックネームをとるエジプト人選手。
Brave CF旗揚げ大会から継続参戦してきたホーム選手の一人で、長い腕から放たれる強振パンチと優れたテイクダウン能力を持ち味とします。近年はBrave CFの総本山KHKチームに所属して着実に実力をつけてきました。
「Brave CF 1」旗揚げ大会では寝技師リッチー・マルティネスのオモプラータ&外ヒールを耐えてパウンドでKO勝ち。その後2連敗の苦しい時期を乗り越えて、5年越しで初の王座挑戦権を獲得しました!
試合は2人のグラップリング能力が激突した激しいスクランブル勝負となりました!
王者アユーブはローキックから細かいパンチを打ち分け、挑戦者アミールがパンチを返しながらダブルレッグでテイクダウンを狙う展開からスタートします。
アユーブはシャープなパンチ連打で攻めますが決定打を出すには至らず、逆にアミールは豪快なフックから力強いダブルレッグでテイクダウンを何度も決めます。
アミールは下からアームバーに捕らえたり、テイクダウンにカウンターのアナコンダチョークを合わせてを極めを狙います。
アミールは極めを耐えきると上からパウンド&肘を落として攻め、アユーブが下からスイープを狙っても更にリバーサルして上を死守します。
最終局面でアミールはアユーブが放ったカウンター右アッパーを掻い潜りシングルレッグで組み付くと、バレルロールで引っ繰り返してテイクダウンに成功します。アユーブも即座に横三角絞めで反撃を狙いますが、ここを耐え切ったアミールが押さえ切って試合終了!
結果は判定3-0でアミールがユナニマス勝利!
挑戦者アミールが激しい寝技のスクランブル勝負を制し、王者アユーブに競り勝つアップセットを魅せました。Brave CFライト級第6代王者の誕生です!
エジプト人として初めて国際MMAチャンピオンに認定されたアミール。Brave CF叩き上げのパワーグラップラーとして、次の防衛戦が楽しみになってきました!
惜しくも破れたアユーブも25歳とまだまだ伸び盛り。更なる進化を遂げたカムバックに期待したいです✨
コ・メイン
Brave CF キャッチウェイト(130lbs / 59kg) 5分×3ラウンド
Brave CFフライ級トーナメントが開催されている陰で、「裏トーナメント」とも呼べる注目の一戦が行われました!
ムハンマド・モカエフはダゲスタン共和国の出身で、12歳でイギリスへと移住しました。「IMMAF(アイマフ、国際総合格闘技連盟)」世界選手権ジュニア部門にて金メダル2連覇を達成したアマチュアMMA界のエースです。
「パニッシャー(断罪者)」のニックネーム通りの圧倒的な制圧力はプロ転向後も健在。柔軟さと長いリーチを駆使したレスリング能力を最大の武器とし、スープレックスや裏投げからパウンド、ギロチンチョーク、裸絞めと多彩に攻めます。近年は打撃も向上を続けており、プロスペクトの一角といえます!
対するブレイン・オドリスコルはアイルランド出身、BELLATORやBAMMAといったメジャー&国際MMAプロモーションで活躍してきたタフファイター。
オドリスコルはウクライナの「WWFC(ワールド・ウォリアーズ・ファイティング・チャンピオンシップ)」でフライ級王者の経歴を持ち、ムエタイ&柔術を基盤としたタフな競り合いを身上としています。首相撲からの膝蹴りが得意技ですね~!
試合はオドリスコルが圧力をかけてパンチを振るい、モカエフは下がりながらテイクダウンを狙う展開で始まりました。
モカエフは弾道の低いダブルレッグで何度もテイクダウン&バックを獲り、オドリスコルも防御しながら打撃で反撃を狙います。モカエフは打撃戦でもホイールキック(後ろ廻し蹴り)やバックエルボー(裏肘)で牽制し、オドリスコルを容易に近寄らせません。
2ラウンド、モカエフはダブルレッグで組み突いた後に横へスイッチしながらオドリスコルの身体を前方へ落とします。オドリスコルがバランスを一瞬崩した瞬間を狙ってモカエフがバックパック(背中に飛び乗る)から裸絞めに捕らえます。
オドリスコルは押さえ込むモカエフの右腕を一度は外しますが、モカエフはパームトゥパーム(掌と掌を合わせるクラッチ)の裸絞めに切り替えてフィニッシュ!
オドリスコルは持ち前のタフ勝負を挑もうとしましたが、モカエフが上手くかわしながら高い技術でしっかりと光を消してフィニッシュしてみせました!
Brave CFフライ級トーナメントの行方と共に、「裏トーナメント」で着々と勝利を積み上げるモカエフの挑戦にも大いに期待していきたいです!
第7試合
Brave CF スーパー・ウェルター級 5分×3ラウンド
マルチン・バンデル vs. マゴメド・アイスハノフ
MMA統一ルールの改定により新たに「スーパー階級」が設立されたことを受け、Brave CFでは「階級を10lbs(ポンド)差に統一する」ことを目指してウェルター級(170lbs)王座がスーパー・ウェルター級(175lbs)王座に変更されています。
Brave CFスーパー・ウェルター級第4代王者として君臨した「ヨルダンの獅子」ジャラー・フセイン・アル=シラウィがPFLと契約して王座を返上したことで、現在のスーパー・ウェルター級戦線は空位の王座を狙う戦国時代となりました。
Brave CF初参戦のマルチン・バンデルはUFCでも闘ったことがある歴戦のポーランド人選手。ドイツの「GMC(ジャーマン・MMA・チャンピオンシップ)」ミドル級王者の経歴を持ち、ヒールフックをはじめとした極め技を得意とする寝技師です。
対するマゴメド・アイスハノフもBrave CF初参戦。チェチェン共和国の出身で、現在はスイスに移住しています。スイスとドイツで活躍する中央ヨーロッパの新鋭で、フリースタイルレスリングをルーツとしています。
試合は前蹴りで攻めるアイスハノフに対し、バンデルのシフティングからの左フックが炸裂!してダウンを先取して序盤から展開が大きく動きました。
アイスハノフは立ち上がり四つ組みに行くも、バンデルは四つのままクラッチをかけてサイドに回ると裏投げでテイクダウンを奪取!そのまま一気にバックに回り、フェイスロックの入りから裸絞めに移行してフィニッシュ!
結果はバンデルが1ラウンドに裸絞めで一本勝ち!
Brave CFスーパー・ウェルター級の新顔対決は、歴戦のベテラン寝業師バンデルが圧勝して存在感を示しました!!
第6試合
Brave CF スーパー・ライト級 5分×3ラウンド
Brave CFのもう一つの「スーパー階級」であるスーパー・ライト級では、Brave CFスーパー・ライト級初代王者エルダル・エルダロフへの挑戦権を懸けた争いが活発化しています!
マルセル・モハメド・グラビンスキはモロッコとポーランド血統のドイツ人で、母国ドイツの「GMC」ライト級王者に2度輝いた経歴を持ちます。破壊力の高いキックボクシングで相手を粉砕するストライカーです。
ミハイル・コトルツァはモルドバ出身、隣国ウクライナの「WWFC」ウェルター級王者の経歴を持ちます。右構えのスウェーを多用するキックボクシングで素早いパンチの連射を得意とするストライカーです。
試合は重い打撃を振るうグラビンスキと、素早い連打で攻めるコトルツァという「パワーvs.スピード」ストライカー対決となりました。
コトルツァはヘッドスリップで潜り込みローキックに左ジャブ&右クロス、左レバーショットを次々と撃ち込みます。対するグラビンスキもブロッキングで防御しながら左レバーショット、左右のオーバーハンドで迎撃、緊張感ある近距離打撃戦が展開します。
1ラウンド後半、グラビンスキが右オーバーハンドから左リードフックを伸ばしてビッグヒットを着弾します!グラビンスキはたたらを踏むコトルツァを金網に追い詰めると、首相撲からの膝蹴り&左右フックの連続攻撃でダウンを奪ってフィニッシュ!
結果は1ラウンドにグラビンスキがパンチ連打&膝蹴りでTKO勝ち!
ポーランドMMA最強戦士ヤン・ブワホヴィッチを彷彿とさせる、伸びのある左リードフックの強打を魅せて大きな勝利を得ました!
Brave CFスーパー・ライト級王座の次期挑戦者候補として、挑戦者候補筆頭のブノワ・サン=ドニとグラビンスキとのトップコンテンダー戦が観てみたくなりました!🔥
第5~1試合
Brave CF スーパー・ウェルター級 5分×3ラウンド
イスマイル・ナウルディエフは「Brave CF 50」でスーパー・ウェルター級王座に挑戦しましたが、王者ジャラー・フセイン・アル=シラウィに右カーフキックを何度も撃ち込まれTKOで敗れてしまいました。
ナウルディエフは復帰戦となった今試合で、オリ・サンタラフティを全局面で上回る実力を魅せて勝利しました!ナウルディエフは右ストレートと右ハイキック&右ローキックの強打で攻め、内股で投げたりテイクダウンを切ったりして上を獲って試合を支配しました。
結果はナウルディエフが判定3-0のユナニマス勝利!
ナウルディエフがメジャー最高峰UFCで闘ってきた実力の高さを魅せ、王座獲りに向けて再始動しました!
Brave CF 女子ストロー級 5分×3ラウンド
エヴェリーナ・ヴォズニャック vs. サミン・カマル・バイク
エヴェリーナ・ヴォズニャックはOKTAGONでも活躍するポーランドの新鋭女子選手。Brave CF初参戦となった今回のサミン・カマル・バイク戦でも強さを魅せました!
ヴォスニャックは四つ勝負から両差し&シングルレッグでTDを奪い、上から肘とパウンドを落として攻めます。バイクは下から三角絞めを狙いますが、ヴォズニャックはこれを防ぎます。2ラウンドにヴォズニャックが首相撲からレバーへと膝蹴りを突き刺すと、バイクはダウンしてフィニッシュ!
結果はヴォズニャックが2ラウンドにレバー(肝臓)への膝蹴りでKO勝ち!
Brave CFではまだまだ開拓が十分でない女子部門ですが、未来のBrave CF女子ストロー級王座へ向けた一歩となりました!
Brave CF フェザー級 5分×3ラウンド
オマール・ソロマノフ vs. ハファエル・ハドソン
オマール・ソロマノフは今大会の共催プロモーションである「GalAna」グループに所属するウクライナ人選手。
ハドソン戦では両腕のフックから四つに組み付き、テイクダウンを次々と奪う東スラヴ選手らしい力強い試合を魅せました。左スティッフジャブからスイッチし、パウンド連打から肩固めへと移行するとここでタップアウト!
結果はソロマノフが2ラウンドに肩固めで一本勝ち!
それにしても、ソロマノフが使っていたテイクダウン技の「送腿払」は、サンビスト由来の?独特な動きで面白いですね~。BELLATOR王者ヤロスラフ・アモソフもゲガール・ムサシを同系統の技でバンバンテイクダウンしていましたし、ウクライナ選手に頻繁に観られるのは理由があるのかな~?と思ったりしますね~。(ウクライナ選手限定の技というわけではないでしょうけれども…)
Brave CF スーパー・ウェルター級 5分×3ラウンド
アクセル・ソラはIMMAF世界選手権で二度の銀メダルを獲得した「アマチュア(IMMAF)からプロフェッショナル(Brave CF)へ」というルートと辿ってきた選手の一人です。
プロ2戦目となったバルトニック戦では左の前蹴り&ローキックを鋭く打ち込み、首投げ等から金網際のクロスボディで押さえ込むなど立ち回りで先行し続けました。
バルトニックも2Rにフックの連打でプレッシャーをかける場面を作りましたが、ソラは3Rにしっかりと持ち直してきた所が特に良かったです。
結果はソラが判定3-0のユナニマス勝利!
まだコンテンダーとは力の差を感じますが、ソラにはプロの世界で金メダルを狙っていって欲しいです!
Brave CF バンタム級 5分×3ラウンド
ビラル・ティプサエフ vs. グレン・マクヴェイ
チェチェン共和国出身のティプサエフがダブルレッグ・スラムでTDを奪えば、アイルランド人のCage Warriorsアマチュア王者マクヴェイがスイープしてトップで反撃する、寝技の攻守が入れ替わるグラップリング・レースが展開しました!
2ラウンドでマウントを獲ったマクヴェイに3ラウンドにTDを何度も獲ったティプサエフ…拮抗した寝技戦の勝敗が気になるところでしたが…
結果はジャッジ全員が得点イーブンの引き分け!
互いにラウンドを獲った接戦でしたので引き分けも止む無しかな~と思いますけれども、再戦があるなら是非観てみたいカードでした!
おわりに
というわけで、Brave CFポーランド大会でした!
北アフリカ選手同士による国際的なMMAチャンピオンシップというのは初めてかもしれませんね~。そういう意味ではポーランド開催でしたが北アフリカの色が強い大会であったと感じます。
ここら辺は中東に拠点を持ちながら各国のプロモーションや選手と提携を結ぶBrave CFらしいと感じますね~。
民族性が複雑に入り混じるユーラシア大陸のMMAには、今後も興味が尽きません✨
書き始めからちょっと時間が経ってしまいましたが、完成させられて良かったです~😊