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ミックスドマーシャルアーツ(MMA)という格闘スポーツについて、コラムや試合レビューを書いています。

【田中路教&堀内佑馬】『LFA 117 -田中路教 vs. ヒカルド・ディアス-』試合レビュー!メジャーの山嶺、頂上への一歩!【フィーダーMMA】

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LFA 117 -田中路教 vs. ヒカルド・ディアス-

2021年11月5日(金)/日本時間11月6日(土)

ヴァイセイリア・コンヴェンション・センター(f:id:paky21:20191212123816p:plainカリフォルニア州

 

本日行われた『LFA 117』試合レビューです!!

日本MMA選手2名がメインイベント&コ・メインに出場した本大会。

大いなるメジャーへと続く第一歩を踏み出したのは、果たしてどの選手でしょうか!?

 

それではレビューですノシ

 

<メインイベント/LFAバンタム級 5×3>

f:id:paky21:20191212124105p:plain田中路教(たなか みちのり、31歳、チーム・アルファメール)

vs.

f:id:paky21:20191212124047p:plainヒカルド・ディアス(30歳、キングズMMA

 

2年ぶりの試合に挑む田中と、LFA3連勝を狙うディアスの一戦!

ブログでも事前に紹介させて貰いました~⇩

theanswer.hatenablog.com

グラップラーvs.ストライカー」のコントラストの激しい攻防が繰り広げられたグレートな試合でしたね~!!!(素晴らしい!!!)

 

まず打撃戦で注目したのは、田中が新たな打撃武器を駆使してディアスの強打を食い止めた事です!

田中が打撃戦で使用したのは主に「左リードジャブ」と「右ローキック」の2つ。特に左リードジャブについては、今までの田中の試合ではここまで多用する試合はみられなかったと感じます。

田中が相手を最速で射抜ける左リードの狙撃に成功した事で、ディアスは得意の近~中距離で強打を振るえず、得意のフックやミドルキックも空転してしまいました。

それでもディアスは1ラウンドには右オーバーハンドで田中からダウンを奪っており、やはりストライカーとしての非凡な才能を感じさせたシーンでしたね~😊

 

MMAにおける「スクランブル(Scramble)」とは、ポジションやサブミッションが決定的に作られていない「中立地帯」における主導権争いのことです。

田中は日本MMA選手としてスクランブルを主戦場に世界と闘える数少ない選手であると感じます。日本選手はどちらかといえばガードパサー(押さえ込みからガードパス/ポジションの確立を狙うスタイル)が多いため、カーディオ(心肺機能)や体幹の柔らかさ&バランス能力を必要とするスクランブルで世界と闘える選手は非常に貴重です。

田中はスクランブルでディアスを圧倒、ブランクを感じさせない制圧力を魅せましたね~!ディアスも何度か下からスイープを狙いましたが、尽く力を受け流して封殺してみせました。片脚を掬って動きを封じる1R後半のシェルビングや、バックロールスイープに側転で瞬時に対応した2R終盤のシーンは特に素晴らしかったです👍🏻

 

田中の最大のピンチは1ラウンドのダウンと、2ラウンドにマウントポジションを奪われてしまったことでした。

しかし、全く慌てずにブリッジを仕掛けてリバーサルしてみせたのは貫禄を感じましたね~(カッコいい)逆にマウントを獲ったディアスが逡巡してしまっていましたし、その隙も見事についたスクランブル・マスターの面目躍如なシーンでした。

対するディアスも最後まで試合を捨てずに攻めきったところが素晴らしかったですね~。3ラウンド終盤、最も辛いシーンで逆足緘&足四の字からスイープで上を獲り返した勝利への渇望が見事でした…。

 

結果は田中が3-0判定のユナニマス勝ち!!

スクランブルの達人、田中が新武器の確立&往年の健在ぶりを魅せた帰還劇を飾りました!

PXC時代から変わらぬ驚異のブリッジ力がまた観れて感無量です…✨😭

対するディアスも先制ダウンを奪い、TDプレッシャーに負けずに打撃を繰り出していった素晴らしい試合でした!

 

LFAバンタム級王座は空位ですし、田中も次戦でLFAチャンピオンシップに挑む権利は十分!であると感じますね~。

進化した田中路教の帰還を観れて嬉しかったですね~!(おめでとーーーー!!!)

 

<コ・メイン/LFAフライ級 5分×3ラウンド>

f:id:paky21:20191212124105p:plain堀内佑馬(ほりうち ゆうま、24歳、チーム・オオヤマ)

vs.

f:id:paky21:20210209204523p:plainf:id:paky21:20191212123816p:plainマーク・クリマコ(25歳、アメリカン・キックボクシング・アカデミー)

 

LFAフライ級暫定王座に挑戦した堀内と、フィリピンの血統を継ぐ新鋭クリマコが激突!

アジア決戦となったサバイバルな一戦、序盤から激しい打撃交差が観られた熱い試合でした!!

クリマコはカリフォルニア生まれのアジア系アメリカ人で、サウスポーのキックボクシングでガンガン攻め続ける攻撃スタイルで連勝してきた選手です。特に右リードフックを打撃戦に混ぜるのが上手く、四つ組み勝負も辞さない好戦的なスタイルが魅力的です。

対する堀内は鋭く走る右ローキックを基盤にウェルラウンド(幅広くバランスの良い)な攻めを見せる選手であり、今回の試合も非常に楽しみでしたね~。

1ラウンドからガンガン攻めるクリマコの強振パンチ&四つからの肘打ちに苦戦を強いられた堀内でしたが、左の閂&右のフレームで突き離してクリマコを振り切ると、オーソドックス(右構え)に切り替えたところを右クロスで追撃します。

ここから右クロスで一気呵成に攻め込んだ堀内!クリマコはサウスポーに戻して距離を測りますが、堀内は更に距離を詰めて右クロスを炸裂させて見事なノックダウンを奪いました!!

 

結果は堀内が1ラウンドでKO勝ち!!!

目の覚めるような思い切りの良い踏み込み&KO勝利でしたね~~~!!!

ドノヴァン・フリロー戦の一本勝ちも素晴らしかったですけれども、日本MMA選手が強打者クリマコとの「鉄火場」に飛び込み、これを打ち破ったこの一勝は非常にグッと来ました🔥

火中の栗を拾いに一気にギアをかけた闘争心と、それを勝利へと完遂させた技術とが一気に花開いた素晴らしい瞬間であったと感じます。

メジャー登竜門で再び勝鬨を上げた堀内。

次戦はLFAフライ級王者チャールズ・ジョンソンへのリベンジを懸けた再戦か、UFCへの生存戦争を懸けるDWCSへの参戦か…堀内の挑戦に注目したいです!

 

<LFA 160lb(72.6kg)キャッチウェイト 5分×3ラウンド>

f:id:paky21:20191212123816p:plainエミリオ・ウィリアムズ(30歳、サブファイターMMA 他)

vs.

f:id:paky21:20200310143431p:plainダグヴァドルジ・バツンベレル(34歳、ゾルキーズMMA 他)

 

ウィリアムズはLFA初参戦となるストライカー。長身のキックボクシング使いで、リーチを活かした遠距離からの左ハイキック&左右ローキックを得意とします。

バツンベレルはカリフォルニア州『Dragon House』ウェルター級王座獲得の経験があるモンゴル人選手。2連敗中のLFAで初勝利を狙います。

ウィリアムズとバツンベレル、サウスポー同士の打撃戦から試合はスタート。リーチに勝るウィリアムズは左フックを振るいますが、バツンベレルも左フックを返すとダブルレッグでテイクダウンに成功します。

ウィリアムズは金網にもたれて押さえ込みから立ち上がりますが、バツンベレルは正面右四つに組むと、右下手投げで崩しながら小内刈りとのコンビネーションで再びテイクダウン成功!

ここで腕を負傷した?ウィリアムズが動けなくなったところを、バツンベレルが一気にパウンド連打で攻め込んでレフェリーストップしました!

 

結果はバツンベレルの1ラウンドTKO勝ち!

アメリカで研鑽を積むモンゴル選手バツンベレルが、フレーム差を覆して「3度目の正直」のLFA初勝利を飾りました!!

 

<LFA 150lb(68kg)キャッチウェイト 5分×3ラウンド>

f:id:paky21:20210209204523p:plainf:id:paky21:20191212123816p:plainハイダー・アミール(31歳、エルニーニョ・トレーニングセンター)

vs.

f:id:paky21:20191212124047p:plainホブソン・ジュニオール(20歳、ブラックハウスMMA

 

Bellator MMAで活躍するもパンデミック以来の試合となるアミールと、LFAデビュー戦で敗れ再起を狙うジュニオールが対戦。真っ向勝負のハードな試合となりました!!

ジュニオールが蹴りをカットして裸絞めを狙ったり、上体をしならせ左クロスやミドルキックを打ち込むブラジリアンらしいキックボクシングの攻めを見せます。対するアミールもフック連打で反撃していきますが、長身のジュニオールを捉えきれずに試合が進みます。

このままジュニオールが優勢か…と思った矢先、1ラウンド終盤にバランスを崩し背を向けたジュニオールをアミールが追撃の右フックで吹き飛ばします!ここから一気に攻勢を掴んだアミールは一気に突貫し、右フックで続けて二度目のダウンを奪います!

2ラウンドも激しい打撃戦は止まらず、ジュニオールも鋭い縦肘打ちなど多彩な打撃で応戦しますが、勝機と睨んだアミールは怯まず右フックを何度も撃ち込みます。強打を喰らい崩れ落ちるジュニオール、更にアミールが膝蹴りで畳みかけてレフェリーストップ!

 

結果はアミールが2ラウンドにTKO勝ち!

序盤はジュニオールがリーチを活かした打撃で制空権を支配しかけたように観えましたが、アミールが果敢なインファイトで強打を振るって大逆転のKO勝ちを魅せました!!

両者とも素晴らしかったです!!グレートファイト!!!

 

<LFA 175lb(79.4kg)キャッチウェイト 5分×3ラウンド>

f:id:paky21:20191212123816p:plainクリスチャン・アヴァロス(27歳、デスローンMMA

vs.

f:id:paky21:20191212123816p:plainジェフ・クレイグ(23歳、クラシック・ファイト・チーム)

 

アヴァロスは『Tachi Palace Fights』でプロMMA選手デビューするも、TPFの活動休止と共にキャリアを停止していました。今回は3年越しのプロ2戦目に挑みました。

対するクレイグは『Peak Fighting』アマチュア部門のウェルター級王者。アマチュアMMAでプロスペクトとして期待を受けてプロMMAデビューに臨みました。

試合開始から広くワイドスタンスで構えたクレイグ。リーチの長い左ハイキック&ローキックや首相撲からの膝蹴りでアヴァロスの組みを跳ね返して攻撃しています。

アヴァロスも被弾しながらも右オーバーハンドからテイクダウンを狙い続けます。クレイグは左右構えのスイッチを繰り返しながら蹴りを打ち込むテクニカルな攻めを魅せ、さらにカウンタのスピニングエルボー(裏肘打ち)、飛び膝蹴りとトリッキーな攻撃を打ち込みます。

アヴァロスは3ラウンド、逆転KOを狙いフルスイングのオーバーハンドを振り抜いていきます。クレイグもやや動きが緩やかになり、アヴァロスのレベルチェンジからの右オーバーハンドや右ミドルキックがヒットします。真っ向勝負の打撃戦で反撃を続けるアヴァロスに、押されながらも決定打を許さないクレイグ、拮抗したまま試合終了!

 

結果はクレイグが判定3-0のユナニマス勝ち!!

ジャッジは全員が「29-28」、恐らくは1,2ラウンドをクレイグが獲った先行勝ちでしょう。アマチュア時代から知っているクレイグがプロでも勝利をしてくれたのは嬉しかったですね~。

アヴァロスもお兄さんのホセ・アヴァロスがCONBATEで活躍中ですし、兄弟ファイターとしてこれから活躍していって欲しいです!

 

おわりに

というわけで、LFAで日本選手が2連勝という快挙が達成されました~!(めでたい)

堀内は完全KO勝ち、田中も圧巻の支配力で勝利という内容も素晴らしかったです👍🏻

LFA王座、そしてDWCSへの道という試練への道が拓かれましたが、ここからの2人の更なる挑戦を応援していきたいです!

そして願わくば、2人に続く新たな「挑戦者たち」も期待してたいですね~✨

ホントに、今年の日本MMAで一番燃えました~!!🔥😊🔥

おめでとー!!!!!!!!!!!!!!!