
お気に入りのMMAテクニックを紹介するコーナーの第9段!
今回は、スコットランドMMAを中心に脚光を浴びている新型ツイスターを紹介していきます!
使い手は、スコットランドMMAの名選手である![]()
スティーヴィー・レイ!
レイの故郷にあやかり、技の名前は「スコティッシュ・ツイスター(Scottish Twister)」といいます!
ボディトライアングル(Body Triangle、別名「4の字バックポジション」)の可能性も広げてくれるであろう、魅力的なサブミッションとして私も大いに注目しています✨
#1 スティーヴィー・レイの「スコティッシュ・ツイスター」とは?
2022年に開催された『PFL 5』における、
アンソニー・ペティス戦。
この試合で、スコティッシュ・ツイスターが脚光を浴びることになりました!
Hitting another “Scottish Twister” on one of the biggest MMA stages in the world @PFLMMA against a former World Champion & also BJJ blackbelt Anthony Pettis.
— Stevie Ray (@StevenRayMMA) 2022年9月2日
2 of 3 👀 pic.twitter.com/xbhZSM5xas
参考動画:アンソニー・ペティス vs. スティーヴィー・レイ
レイはボディトライアングルで胴体をがっちりロックして、ペティスのバックを獲って攻め続けます。
対するペティスはシュリンプ(Shrimp、別名「エビ」)で身体を捩じり、レイのバックから反転して脱出(エスケープ&リバーサル)しようとしますが、レイのボディトライアングルは堅牢でペティスの脱出を食い止めます。
レイはここからペティスの右肩をショルダークランプ(Shoulder Clamp)で引き伸ばし、次の瞬間にペティスが苦悶の表情でタップします!
レイが新型ツイスターで、強豪ペティスから驚愕の一本勝ちを奪った瞬間でした!
続く2024年、レイの故郷スコットランドで開催された『PFL Europe 3』。
メインイベンターに抜擢されたレイは、またしてもスコティッシュ・ツイスターを炸裂させます!
Twister finish for Stevie Ray in the main event at #PFLGlasgowpic.twitter.com/IIXBqP8nQd
— J Murphy (@jaysfighttalk) 2024年9月29日
参考動画:スティーヴィー・レイ vs. ルイス・ロン
確かな寝技の実力を持った![]()
ルイス・ロンを相手に、ボディトライアングルで捕縛しながらもパンチを被弾してしまうレイ。
しかし、レイは徐々に体勢を左側にズラすと、ロンの右肩をショルダークランプで引いてスコティッシュ・ツイスターを極めます!
故郷スコットランドの観衆の目の前で「伝家の宝刀」を炸裂させたレイは、地元大会を歓喜に導くとともにこの新型ツイスターの有効性を証明してみせたのでした!
レイは上記の2試合の前に、グラップリング大会『Polaris』でも![]()
クレイグ・エワーズに同じ技を極めており、スコティッシュ・ツイスターはすでにレイの代名詞的なサブミッションになりつつあると感じますね~。
一見すると「どこが極まったの?」と思う不思議な極まり方をしているのが魅力的ですね~。
攻め手の少ないボディトライアングルから極められる貴重な新技という意味でも、これから広まっていって欲しいMMAテクニックの一つです!
#2 スコティッシュ・ツイスターの構造とは?
「ツイスター(Twister)」は、その名の通りに対戦相手の背骨を捩じり上げて極める強烈なサブミッションです。
参考動画:ブライス・ミッチェル vs. マット・セイルズ
オリジナル版のツイスターでは、背骨の上側(頸椎と胸椎)をネッククランク(Neck Crank)で右側(または左側)に捩じり、背骨の下側(腰椎等)を片脚へのロックダウン(Lockdown、別名「二重がらみ」)で左側(右側)に捩じって「ツイスト」させることでダメージを与えます。
スコティッシュ・ツイスターの場合も、本質的な構造はオリジナル版と一緒です。
参考動画:アンソニー・ペティス vs. スティーヴィー・レイ
①ボディトライアングルで捕縛して、腰骨をロックする
(上記動画の9:50~10:10)
まず、バックを獲ってボディトライアングルで捕縛します。
ボディトライアングルを組むべき箇所は幾つかありますが、今回は主に腰骨をロックすることが重要です。
脇にフックを差しながら、裸絞めでプレッシャーをかけて相手の脱出を誘います。
②相手のシュリンプ(エビ)による脱出(エスケープ&リバーサル)を阻止する
(上記動画の10:28~10:40)
ボディトライアングルで捕まえられた相手は、シュリンプ(エビ)によって身体を反転させて脱出(エスケープ&リバーサル)しようとします。
ボディトライアングルは脚を外側に出すのが定石ですが、今回は脚を内側に残します。
内側に残すことで、相手がシュリンプして反転するのを途中で阻むことができるからです。
こうして、相手は脱出を途中で止められてしまい、腰を捩じった状態で空中停止することになってしまいます。
③相手の腰を右(左)に捕らえたまま、ショルダークランプで上体を左(右)に伸ばす
(上記動画の10:42~10:50)
相手はボディトライアングルで腰骨を右側(左側)にロックされたまま、上半身だけ左側(右側)に捻じれた状態になっています。
この状態が、スコティッシュ・ツイスターのセットアップです。
あとは、相手の右肩(左肩)の脇に腕を差してグリップし、そこからショルダークランプで肩を引き伸ばします。
相手の上半身はより左側(右側)に伸ばされ、右側(左側)にロックされた腰骨との「ツイスト」で背骨が捩じられることでスコティッシュ・ツイスターが極まり、相手の背骨に強い痛みとダメージが与えられます!
このように、スコティッシュ・ツイスターの基本的な構造はオリジナル版のツイスターとほぼ一緒であると感じます。
このテクニックが特に素晴らしいのは、従来のボディトライアングルの弱点であったシュリンプによる脱出(エスケープ&リバーサル)に対して罠を張れる「カウンター」として機能しているという点です。
ボディトライアングルでバックから捕縛されれば、あとはシュリンプによる脱出以外には脚のフックを手で外すかフリーの脚をフットロックで切り返すくらいしか反撃手段はありません。
MMAではまだフットロックで返せる程の使い手は少ないですし、手でフックを外す為には首がフリーになり裸絞めを極められるリスクを犯すことになります。加えてブルームスティック(Bloomstick)で脚のフックを強化すれば、より選択肢を狭めることに成功できるでしょう!
一番の定石であり安全策と思われていたシュリンプによる脱出(エスケープ&リバーサル)にカウンターを獲れるスコティッシュ・ツイスターは、MMAグラップリングの世界を奥深い進化に誘ってくれる可能性を秘めたテクニックであると感じています!
#3 スコティッシュ・ツイスターの使い手は、日本MMAにもいる!
スコティッシュ・ツイスターは、勿論レイだけのMMAテクニックに留まりません。
『Wardog CF』バンタム級の現チャンピオン
清水俊裕(シミズ・トシヒロ)は、ボディトライアングルからのツイスターを極めて見事な勝利を挙げています!
参考動画:清水俊裕(ライダーHIRO) vs. パク・ヨンジョン
「ライダーHIRO」のニックネームをとる清水は、2024年の『Wardog CF』バンタム級の新チャンピオン決定トーナメントに出場しました。
準決勝では「コリアン・モアイ」
キム・ミンウに師事する
パク・ヨンジュンに対して、ボディトライアングルからのツイスターを見事に極めて一本勝ちしました!
この試合では清水は脚を外に出していますが、パクの腰骨をしっかりロックできているのでセットアップが出来ていましたね~!
極め方もオリジナル版ツイスターのネッククランクに近く、レイが『Polaris』で極めていたバージョンと同タイプといえます。
清水は続く決勝戦でも、ボディトライアングルからのツイスターを炸裂!
清水はラッシュで勇猛に攻める
田中壱季をバックで捕縛し、完璧な極めでトーナメント優勝&チャンピオン戴冠を果たしました✨👑✨
このバージョンでは平良の様にブルームスティックをかけており、上記で想定したスコティッシュ・ツイスターへのセットアップ強化案をすでに実現できていることになりますね~!
清水の素晴らしいチャンピオン戴冠でした!
清水は2015年にも『Pancrase』で
村田康大(ジェイク・ムラタ)をボディトライアングルからツイスターで極めています。
レイのスコティッシュ・ツイスターが脚光を浴びた今こそ、長年に渡ってMMAグラップリングの研鑽を積んできた時代を先駆けた日本MMAの寝業師たちにも光が当たって欲しいと感じています!🌟
先日の『Eternal MMA』に出場した
神谷大智(カミヤ・ダイチ)も
レイマート・キンタナをボディトライアングル&ブルームスティックの「二重ロック」で捕縛し、スコッティッシュ・ツイスターを見事に極めて一本勝ちしています!
先に述べた
村田康大(ジェイク・ムラタ)や、『Road to UFC』に挑戦した
後藤丈治もスコティッシュ・ツイスターを極めて勝利しており、その動きはいずれも非常に洗練されていましたね~。
ボディトライアングルから極められる新たなる一手として、この技にもいよいよ本格的な体系化が始まっているな~と感じています😊
MMAテクニックは本質的に普遍性を持っており、素晴らしいテクニックの源泉は一つではありません。
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スティーヴィー・レイのツイスターと、
清水俊裕(ライダーHIRO)達のツイスターは決して祖を一つにするものではないでしょう。
それは今後もスコティッシュ・ツイスターの新しい使い手が表れてくれる期待が大いに持てるということです!
MMAでこのように素晴らしいシンクロニシティが起こる瞬間を何度も観てきていますし、これからどんどん普及と発展を重ねていって欲しいと願っています!✨
#4 おわりに
先日の「
ブランドン・ロイヴァル vs.
平良達郎」の記事では、平良のボディトライアングル&ブルームスティックの「二重ロック」の強み、そして弱みについて紹介させていただきました。
MMAにおいて、ボディトライアングルによるバックの捕縛力の強みと、裸絞め以外の有効の攻撃選択肢がほぼ無いという弱みは依然として大きな課題の一つといえるでしょう。
今回紹介させていただいた「スコティッシュ・ツイスター」は、その閉塞感を打破し得る一つの可能性であろうと思います!
MMAはまだまだ発展途上、これからも技術進化の可能性は大いに広がっています。
これからも、未だ観ぬ素晴らしいMMAテクニックが光に照らされ、普及と発展を続けていくことを願って止みません👍✨