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ミックスドマーシャルアーツ(MMA)という格闘スポーツについて、コラムや試合レビューを書いています。

【MMA】修斗3度目の金網挑戦。『VTJ 3rd』の試合展望【フジメグ引退】

2013年10月5日(土)
=VTJ 3rd=, VTJ主催, 大田区総合体育館大会

堀口vs.石渡で「金網の打投極」を魅せたVTJ
あの死闘を引き継ぐ今大会も勝負論のあるカードが並んでいて、たいへん好みな感じなので紹介デス。
特に西海岸から現役王者ウィル・キャンプザーノが来日するのが注目ですね。進化を続けている所の現在の強さを証明する良いカードであると思います。
以下に試合の展望をチラホラと。


藤井恵(日本) vs. ジェシカ・アギラー(アメリカ)
ストロー級/52kg級, 5分×3ラウンド, 再戦・藤井引退試合

フジメグ」「Mega Megu(メガ・メグ)」の愛称を持つ藤井は、2004年から女子総合格闘技のエースとして活躍してきた選手です。
圧倒的な一本勝ちを見せ続け、敗戦は2度の判定負けのみ。
対戦相手のジェシカはメキシコ生まれのアメリカ人選手で、BELLATORで4連勝中のメジャーファイター。
グラップリングを基盤としつつも近年はボクシング技術の向上が目覚ましく、昨年5月の藤井戦では打撃戦でスピード&テクニック差を見せて勝利を手にしています。
藤井にとって力とスピードで勝りグラップリングも得意なジェシカは決定打を与え辛い相手ではあろうと感じます。ゾイラ戦とジェシカ戦では打撃で距離を開けられ組み付けずに負けた印象があるので、テイクダウンを奪えるかで展開は大きく変わると思います。
女子総合格闘技の象徴であったフジメグフジメグ本人が悔いのないような試合になれば嬉しいです。先日のパンクラスでの高橋さんの引退を見ても思いましたが、全力で迎えた引退試合は世代を超えて人の心を震わせる力があると感じます。まだ早いですが、「お疲れ様でした。ありがとう。」と言いたいです。

宇野薫(日本) vs. ダニエル・ロメロ(アメリカ)
フェザー級/66kg級, 5分×3ラウンド)

藤井よりも長いキャリアを持つ宇野。2001年に総合格闘技の軽量級で初めてチャンピオンシップを行った選手であり(バンタム級…現在のライト級)、二度のUFC出場を経てVTJに出場、6月にアンソニーアヴィラアメリカ)に一本勝ちして強さを見せています。
「The Doomsday Prophet(終末の預言者)」のニックネームを持つダニエル・ロメロは、西海岸の精鋭集団チーム・アルファメール所属のストライカー。6月の高谷裕之戦にてKO勝利を見せ、連続のVTJ出場となりました。
「世界戦」勝者同士をぶつけるシンプルながら大変分かりやすく好みの一戦です。寝技の宇野vs.打撃のロメロという分かりやすい構図です。ロメロは西海岸の選手らしいボクシングをメインにした「拳闘士タイプ(と勝手に読んでます)」の選手です。あえて相手に"殴らせる"ことで激しい打撃戦に持ち込み、同時に冷静に距離をコントロールし避けながらパンチを当てていける技術もありますね。宇野はロメロの仕掛ける「打撃アリ地獄」にハマらないよう、しっかりとガードをして寝技に持ちこむ「宇野スタイル」を粘り強く続けていってほしいですね。

所英男(日本) vs. ウィル・キャンプザーノ(メキシコ/アメリカ)
(フライ級/57kg級, 5分×3ラウンド)

プロ総合戦績が60戦に近づいてきた、こちらもベテランの所。今年からフライ級に転向を目指していて、6月にはテイラー・マコーリストン(アメリカ)に一本勝利して弾みをつけています。今回が初の正式なフライ級契約の試合ですね(マコーリストン戦は59kg契約)。
「メキシコの暴風」ウィル・キャンプザーノはメキシコ生まれの純メキシコ系アメリカ人です。柔術とテコンドーを経て総合格闘家となり、WECとUFCという北米メジャーシーンを経験しています。フライ級転向後にテキサスの拳闘祭「Legacy FC」と契約、ジミー・フリック(アメリカ)やアラン・ナシメント(ブラジル)といった若手選手に勝利し初代フライ級王者として君臨しています。
キャンプザーノは暴風のようなフック連打と柔術テクニックを持つ選手で、Legacy FCで一番好きな選手です。ダレル・モンタギューやイアン・ラヴランドと並び北米地方王者として確かな実績と名声を持つ選手であり、所がこの試合に勝利すれば世界への明確なアピールとなりますね。所は近年キックボクシング技術が向上し、ここにきて総合格闘家として完成されてきていると感じます。裏メインといっていい試合なので、フライ級らしいアグレッシブな試合を期待したいです。

上記3試合が「世界戦」ですね。特にロメロ、キャンプザーノといった実力のしっかりある選手がモチベーションを高く持って参加してくれるのは非常に嬉しいことですね。VTJが世界にアピールできる場であることを証明するためにも、フィニッシュを目指した良い試合となるよう願っています。

以下が「修斗の金網挑戦」ですね。わりと打撃系の選手が多い最近の修斗ですが、金網になることで「試合の流れの違い」を感じられるような試合になる事を期待しています。世界の金網経験者である手塚や矢地、松本の頑張りも見てみたいですね。

リオン武(日本) vs. 矢地祐介(日本)
フェザー級/66kg級, 5分×3ラウンド)

修斗王者対決。リオンの精密射撃vs.矢地の蜂の巣戦法といった印象です。
矢地はPXCで世界戦デビューを果たしましたが、トビー・ミセッチ(ハワイ)のプレッシャーとパンチの前にKO負け。初の敗北からいかに成長しているかは期待ですね。

佐々木憂流迦(日本) vs. パク・グンド(韓国)
バンタム級/61kg級, 5分×3ラウンド)

柔術天狗」佐々木が緊急参戦。堀口にUFCに先立たれてしまった佐々木ですが、焦らずじっくり経験を積んでほしいです。
対戦相手のグンドは今回が総合プロ初試合。グレイシーバーッハ門下の柔術家です。
緊急参戦ということで佐々木の金網経験試合という感じですね。でもグンドの実力が未知である以上、佐々木は冷静に相手を見極めながら確実に一本勝ちを狙っていってほしいです。

小谷直之(日本) vs. 星野大介(日本)
(ライト級/70kg級, 5分×3ラウンド)

ZSTライト級王者、小谷が出場。星野は「修斗の鉄人」田村彰敏の門下生。
明確なステップアップを目指す星野にとっては大きなチャンスですね。星野がZSTスタイルの権化である小谷のしつこい極めを凌いで試合を作れるかに注目です。

手塚基伸(日本) vs. 根津優太(日本)
バンタム級/61kg級, 5分×3ラウンド)

石渡に続くパンクラスバンタム級ナンバー2、「潰し屋マスクマン」手塚が修斗に出場。
対するは修斗で技巧派ストライカーとして活躍する根津。根津は6月にウィッキーとの打撃戦に競り勝ち、自信をつけていきたい大事な試合ですね。
ただし寝技のとにかくテイクダウンを獲り削りまくる手塚のスタイルは根津にとっても鬼門でしょう。おまけに金網マッチということで、手塚の削りが炸裂する可能性は高そうです。根津の総合的能力が試される一戦か。
あと手塚の入場も色んな意味で期待しています(笑)

西浦"ウィッキー"聡生(日本) vs. 大澤茂樹(日本)
フェザー級/66kg級, 5分×3ラウンド)

TUFに挑戦するなど試行錯誤が見える「アーティスト」ウィッキー。
修斗で地道に戦績を重ね、シュートボクシングにも挑戦している大澤。
お互いにもう一つ上のスタイルの確立を見たい選手同士なので、ぶつかり合う事でそれが開花していってくれたらいいなぁと思っています。

宇良健吾(日本) vs. 松本光央(日本)
(キャッチウェイト/75kg級, 5分×3ラウンド)

逆輸入系ファイターのウラケンがミャンマーでの修行を終えて再帰国。
PXCでフランク・カマチョ(北マリアナ諸島/アメリカ)のボク&レスにKO負けを喫した松本。
元KOPと新人王の対決ですが、そういう肩書を一度脱ぎ去った裸一貫のぶつかり合いが見たいですね。


フジメグがんばれー!!!