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ミックスドマーシャルアーツ(MMA)という格闘スポーツについて、コラムや試合レビューを書いています。

【vs.日本】TUFファイナリスト対決!「拳の処刑人」オラシオ・グティエレス!【石原夜叉坊】

3月のUFCにてジュリアン・エローサに左カウンターショットを炸裂させ1RKO勝利!!
白星スタートを飾った「鹿児島の破天荒」 石原"夜叉坊"暉仁(いしはら やしゃぼう てると)が、8月6日「UFC Fight Night 92 -Caceres vs. Rodriguez-」にて真価の試されるメジャー2戦目に挑みます。
「Road to UFC Japan」から転向したフェザー級のスタイルも安定し、勝利に向けてチーム・アルファメールサクラメント本部にてレベルアップに励む石原。
同階級のコンテンダー戦であるカブ・スワンソンvs.川尻達也に続いての試合となる為、前試合に掻き消されないインパクトを残せる結果を出したいところ。
そんな石原に立ちはだかるのは、彼と同じくTUFのファイナリスト経験を持つ選手。
かつてない強打を誇るメキシコの新鋭、「拳の処刑人」オラシオ・グティエレスです!
という訳で今回はUFCニューカマー、グティエレスを紹介していきます!

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オラシオ・グティエレス Horacio Gutiérrez

フルネーム:オラシオ・グティエレス・ビジャヌエヴァ(Horacio Gutiérrez Villanueva)
ニックネーム:エル・カスティガドール(El Castigador)
|ザ・パニッシャー(The Punisher)
国籍:メキシコ(ハリスコ州 グアダラハラ
在住:アメリカ合衆国イリノイ州 シカゴ)
階級:MMA男子フェザー級(145lbs / 66Kg)
所属:バーン・シント・ムエタイジム(メキシコ) カルロス・ナヴァーロに師事
シカゴ・ファイトチーム(シカゴ) ロベルト・ラミレスに師事
競技経歴:ムエタイ(アマチュア国際王者) BJJ(青帯) グラップリング(ノーギ)
MMA経歴:TUF Latin America 2 ライト級トーナメント準優勝('15)
|TFCフェザー級王者(アマチュア 防衛1) CFNライト級王者(プロ)


グティエレスは11歳から始めたムエタイをルーツに持つMMAファイターです。
メキシコ人初のルンピニースタジアム勝者であるカルロス・"シント"・ナヴァーロに師事し、アマチュアムエタイリーグ優勝経験があります。
その後、Youtubeで試合を観て興味を持ったというロベルト・ラミレスとの出会いを経て、彼が代表を務めるシカゴ・ファイトチームにも所属。
マチュアは2012年から、プロは2014年からMMA選手として活躍しています。
2015年にはUFCの登竜門「TUF Latin America Season 2」にも出演し、一階級上のライト級トーナメントで準優勝を果たしています。

ニックネームは「エル・カスティガドール / ザ・パニッシャー(処刑人)」
対戦相手を破壊する彼の強打と攻撃性の高さに由来します。
プロMMAファイターとしての経験値は浅いグティエレスですが、ムエタイ時代から合計35戦以上の試合経験があるといい、TUFでの激闘を経て上昇した経験値は侮れません。



TUFでは高い上昇意識と実力を兼ね備えた情熱的な人物として、コーチのエフライン・エスクデロからも高い評価を得ています。
ダニエル・サラスマルコ・ポーロ・レジェスをその強打と強い精神力で打ち破るものの、決勝戦ではエンリケ・バルゾーラのテイクダウンに強打を封じられ完封負け。
残念ながら優勝にあと一歩届かなかったグティエレスでしたが、番組の立役者として素晴らしい活躍を見せました。
そんなグティエレスにとって、石原戦はUFC契約続行をかけた大事なデビュー戦!
並々ならぬモチベーションで挑んでくることを期待せずにはいられませんね~!!

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グティエレスは立ち技>投げ技&寝技の打撃重視スタイル。
MMA経験が浅くアジャスト不足な面も否めず、基本はMMAでもムエタイをする」選手です。
主武器は左フック&右ストレートのコンビネーションとローキック
ローで相手を下がせると同時にパンチの射程距離に誘導し、相手の反撃にカウンターを合わせて撃ち落す王道のストライキングが出来る選手ですね~。
ガッシリした見た目の通りフィジカルも高く、また少々の被弾を受けても意に介さず反撃を繰り出すタフさも併せ持っています。
身体的特徴としては肩関節のしなやかさが上げられ、至近距離でもKOクラスのボディブロー&パウンドを放てる要因になっています。
あまり頻度は多くないですが、ムエタイ仕込みの肘打ちや膝蹴りも繰り出します。


参考動画 《TFCフェザー級トーナメント準決勝 グレッグ・ティグネル戦》
グティエレスの強打者っぷりとカウンターセンスが良く分かる試合です。
マチュアMMA2戦目ながら、その打撃精度は既に高い完成度を誇っています。
ガードが甘めで顔で受ける所は怖いですが、TUFではクレバーに成長していましたね~。

一方で投げ技&寝技は「凌ぐ時間」として割り切っています。
スプロール&スウィープで脱出し、出来るだけ打撃の展開を作りたいタイプです。
しかし、自身の攻撃時にカウンターでテイクダウンを合わせられると踏ん張りが効かず、倒されて抑え込まれてしまう場面は多いです。
MMAストライカー」として片鱗を見せつつも、真に完成するのはまだこれから、という印象を受けますね~。



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お互いが相手に勝っているポイントはこんな感じです!↓

《オラシオ・グティエレス
・KOパワー
・打撃精度
・フィジカル&タフネス


《石原"夜叉坊"暉仁》
・パンチのリーチ
・俊敏さ&柔軟性
・ステップワーク


試合展開としては、打撃の交差は避けられないと思います。

石原はステップワークで距離を作り、左右のロングフックとボディムーブで攪乱。
打ち気を誘った所でカウンターの左フックを叩き込むというスタイルを取っています。
この戦法が廣田戦、エローサ戦でばっちりとハマり、ダウンを奪う事に成功しました。
グティエレス戦も今までと同様に、遠距離を維持しつつヒット&アウェイで左カウンターを当てるタイミングを探るのが定石となりそうです。

グティエレスはいかに石原の打撃のリズムを崩せるかが焦点となります。
広いオクタゴンで相手を追い切れなかったTUF決勝の弱点を修正しなければなりません。
今回も遠距離を維持されると思いますが、逆にテイクダウンを食らう脅威は減るでしょう。
石原は思い切りの良い打撃を打てる反面、体幹が崩れ連打が続かないのが弱点です。
右ジャブ&ローを捌いて体幹を崩し、ローキックや右ストレートで追い討ちをかける。
リズムを崩し足を封じる事で、石原の本命の左カウンターの切れ味を落としたいですね。
MMAの「追いの打撃」の進化が求められる正念場となるでしょう!

もちろん、MMAとして寝技へのアジャストも考慮に入れる必要があります。
グティエレスは寝技=脱出のスタイルである為、打撃の圧力でしっかりスペースを作ってテイクダウンに入らせない必要がありますね。
石原にとっては明確に突ける弱点ではありつつも、近距離打撃のエキスパート相手にテイクダウンを狙う事はリスクを伴う賭けです。
投げ技&寝技をどのように絡めて&弾いていくのかも面白いポイントになりそうですね~。

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対照的ながら、上昇志向の高さという点で共通する両者の一戦。
UFCファイターとして、どちらがより高みを目指せるかの試金石となるでしょう!!
「破天荒」vs.「処刑人」の激闘が今から楽しみです!!

最後にTUFでグティエレスが凄くカッコ良かった台詞を紹介しておきます↓
「彼(サラス)はコスタリカリーグの王者だ。しかし俺は怖くない。
俺はオラシオ・グティエレスだ。勝つにはそれで十分だ。」

(エピソード3「Two Mexicans」 ジャスティン・サラス戦前インタビューより)