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ミックスドマーシャルアーツ(MMA)という格闘スポーツについて、コラムや試合レビューを書いています。

アラニスvs.獅庵!「豪日」漢の斬り合い!!『Hex Fight Series 11』レビュー

 

2017年9月1日(金) 

 Hex Fight Series 11 -Alaniz vs. Yamashita-

メルボルン・パビリオン (メルボルン、オーストラリア) 

 

 

レント・ジェームズCEOとチャールズ・フェルナンデス代表によって、2014年にスタートしたHEX。

2015年にはパンクラスとパートナーシップを結んでおり、パンクラス現フライ級チャンピオンの池田仙三(いけだ せんぞう)もHEXフライ級王座に挑戦したことがあります。

2016年のTUF 24では、仙三に勝利したフライ級王者チャーリー・アラニスが16人のフライ級選抜王者の一人として参戦、一回戦で優勝者のティム・エリオットに敗れたものの、打撃戦でエリオットを上回る激闘を繰り広げました。

今大会のメインイベントでは、王者アラニスがパンクラスで活躍する山下"獅庵"泰生を挑戦者に迎えたフライ級王座防衛戦が行われました。

(リングアナウンサー…ジョン・デミコリ)

 

<★HEXフライ級チャンピオンシップ 5分5ラウンド>

チャーリー・アラニス(C) vs. 山下"獅庵"泰生

Charlie "El Guerrero" Alaniz vs. Hiroki "Shian" Yamashita

王者アラニスはオーストラリア在住のメキシコ系アメリカ人です。

チャモロとハワイアンの血も流れており、小柄な体躯から放つテクニカルな打撃を武器とします。

"獅庵(しあん)"こと山下泰生(やました ひろき)はパンクラスで活躍するストライカー。

糸東流空手をベースとしたステップワークから放たれる鋭い強打が最大の武器です。

 

獅庵が一気に踏み込み連打。ラニスはボディロックでかわして打撃戦が展開。

獅庵がストレートをダッキングしたアラニスを首相撲で捉えて、顎へ膝蹴りをヒット!

脚が止まるアラニスに獅庵はフック、膝蹴りと連打で攻めます。

ラニスは後退するも、獅庵のリードフックにダブルレッグTDを合わせ反撃。

背後からロックしケージに詰めてワンツー。獅庵はガードして両者は中央で正対。

ラニスのステップインに獅庵がストレートを合わせます!前方へ倒れ込むアラニス!

獅庵は立ち上がり際にアッパー、首相撲からの膝蹴りで追撃。

流血するアラニスですが、シングルレッグから片足を抱えてTDします。

一度は脱出する獅庵ですが、アラニスは獅庵のストレートに合わせて組みつくと再びバックへ。

獅庵はケージに頭を付けて腰のロックを解くと、離れ際に膝蹴り。

ラニスは後退するも、獅庵の追撃のストレートにアッパーを合わせて迎撃。

獅庵も膝蹴りを当てますが、アラニスは一気に圧力を詰めるとジャブ&ストレート炸裂!

後退する獅庵をぐいぐいと追い込むと、ケージを背負わせてフックで追撃!

倒れ込む獅庵をスプロールしてアラニスがバックに回り、立ち上がりを抑え込みます。

ラニスは裸締め&ギロチンをかけつつボトムを抱えると、一気にパスしてマウントへ。

裸締めを狙われるも獅庵は反転して脱出して、立ち上がり際に膝蹴りで反撃します。

ラニスはリードフックで散らしてからストレートを当てて、獅庵をケージに追い詰めた所でブザー。

 

獅庵が前半に攻め込むも、アラニスが後半に巻き返したシーソーゲームは2ラウンドへ。

獅庵は踏み込んでアッパーを放つも、離れ際にアラニスのフックを受けて後退。

ダブルレッグで組み付くも、アラニスは両手を引いてTDし、ポスチャーから強烈なエルボー!

うつ伏せの獅庵に追撃し、ケージを背負わせオープンガードから更にパウンドで追い詰めます。

立ち上がろうとする獅庵をバックで抑えて、シートベルトコントロールから裸締め!

反転し逃れる獅庵でしたがアラニスはハーフで抑え、再びグラウンド&パウンドで攻めます。

ラニスはポスチャーからショートエルボー、レッグドラッグからフルスイングパウンドと削ります。

寝技で一気に差をつけたアラニスが優勢を取り続けました。

 

3ラウンド、獅庵は跳び膝蹴り二連撃から首相撲の膝蹴りをヒット!

しかし、アラニスはこれを耐えてクロスを炸裂させ、獅庵は後方へダウン!

アップキックをかわしアラニスがフルスイングエルボー。ハーフガードから追撃のラッシュ!

亀になった獅庵をバックから片足フックし、仰向けになった所でマウントへパス。

一旦オープンガードに戻るも、獅庵を逃がさずアラニスが豪快にパウンド。

アームインギロチン気味に抱えて獅庵をケージに背負わせ、ハーフサイドからエルボーを連打。

立ち上がる獅庵は決死のフルスイングフックも空を切り、アラニスがダブルレッグTD。

手を引きつつバックへ回り、シートベルトコントロールで引きこんでマウントへパス。

獅庵はブリッジするもアラニスはポスチャーを維持、肩固めを極めて一本!

王者アラニが獅庵の強打に耐え、鋭いカウンターと寝技でコントロールし防衛に成功しました!

 

ラニスは破壊力のある獅庵の打撃でダメージを受けたものの、持ち前のボクシング&見事な寝技のコントロールで後半にかけて巻き返す地力の強さを魅せてくれました。

フライ級でも小柄な選手ですが、そこをスピード&インファイトでアドバンテージに変えている所がカッコいいですし、次の防衛戦にも期待ですね~。

獅庵は強打の威力を魅せるも、徐々にアラニスに巻き返されての無念の敗戦でした。

しかし、アウェーの地で強豪と真っ向勝負した姿には、最高に燃えさせて貰いました!!

この経験を活かし、次の舞台で更なる活躍を期待したいです!

 

<☆バンタム級 5分3ラウンド>

ロルダン・サンチャ=アン vs. ダーウィン・シュガリット

Roldan "The Executioner" Sangcha-an vs. Darwin "Sugar" Sagurit

UFCからの復帰戦となるロルダンを、強打者のシュガリットが迎え撃った一戦です。

サイドキックを放つロルダンですが、シュガリットは構わず踏み込みハードパンチを打ち込みます。

ダブルレッグからTDに成功するシュガリット

すぐ立つロルダンですが、シュガリットはアッパー、ワンツーと連打し、ロルダンを逃がしません。

再びサイドキックを放ち離そうとするロルダンですが、シュガリットは相打ち覚悟のフックで追撃します。

シュガリットダッキングからフック!ガードの開いたロルダンの顎に更にフック!

ダブルレッグで押し込むシュガリット。ロルダンはこれを離してアッパー&フックで迎撃。

続いてサイドキックを放つも、これをシュガリットがガッチリと抱え、追撃のストレート。

これを回避したロルダンがアッパーを狙うも、シュガリットのストレートで足が止まります。

シュガリットの追撃のフックが顎を捉え、膝が落ちるロルダン!

一気に詰めたシュガリットは渾身のフック!横薙ぎに崩れるようにダウンするロルダン!

シュガリットが自慢のハードパンチでロルダンを粉砕KOし、UFCへの契約をアピールしました!

 

<☆ライト級 5分3ラウンド>

ジェシーメディナ vs. ジャック・ジェンキンズ

Jesse "Funky Cold" Medina vs. Jack "Phar" Jenkins

ジェンキンズがダブルレッグを狙うもメディナが50/50で耐え、挿し合いの末に離れて正対。

やや遠い間合いから打撃を交差すると、ジェンキンズがストレートから小外刈りでTD。

サイドからパウンドを打つも、メディナは下から三角締めへ!

ジェンキンズは脱出し再びスタンドに戻り、両者ともに打撃を交差させるも決定打は出しきれず。

2ラウンド、ローキックを打ち込むジェンキンズに、メディナもローを返しダブルレッグでTD!

すぐに立ったジェンキンズが背後からボディロックし、リフトアップからTDを返しポスチャーへ。

パウンドを効かせるジャンキンズですが、メディナインサイドガードで上体を引くとアームバー一閃!

ジェンキンズは逃げきれず、レフェリーストップでメディナが鮮やかに一本勝ちしました!

 

<☆フェザー級 5分3ラウンド>

ルーク・カタビッグ vs. リッキー・キャンプ

Luke "The Lycan" Catubig vs. Ricky "2 Slick" Camp

アナウンサーに名前をコールされた後に、そのまま10分くらい待たされるという苦行の末に開始した一戦です。(海外の試合だとたまにあります)

開幕からケージに詰め、アンダーフックでTDを狙うキャンプ。

自ら一旦離して打撃戦に持ち込むと、再度ケージに詰めて裏拳からレベルチェンジ、ダブルレッグと鮮やかな連携でTDを成功します。

その後もバックから片足をフックしたままパウンドで削り、キャンプが優勢のまま試合は進みます。

1ラウンド終了間際、キャンプは自ら離れると立ち上がり際を狙って顔面に反則スレスレの膝蹴り!

そこからフック連打&ヘッドキックと繋げ、ワンサイドで1ラウンドを取ります。

2ラウンドも更に勢いを増すキャンプが一方的にフック&ヘッドキックで攻め続けます。

カタビッグも相打ち狙いのフックを当てますがキャンプの勢いは止まらず、ホイールキックや関節蹴りまでも繰り出していきます。

最後はヘッドキックで足を止めた所にドンピシャのワンツー!カタビッグは大の字にダウン!!

圧倒的な立ち回りを魅せて、キャンプが快勝しました!!強いです!!!

 

<☆159lbsキャッチ 5分3ラウンド>

ムハンマド・ヘニフ・ザイナル vs. アレックス・ジョージー

Muhammad Hanif Zainal vs. Alex "Hitman" Gorgees

テコンドー黒帯のザイナルと、アッシリア人の血統を持つジョージースの対戦。

二階級以上の体格差を感じさせる試合で、長身のジョージースが長いリーチでじわじわと詰めます。

ジョージースはミドルを当てると自身の腹をさすり挑発、ケージに詰めて正中にワンツーを炸裂!!

ダウンしたザイナルをパウンドで下し、ジョージーが圧倒し1ラウンドKOで勝利しました。

色々と差のあるカードだったな~と思うので、次戦はより強い相手との試合が観たいですね~。

 

<フライ級 5分3ラウンド>

ショーン・ガウチ vs. ティーヴ・アーセグ

Sean Gauci vs. Steve Erceg

プレッシャーをかけワンツーを狙うガウチに対し、アーセグはミドル&ジャブで距離を維持します。

ガウチはダブルレッグTDからサイドを取るも、反転し脱出したアーセグがジャブを次々とヒットさせ優勢を取ります。

2ラウンドはダメージの残るガウチに対して、強めのワンツーでアーセグが攻めます。

ガウチはダブルレッグを狙うも、片足でバランスを取り、足を抜いて切るアーセグ。

再度ガウチが片足と腰を抱えダブルレッグTDすると、今後は成功しトップをキープします。

3ラウンド、打撃を交差しつつもアーセグが的確に打撃をヒットさせていきます。

ガウチがシングルレッグTDを狙いますが、そこにハイエルボー・ギロチンで極めに行くアーセグ。

これを逃れたガウチでしたが、アーセグはダブルレッグTDを決め完全にトップを獲ります。

そのままマウントを獲ったアーセグが、ガウチを逃さず肘打ち&パウンドで攻め続けます。

ラスト30秒でアーセグが裸締め!堪えるガウチでしたが、アーセグが最後まで攻め続けました。

アーセグの完勝!…かと思いきや、ジャッジは全員がガウチを師事するという驚きの結果に。

うーん、ここまで攻めて勝てなかったのは、アーセグが気の毒でしたね~(泣)

 

<★ミドル級 5分3ラウンド>

マット・イランド vs. サム・ジョー・トートゥ

Matt "Nightmare" Eland vs. Sam Joe Toetu

1ラウンドから、両者とも足を止めた激しい打撃戦となりました!

長身のイランドはワンツーを振り抜き、トートゥも被弾上等のフルスイングフックをぶん回します。

イランドは首相撲で固めようともしますが、トートゥは振り切ってひたすら強振を連打。

イランドも負けじとフック&チョップを振り回し、顔面が赤く染まる根性比べとなっていきます。

オーバーハンドフックを当ててインパクトを残し、優勢に試合を進めていくトートゥ。

2ラウンドには徐々に両者に消耗が見え始めます。

トートゥが裏拳などで奇襲をしかけるも、動きが少なくなると体格に勝るイランドが圧力で勝ちます。

トートゥも負けずにローで攻めるも、イランドの強烈な右フックを受けて後退。

オーバーハンドも被弾覚悟のドツキ合いでトートゥを下がらせたイランドが首相撲から膝蹴り!

そこから続けてフックもヒットさせたイランドがラウンドを取り返します。

勝負の分かれ目の3ラウンド。顔を真っ赤に染めながらもひたすら打ち合い狙い続ける両者!

互いに消耗が激しく動きが減ったものの、体格で首相撲に持ち込み膝蹴りをかち上げるイランド。

ミドルやボディフックで腹を攻めていくトートゥ。ギリギリの絞り出し合いが続きます。

試合を分けたのは中盤。

トートゥのオーバーハンドを被弾し動きの止まったイランドに、裏拳&フックで攻めたてるトートゥ。

イランドももつれつつTDを成功させますが、最後の力を絞り出したトートゥはリバーサル。

これで流れを掴んだトートゥが、組んでくるイランドの最後の反撃をしのぎ切りました。

激闘の判定はスプリット(2-1)で、トートゥが大血戦に競り勝ちました!

グレートファイト!!!

 

<☆ウェルター級 5分3ラウンド>

ライアン・バリー vs. ウィリアム・ナモア

Ryan Barry vs. William "Tongan Ninja" Namoa

バリーはじりじりと距離を詰めると、ローキックで突き放しつつワンツーを当てていきます。

ナモアも隙を狙って一気にステップインし、豪快にオーバーハンドフックを振り抜いて一撃を狙います。

バリーは細かいステップからスイッチする等、ナモアの的を絞らせないよう動いていきます。

ナモアも前蹴り等を放ちつつ、懐に飛び込み顎に向かって強振を何度も放ちます。

1ラウンド終盤、ナモアのオーバーハンドが遂にヒット!

下がるバリーの蹴りを掴み、シングルレッグからTDしたナモアがパウンドで試合を優勢に進めます。

2ラウンドはアンダーフックに組んだナモアが外刈りを狙うも、これを躱し逆にケージに詰めるバリー。

ケージ際で膝蹴りを打ち込むバリーですが、ナモアはウィザーで耐えると腕を抜いて中央へ脱出。

間髪入れずにナモアがダッキングからオーバーハンド&フック&フックのワンツー・スリー!!

二発目をモロに顎に受けたバリーは、完全失神で大の字にダウン!

MMAでは珍しいトンガ人の空手ストライカー、ナモアが豪快なフックの一撃でKOしました!

ちなみにナモアのミドルネームは「トンガン・ニンジャ (Tongan Ninja / トンガ人の忍者)」

なぜ忍者なのか、とても気になります!(笑)

 

<☆フライ級 5分3ラウンド>

ヘイダル・ダラス vs. ジョーダン・オコナー

Hayder Darus vs. Jordan "Kingpin" O’Connor

プロMMAデビュー初戦のオコナーがヘッドスリップで近づき、一気に踏み込みジャブ&フック!

バランスを崩して後ろにダウンしたダラスのダブルレッグを50/50から横に投げ飛ばし、オコナーは顔を下げて動揺するダラスにフック&顔面への膝蹴りを打ち込み再びダウンさせます。

うずくまるダラスにパウンドの雨を降らせたオコナーが秒殺TKO勝ちで白星デビューしました!

実況の「Welcome to HEX!(HEXへようこそ!)」というコメントが、オコナーと共にわたしたち観客にも向けられた台詞となりましたね~b