COVID-19の感染拡大を受けて世界中のMMA団体が活動を縮小しているなか、ベラルーシは「M-1 Global」等のMMA大会が3〜5月にかけて平時と変わらずに開催され続けています。(無観客試合の配慮はされています)
これはベラルーシのMMA団体が特別というわけではなく、ベラルーシ政府は全てのスポーツ団体の活動制限を基本的に行わない方針を打ち出しています。
そのような情勢のベラルーシから、MMAとK-1ルールの試合を開催する格闘団体『Belarusian FC(ベラルーシャン・ファイト・チャンピオンシップ)』が4月に開催した「Belarusian FC 51」と5月に開催した「Belarusian FC 52」の試合をYouTubeで公開しました。
今回は世界的なパンデミックのなかで「MMA特異点」ともいえる平時開催を続けるベラルーシMMAから、気になる試合をピックアップしていきたいと思います!
目次
『Belarusian FC 51』
本大会では若手選手たちの真っ向勝負が多く、試合内容も一方的な展開の短期決着が多かったですね~。
そんななかでオススメはこちらの2試合です!
Belarusian FCフェザー級 5分3ラウンド戦
アルテム・バチュン vs.
ヤロスラフ・シノヴェツ
21歳の新鋭バチュンがエゼキエル・チョーク(スリーブ・チョーク)を見事に極めた試合です!
エゼキエル・チョークはオレクシー・オレイニクさんがUFCで披露した事でじわじわとMMAで人気が広がっている技です。
この試合はバチュンが二度テイクダウンを奪ったシフティングからの小外掛けも注目ポイントですね。(動画の5:39と10:35くらいで観れます)
右脚→左脚と二度踏み込んで構えをシフトさせ、前に出した右脚で小外に刈るという技です。MMAでもかなり観られる動きで、スマートに距離を詰められるカッコよさが好きです!
Belarusian FCフライ級 5分3ラウンド戦
ジャホンディル・ママディヤロフ vs.
イーゴリ・モルチャノフ
こちらの試合は21歳のモルチャノフがハイキック一撃で秒殺KO勝ちを決めました!
右脚で大きく踏み込んで左脚を振りかぶり、ママディヤロフがミドルを警戒したところに左ハイキックを放っています。
昔からベラルーシのMMA選手は蹴りの名手が多いのですが、モルチャノフも素晴らしい蹴りの切れ味を感じる選手ですね~。活躍して欲しいです!
『Belarusian FC 52』
メインイベントはBFC 初代ミドル級王者デニス・マゲルが王座防衛戦に挑み、エフゲニー・ヴォローナを強烈な右フックで粉砕して防衛に成功しました。
フィニッシュ続きだった本大会からも、2試合をピックアップします!
Belarusian FCフェザー級 5分3ラウンド戦
弱冠18歳の2人による対戦は、シメニュクがマウントポジションから辛抱強くアームバー(腕十字)を仕掛けて見事に一本勝ちしました!
ベリーダウン・アームバー(裏十字)から入り、引っ繰り返してスパイダー・ウェブの状態で極める流れはパーフェクトでした…!(一番好きなパターンです)
シメニュクはギロチンの状態で押さえ込まれた時にスイープで切り返し、ヴォンフルー・チョークで反撃したのも素晴らしかったです。短いながら濃厚な寝技戦でした!
Belarusian FCミドル級 5分3ラウンド戦
ヴァディム・ロリッチ vs.
ドミトリー・マトラン
2大会を通して最も熱かったグレーテスト・ファイトがこの一戦です!
20歳のマトランは果敢にスープレックスや谷落としでテイクダウンを狙っていて、デビュー戦とは思えない攻め方は素晴らしかったですね~!
そのマトランの投げを切り返したのが22歳のロリッチで、こちらもプロ2戦目とは思えない打撃のキレを魅せてくれました。
ロリッチは電光石火の右ローキック連打でマトランの動きを止めると、左フックでダウンを奪いKO勝ち!プロ初勝利を挙げました!
ロリッチがダウンを奪った左フックはキャスティング・パンチ(投げ釣りパンチ)と呼ばれ、東スラブ選手に特有のパンチとして知られています。
肩から8の字を描くような軌道で放たれるのが特徴で、手の甲側を向けて相手の首や側頭部を打ち抜く強烈な一撃です。
先述の王者マゲルがダウンを奪った右フックもキャスティング・パンチです。腰を落としたまま放たれる為、テイクダウンに強い特性もある攻防一体のパンチです。
日本でもイーゴリ・ボブチャンチンが得意としたロシアン・フックという名前で知られていますね。東スラブ選手の代名詞ともいえるパンチです!
雑感
というわけで、MMA特異点となっているベラルーシから「Belarusian FC」のレビューでした!
COVID-19の中で平時のまま進むベラルーシはかなり特異な事例ですが、UFCをはじめ、少しずつ開催されるMMA団体も増えてきているな~と感じます。
大切なのは開催された後の経過観察であり、それをどう社会へと示していくのか。
諸々のMMA団体が真の意味で試されるのは、その時であると感じます。
しかしベラルーシの選手はカッコいいな~!
この記事でも、ベラルーシの選手や東スラブのMMAについて紹介しています。