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ミックスドマーシャルアーツ(MMA)という格闘スポーツについて、コラムや試合レビューを書いています。

~UFCにおける「日本MMAの歩み」~『日本人MMA選手のUFC全試合レコード統計』および『お気に入りオススメ試合』を紹介!【2022年9月19日版】

 

UFCで闘った日本MMA選手の試合数は、2022年9月現在で264試合にもなります!

今回はUFCにおける日本MMA選手の全試合レコード統計(私調べ)を踏まえた、UFCにおける日本MMA選手の長い歴史の歩みの振り返りとなっておりますノシ

UFCにおける日本MMA選手のオススメ試合も紹介していますので、読んでみて&観てみてくれると嬉しいです✨

 

リョート・マチダ*1、スコット・ジョーゲンセン*2、ダレン・ウエノヤマ*3エンセン井上*4等の日本人のルーツを持つ海外選手につきましては、今回の統計には含んでおりません(´;ω;`)スミマセン

 

 

#1 UFCにおける日本MMA選手の全試合レコード統計

 

試合数:264試合

勝利 :98試合 (22KO/TKO勝ち 17SUB(一本)勝ち 59判定勝ち)

敗戦 :161試合49KO/TKO負け 29SUB(一本)負け 83判定負け)

その他:引き分け

    無効試合

 

UFCで日本MMA選手は98勝…つまり100勝まであと2勝ですね~!

 

UFCで日本の選手は判定が多い」というイメージがなんとな~くある?ような気がしていましたが、実際は勝ちと負けの判定比率はそこまで変わらなかったです。

勝ちと負け、どちらもフィニッシュ率と判定率は50:50くらいなのは特に面白い結果でした!

どうして判定のイメージが強いのかといえば、現状ランキング戦やそれに連なる格上の選手との試合には負けてしまっていることが多いから、なのかもしれませんね~💦

 

全体的には60試合ほど負け越してしまっており、最高峰UFCの厳しさを痛感しますね~💦

ランキング戦で格上の選手に競り勝つ姿は、ぜひ観たいですね~(悲願)

大きな節目となるUFC100勝を目指して、これからも頑張っていって欲しいです✨👑✨

 

#2 UFCにおける日本MMA選手のUFCランキング認定者たち

 

UFC公式ランキングは、2013年2月から認定及び更新されています。

UFC公式ランキングにランクインした日本MMA選手は、以下の6名です。

 

岡見勇信(おかみ ゆうしん) UFCミドル級  3位(2013年3月)

堀口恭司(ほりぐち きょうじ)UFCフライ級  3位(2016年11月)

水垣偉弥(みずがき たけや) UFCバンタム級 5位(2014年9月)

川尻達也(かわじり たつや) UFCフェザー級12位(2014年3月)

佐々木憂流迦(ささき うるか)UFCフライ級 13位(2018年11月)

金原正徳(かねはら まさのり)UFCバンタム級15位(2014年9月)

 

各選手に併記した順位は、UFC公式ランキングにおける最高順位になります。

日本MMA選手のUFC公式ランキング最高順位は、現在3位となっています!

 

👑UFCチャンピオンになった日本MMA選手はまだいないのですが、

UFC公式ランキング1位2位になった日本MMA選手も、実はまだいないんですね。

 

UFC公式ランキングが認定される以前に王座に挑戦した岡見勇信宇野薫(うの かおる)、またコンテンダーの位置にいた高阪剛(こうさか つよし)日沖発(ひおき はつ)など、当時にUFC公式ランキングが認定されていればランクインしていたかもしれない選手もいます。

 

いずれにせよ、UFC公式ランキング入りを目指すこと、また王座の戴冠と1位&2位へのランクインを目指すことが、現在の日本UFC選手にとっての目標となります🔥

 

#3 UFCにおける日本MMA選手のカテゴリー別「勝利数ランキング」

 

👑勝利数ランキング

1位 岡見勇信(おかみ ゆうしん)   14勝

2位 水垣偉弥(みずがき たけや)    8勝

3位 堀口恭司(ほりぐち きょうじ)   7勝

4位 五味隆典(ごみ たかのり)     4勝

   佐々木憂流迦(ささき うるか)

   中村K太郎(なかむら けいたろう)

5位 石原暉仁(いしはら てると)    3勝

   宇野薫(うの かおる)

   川尻達也(かわじり たつや)

   国本起一(くにもと きいち)

   高阪剛(こうさか つよし)

   日沖発(ひおき はつ)

 

勝利数ランキングでは、岡見がダントツの1位!!

2位&3位もトップランカー経験のある水垣&堀口がランクイン。

納得のトップ3が貫禄のランクインを果たしました✨

 

4位には3名が同着。

憂流迦は2階級で踏ん張りを魅せてのランクイン。

五味はレジェンド選手として粘り勝ち、K太郎も再チャレンジで勝利を獲得しました。

 

5位には6名が同着。

ランカーの川尻、王座に2度挑戦した宇野がランクイン。

ヘビー級の雄であった高阪、フェザー級で高い評価を得た日沖も3勝しています。

石原"夜叉坊"や国本"ストラッサー"も、UFCで踏ん張りを魅せた結果のランクインですね!

 

👑KO/TKO勝ち数ランキング

1位 岡見勇信(おかみ ゆうしん)   5KO/TKO勝ち

2位 石原暉仁(いしはら てると)   2KO/TKO勝ち

   五味隆典(ごみ たかのり)

   佐藤天(さとう たかし)

   堀口恭司(ほりぐち きょうじ)

3位 安西信昌(あんざい しんしょう) 1KO/TKO勝ち

   宇野薫(うの かおる)

   高阪剛(こうさか つよし)

   近藤有己(こんどう ゆうき)

   田村一聖(たむら いっせい)

   中尾受太郎(なかお じゅたろう)

   藤井克久(ふじい かつひさ)

   水垣偉弥(みずがき たけや)

   美濃輪育久(みのわ いくひさ)

 

KO/TKO勝ち数ランキングも、岡見が貫禄の1位!!

岡見は絨毯爆撃のパウンドKOは勿論、左ストレートでダウンを奪った試合も印象的です。

 

2位には4名が同着。

石原"夜叉坊"、五味、佐藤天、堀口。強烈なハードパンチャーがズラリと並びました!

夜叉坊はカウンターの左クロス、佐藤天は追い込んでの左ストレート。

五味は右オーバーハンドの撫で斬り、堀口はカウンターの左フック&パウンド。

ハードパンチャーの中でも、個性が出ているのは面白いですね~✨

 

3位には9名が同着。

ランカーの水垣がコンビネーションで倒したKO勝ちでランクイン。

近藤は膝蹴り、田村は右オーバーハンド、中尾は左クロスで一撃KO勝ちを魅せました!

美濃輪は右ハイを決めて流血KO勝ち、宇野と高阪はパウンドでのTKO勝ちです。

藤井も右クロスからパンチの連打で日本トーナメント準決勝に勝利しています。

安西は相手の指の骨折によるTKO勝ちですが、試合の流れの中での勝利であると感じますb

 

👑SUB(一本)勝ち数ランキング

1位 佐々木憂流迦(ささき うるか)  4SUB勝ち

2位 須藤元気(すどう げんき)    2SUB勝ち

   中村K太郎(なかむら けいたろう)

   吉田善行(よしだ よしゆき)  

3位 川尻達也(かわじり たつや)   1SUB勝ち

   菊田早苗(きくた さなえ)

   菊野克紀(きくの かつのり)

   国本起一(くにもと きいち)

   郷野聡寛(ごうの あきひろ)

   桜庭和志(さくらば かずし)

   山本喧一(やまもと けんいち)

 

SUB(一本)勝ち数ランキングでは、ランカー経験者の憂流迦が1位!

憂流迦はUFCでの4勝すべてが、マウント&バックから裸絞めによる一本勝ち。

長身を活かしたフィニッシュを何度も極めて、寝技師として強い存在感を魅せました!

 

2位には3名が同着。

須藤はスピードと変則の動きで翻弄し、裸絞めと三角絞めで一本勝ち。

K太郎は「裸絞め十段」の異名通り、一瞬を逃さない必殺の裸絞めで一本勝ち。

吉田は長身を活かした引き摺り込みから、アナコンダ&ギロチンチョークで一本勝ち。

それぞれグラップラー達が、個性的な持ち味を発揮してフィニッシュしています!

 

3位は7名が同着。

川尻、菊野、国本"ストラッサー"の3名が、裸絞めで一本勝ち。

菊田、郷野、桜庭の3名は、アームバー(腕十字)で一本勝ち。

山本はニーバー(膝十字)で一本勝ち。

桜庭と山本は、それぞれ1日トーナメントを見事な一本勝ちで優勝しています!

しっかりと導線が繋がった一本勝ちばかりで、どのフィニッシュも印象的ですね~😊

 

#4 UFCにおける日本MMA選手 「お気に入りオススメ名試合10選」を紹介!

UFCにおける日本MMA選手の熱い264試合の中から、お気に入りの10試合をチョイスして紹介ます~ノシ

UFCの歴史も長く、どの試合から観るのか迷う人も多いと思います。

このオススメが日本MMA選手の試合を観る一助になってくれれば嬉しいです😊

 

#1 ダン・ハーディー vs. 郷野聡寛(2008年10月18日)
 
 
 
 
 
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UFC 89』イングランド大会にて、ハーディーと郷野の一戦です。

郷野聡寛(ごうの あきひろ)は34歳。

MMA選手として円熟期な郷野が、アウェイの舞台で奮闘した素晴らしい動きが印象的な一戦です!

ハーディーが強いフレームを活かした右クロス&ティープの強打で圧力をかけ、郷野はダッキング&ウィービングと出入りの速さを駆使した速射で迎撃します。

この試合の郷野は殆ど体幹が上下にブレず、ハーディーが入ってきた所を上体を動かして回避、立ち上がり際に左リードフックを打ち込む滑らかな反撃を魅せています。

自身もフェイントを交えて滑らかにスライドして右ストレート、一瞬のスイッチから左リードフックに繋げる等、現在のMMA打撃でも非常に重要な「摺り足の踏み込み」や「チェンジアングル(角度を変えて対角から攻める)」が奇麗に出来ているのにも目を引きます。

また、ハーディーが右クロスを打ち込んで来た瞬間、レベルチェンジして鯖折りに組み付きTDを奪うのも、MMAの「打投の連携」においてハーディーのムエタイスタイルに効果的に刺さっていると感じますね~!

伝説の名キックボクサー、藤原敏男が魅せた対角コンビネーション&鯖折りTDを彷彿とさせるヒット&アウェイの攻めで、この一戦の郷野は日本MMAにおいて今でも色褪せない高度なMMAストライキングを魅せてくれていますね~✨

ハーディーもUFC初参戦のプレッシャーを跳ねのける強烈な膝蹴り&パンチの攻めを見せており、両者の打撃が交錯するレベルの高い一戦となりました。

この試合の良い所は、2人ともきっちりフェイントの後に攻撃まで繋げていることでもあります。フェイントは「威嚇」では無く、次の攻撃へと到達するための「導線」ですので、そういう意味でもきっちり導線を引いた攻撃の応酬が観られる試合としてオススメです!

郷野は残念ながらスプリット判定負けで、反則の膝蹴りも打ってしまい無念の結果ではありましたが、現在の日本MMAでも観られない滑らかで完成度の高い熟練の打撃を魅せており、UFCの中でも日本MMAにとって重要な名勝負であろうと思います!

 

#2 岡見勇信 vs. ルシオ・リニャーリス(2010年3月31日)
 
 
 
 
 
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UFC Fight Night 21』シャーロット大会にて、岡見とリニャーリスの一戦です。

岡見勇信(おかみ ゆうしん)は28歳、UFCミドル級で10回目の試合でした。

岡見の心気体が充実したUFCでも最盛期の頃の試合です。岡見は優れたTD&パウンドの使い手として知られていますが、UFCミドル級で勝利を重ねてコンテンダーにのし上がった時期では、長身とフレームの長さを活かした長距離打撃の強さにも目を見張るものがあります。

この試合では、岡見が特に打撃戦で猛威を振るっており、組み技と融合した「MMAの打撃」としての強さが良く分かります。

岡見は重心を据えた構えのまま「摺り足」で移動し、後ろにサークリングしてリニャーリスが追ってきた所にボディへ膝蹴りを突き刺します。次いでVサイドへ摺り足で踏み込み死角を取ると、右リードフック&左ストレートを炸裂。グロッキー状態のリニャーリスを金網に詰めた所で、アングルを変えた突き上げの右ジャブからワンツーを完璧に決めてダウンを奪いました。

岡見は顔面へのパンチを受ける時「目を瞑ってしまう」という弱点を抱えていましたが、フレームの長さと上記の摺り足を活かしたチェンジアングルによって、UFCミドル級でも通用する長距離砲を編み出すに至りました。膝蹴りという縦軌道のカウンターも備え、リニャーリス戦では長距離からの集中砲火を一方的に浴びせて勝利しました。

岡見は組みの強さを活かして「摺り足から長距離の強打」という打撃スタイルをMMAにおいて確立させ、UFCミドル級でもトップクラスの長身とも相まって数々の勝利を収めました。UFCで強さを確立していった若き頃の岡見の強さも、是非とも観て欲しいですね~✨

 

#3 水垣偉弥 vs. フランシスコ・リヴェラ(2014年5月24日)
 
 
 
 
 
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UFC 173』ラスベガス大会にて、水垣とリヴェラの一戦です。

水垣偉弥(みずがき たけや)は30歳。UFCバンタム級ランキング6位を獲り、同級10位のリヴェラとランカー対決に臨みました。

水垣はUFCに出場した日本MMA選手の中でも、最もニュートラルでお手本にしたいバランスの良い身体運びの選手です。腰をしっかりと据えた体幹の良さに加えて、背骨の「芯」が取れて柔らかく、竹のように「しなり」のある動きが出来る選手でした。

水垣はその優れた体躯を活かしたボクシングスタイルを持っており、岡見の「摺り足」とは対照的に「踏み足」で体幹を移動させてパンチに乗せていく王道のインファイトスタイルの持ち主でした。

UFCでも水垣ほどパンチの距離での「撃ち合い」で競り勝った日本MMA選手は他にいないでしょう。水垣は左前足の「ドロップステップ」を踏み出し軸を作り、右奥足の「トリガーステップ」を蹴り込み右クロスを撃ち込みます。水垣はその際に上半身を十分に左側へしならせ、上半身が戻ってきた反動を活かした左リードフックへと繋げるコンビネーションを得意とします。

水垣の最も身体が柔らかく動いていたのはブライアン・キャラウェイ戦の頃であったと思いますが、この試合では逆に上記のコンビネーションをよりコンパクトに、より攻撃力を高める方向にシフトしていたと感じます。リヴェラの強打に怯むことなく左リードフックを返し、追撃の右クロスで2度のダウンを奪ったこの試合は、水垣のキャリア円熟期の強さを感じさせてくれる一戦です。

インファイトで打ち勝つには、上半身の「しなり」とパワーを伝える正確な「踏み足」、そしてヒットの瞬間まで相手を見続けられる「閉じない目」が大まかに求められると感じます。水垣はその3つの要素を持ち合わせ、世界の強打者たちと真っ向勝負を繰り広げた名選手でした!!ここでは書き足りない程に、熱い試合がたくさんありますね~✨

 

#4  カイル・ノーク vs. 中村K太郎(2016年7月13日)
 
 
 
 
 
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UFC Fight Night 91』スーフォールズ大会にて、K太郎とノークの一戦です。

中村K太郎(なかむら けいたろう)、本名中村圭太(なかむら けいた)は32歳。

22歳でUFCデビューするも3連敗で契約解除となり、31歳のときにUFCと再契約して念願の勝利を得たK太郎。この試合は再挑戦から1勝1敗で迎えた3試合目でした。

K太郎は「摺り足」から放つ左ストレートや左ハイキックが打撃戦の武器であり、また「裸絞め十段」の異名をとる必殺クラスの極め力を持つ裸絞めが最大の得意技です。

K太郎といえば再挑戦初戦のリー・ジンリャン戦が一番有名ですが、このノーク戦はK太郎の上記の持ち味の良さが一番発揮された試合であると感じます!

K太郎のみならず、日本MMA選手に多く観られてしまう弱点が「序盤の動きが固く、体幹が浮いてしまう」ということです。この試合でも、K太郎は1ラウンドの時点では動きが固めで、パンチの連打で追う際には摺り足が浮いてしまい、その為にノークのダブルレッグTDに捕まってしまうシーンが観られます。

一方、2ラウンドではやや疲労した影響か良い感じに固さが抜けており、パンチ連打の際も摺り足のまま重心を低くして追うことが出来ています。この傾向は相手に序盤で先制されると非常にキツイ展開になるのですが、今回の試合においてはノークが2ラウンドにやや体力が落ちてきてしまっていた為に、良い方向に向かったと感じます。

2ラウンド終盤、K太郎は左ストレートのフェイントから摺り足でノークの右側を取る「チェンジアングル」を成功させると、シフトパンチの連打で一気に詰めて右フックを炸裂!続く首相撲からの膝蹴りでダウンを獲ります。この一連の追い込みはとてもスムーズで見事ですね~✨

K太郎はダウンしたノークのサイドに回ると、マウントを獲ってパウンドの雨を降らせます。ノークが背を向けた所で左腕を巻き込み、裸絞めで首を捕えて見事な一本勝ちを獲りました!!!ストップの瞬間に2ラウンド終了のブザーが鳴り、まさに「ブザービート」の鮮烈な一本勝ちで「裸絞め十段」が真骨頂を魅せました!

K太郎は若くしてUFCに挑戦するも勝利を掴めず、しかし再挑戦で不屈の闘いを魅せて勝利を手にした選手です。MMAというスポーツの急速な進化のなか、ランキングに入ることは叶いませんでしたが、UFCに諦めない挑戦の末に確かな足跡を刻んだK太郎の奮闘は、今後も若き日本MMA選手たちの道標になってくれるであろうと感じます!

 

#6 堀口恭司 vs. チコ・ケイマス(2015年9月27日)
 
 
 
 
 
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UFC Fight Night 75』日本大会にて、堀口とケイマスの一戦です。

堀口恭司(ほりぐち きょうじ)は24歳。UFCフライ級ランキング7位を獲り、同級13位のケイマスをホームで迎え撃つランキング戦に挑みました!

堀口は松濤館空手をベースとしますが、パンチの撃ち方はワンツーやダッキングからのフック等、ボクシングの要素もかなり強いと思います。リョート・マチダやスティーブン・トンプソン等の空手ベースの選手と比較しても、かなり堀口のパンチはボクシングの色が濃いです。

にも拘わらず、堀口に空手のイメージが強いのは、「膝抜き」を起点として軸足の「トリガーステップ」と奥足の「ドロップステップ」を瞬間的に同時に行っているから、つまりパンチの打ち方はボクシングでも運足に空手の要素が強くみられるから…ロバート・ウィテカーのように「混ざって」いるからです。まさに堀口というMMAのオリジナルの強さであると感じますね~!

この試合では、ケイマスが堀口の遠巻きからの強打をダッキングを駆使して回避し、反撃により堀口にフックを打ち込み肉薄した打撃戦が展開されました。その上で、堀口が様々な攻撃を駆使してケイマスを攻略していくという、UFCにおいて堀口の打撃の魅力が最もよく観られる試合であると感じます!

2ラウンドに堀口が右フックを側頭部に掠らせ、グラついたケイマスを追い込むシーンは圧巻の一言。素早くサイドへ飛び「チェンジアングル」を成功させると、下がるケイマスに右ストレートの長距離砲を炸裂させて、一気に試合の流れを引き寄せることに成功しました。

堀口のパンチはボクシングの要素が強いと前述しましたが、このケイマスを追い詰める決定打のパンチは空手の「逆突き」の色が濃いと感じます。左前足を大きく「漕いで」から右奥足の摺り足で踏み込み、右足を前に擦って移動させながら、重心を右拳に載せて打ち抜いています。その際に左手の引き手によって突きの威力を高めており、次いで摺り足のシフティングによりパンチの連打を叩き込む様にも圧倒されますね~💦

堀口はボクシングと空手のパンチを「滑らかに融合させる」ことで、双方の弱点を補い合い長所を強く引き出す選手であると感じます。総力戦となったバガウティノフ戦も大好きですが、純打撃戦となったケイマス戦も、UFC時代の堀口の魅力を知る上でオススメの一戦です✨🥋✨

 

#7 ハキーム・ダワドゥ vs. 堀江圭功(2019年7月27日)
 
 
 
 
 
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UFC 240』カナダ大会にて、ダワドゥと堀江の一戦です。

堀江圭功(ほりえ よしのり)は24歳。

3週間前オファーでのUFCデビュー戦、更にアウェイの舞台に赴くというハードな条件のなか、プレッシャーを跳ねのけた素晴らしい闘いを魅せてくれました!

堀江はUFCに参戦した日本MMA選手の中でも、試合運びが特に印象深かった選手です。

腰の据わった安定した体幹の強さに、可動域の広いリラックスした肩回り、何よりハードな条件下でも全く物怖じせず1ラウンドからベストな動きが出来るコンディションの良さに目を惹かれましたね~。

堀江は1ラウンドからフットワークを駆使して動き回り、ダワドゥがパンチの距離に近づこうと寄った瞬間に右クロスを叩き込んでダウンを奪います。

更に左リードパンチやレベルチェンジしてのダブルレッグTD等、踏み込みの強さを活かした突貫力を存分にぶつけて、序盤の試合を掌握したところが非常に良かったですね~!

尤も1ラウンドからフットワークを使い過ぎた為か後半にはガス欠してしまい、更にパンチが単発になってダワドゥに読まれ始めてしまったことで徐々に劣勢に。

3ラウンドには遂にハキーム・ダワドゥがボディへの強烈な膝蹴りを刺して堀江の動きを止めると、最後は左ハイキックでダウンさせたダワドゥが劣勢を跳ね除けた大逆転KO勝ちを魅せました!

この試合、日本MMA選手が陥ってしまいがちな「序盤の固さ」を全く見せずに強烈な一撃で先制した堀江の強さが魅力で、同時に劣勢でも自分のスタイルを見失わなわず、徐々に巻き返し遂には逆転したダワドゥの地力の強さにも感服しましたね~✨

堀江はUFCで成長が観たかったですし、1試合での契約解除は本当に残念でしたね~(´;ω;`)堀江のUFC再挑戦は是非とも期待したいです!!!

 

#8 ケニー・フロリアン vs. 三島☆ド根性ノ助(2007年4月5日)
 
 
 
 
 
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UFC Fight Night 9』ラスベガス大会にて、ケンフロと三島の一戦です。

三島☆ド根性ノ助(みしま どこんじょうのすけ)、本名三島睦智(みしま よしとみ)は34歳。

この試合は、UFCライト級王座に挑戦したケンフロという「格上」に対して、三島が最後まで食らい突き続けて牙を突き立てた名試合です。

三島はボディロックから小外で崩しきって先制TDを奪うも、ケンフロのバタフライ&ラバーガードに阻まれリバーサルを許してしまいます。ケンフロは強烈なパウンドで三島を追い詰め、三島の反撃の外ヒールも足首をコントロールして防ぎ切ります。

この試合、三島はケンフロの安定した組技&クローズドガードからでも射抜いてくるパウンドに終始劣勢を強いられ、時にはKO寸前まで追い詰められるシーンもありました。

しかし、三島はハーフガードからアンダーフックに引き寄せてジッと耐えてケンフロに攻めあぐねさせるなど、決して勝負を捨てずに勝機を待ち続けました。

そして、3ラウンドの終盤に遂に好機が訪れます。

三島は外ヒールを狙い、これは不十分で抜けるも足首を掴みながら奥脚の膝裏をロック、ケンフロは脱出しようとするもバランスを崩され倒されます。

三島はここからケンフロの左腿と股関節をロックし、更にケンフロの両足首をクロスホールド、そこからニーバー(膝十字)に以降して極めていきます!三島が耐え続けた末に、「格上」ケンフロに牙を突き立てた瞬間でした。

このニーバーはかなり深く入っていたと思いますし、ケンフロは思わずタップをしかかりました。しかし、「自分のミスでタップをしないと決めていた。」というケンフロは必死に耐え続けます。

結果として、ケンフロは膝を内出血させながらも三島の反撃を耐え切り、パウンド&裸絞めで逆襲して一本勝ち。三島にアップセットを許さずトップ選手の強さを見せつけて激勝しました!

UFCにおいて、日本MMA選手の最大の試練は「逆境の中で格上や同格に競り勝つこと」です。

UFCでランキングに入り王座を狙う上で、自分の有利になる試合ばかりをプロモーションに組んで貰えるわけではありません。

むしろ自分が不利になる逆境を、知恵と技を駆使して乗り越えなければならない試合が必ずあります。UFCの頂点を目指す以上、それは避けれない試練です。

そんな中で、逆境のなかで決して勝負を捨てず、僅かな勝機を求めて耐え続け、遂にはあと一歩届かないながらも牙を突き立ててみせた三島のこの試合は、とても熱い気持ちにさせてくれる名試合であったと思います!😭

 

#9 ジョナサン・グーレ vs. 弘中邦佳(2008年4月19日)

 

UFC 83』カナダ大会にて、グーレと弘中の一戦です。

弘中邦佳(ひろなか くによし)は31歳。

UFC1勝2敗で迎えたアウェイの舞台というハードな逆境の中で、弘中が全身全霊の熱い激闘を魅せてくれました!

弘中は優れた体幹と肩周りの広い可動によるボクシングを得意とする選手で、この試合でもグーレと互いに消耗し合うパンチの真っ向勝負に臨みます。

弘中は左ジャブを刺すなどして攻めますが、グーレの力強いパンチを被弾し、更にダブルレッグTDを切られて劣勢に陥ります。しかし、弘中は1ラウンド終了1分前程にカウンターの左チェックフックを炸裂させ、ダウンからパウンドの雨を降らせて形勢を逆転します!

形成を逆転した弘中は、2ラウンドにも再び左チェックフックを打ち込み再びグーレをグラつかせます。しかし、弘中の消耗も激しく動きが落ちたところで、グーレは右スーパーマンパンチを打ち込みます。グーレは更に左リードフックから繋げた右ストレートを炸裂させ、ダウンした弘中をパンチ連打で追い詰め逆転KO勝ちしました!

弘中の左チェックフックは本当にシャープな斬れ味で、UFCでの日本MMA選手の中でも鮮やかな着弾を魅せてくれましたね~。

弘中のスタイルはUFCに合っていたと思いますし、もうちょっと活躍する姿を観たかったですね~💦グーレ戦は両者が互いに消耗し合う熱い競り合いが見事でした!

 

#10 山宮恵一郎 vs.ユージーン・ジャクソン(1999年11月14日)

 

UFC 23』日本大会にて、山宮とジャクソンの一戦です。

山宮恵一郎(やまみや けいいちろう)は27歳。この試合で「KEI山宮」とニックネームを変更してUFCに初挑戦しました。

MMA統一ルールが作成される以前であった1999年、山宮はパンクラスでVTルールの試合を経験すると、UFCでもド正面からパンチの撃ち合いに挑みました!

試合は山宮が左構え、ジャクソンが右構えの鏡合わせで対峙。山宮は下からオーバーハンドを振るい、ジャクソンは上から右ストレートを打ち下ろすという攻め方がハッキリと分かれた打撃戦になりました。

パワーに溢れたジャクソンの凶弾をスウェーでスレスレ回避し、左オーバーハンドを鞭のようにしならせて叩き込む山宮。お互いにあと一歩の距離が届き切らないまま強打が空を切り裂き合うヒリヒリしたフルスイングパンチの応酬が展開されます。

勝負が動いたのは2ラウンド、ジャクソンが右ローキックから左構えに一瞬スイッチ、その完成を活かした右フックが顔面に炸裂し、山宮は徐々に劣勢を余儀なくされます。

山宮はTDも狙いながら果敢に攻め続け、口から「何か」を投げ捨て(一説には折れた歯やマウスピースであるとか…)、それでも真っ向勝負を挑んでいきました。

最後は山宮の左オーバーハンドにジャクソンが左チェックフックを合わせて相打ち、カウンターのダメージを負った山宮がダウンしてジャクソンが激闘に勝利しました。

UFCにおいて、正面切ってのフルスイングパンチの撃ち合いを日本MMA選手が挑むことは殆どありませんが、山宮は自身の左オーバーハンドを武器に鉄火場に飛び込みました。まだ対戦相手の情報を得ることも難しい時代だからこその激闘であったのかもしれません。強く記憶に残るオススメの名試合ですね~🔥

 

#5 おわりに

まず、264試合から10試合にオススメを絞るというのが難しかったですね…

どの試合も何回も観返していますし、泣く泣く今回は減らしてしまった試合もあったり…

10選に入れられなかった試合もいつか紹介したいですね~(´TωT`)

いずれにせよ、UFCファイトパス等で日本MMA選手がUFCで頑張ってきた歴史をしっかりと観返すことができるのは、本当に嬉しいですね~🥰

 

今回は簡潔にデータをまとめてみました。もうすぐ日本MMA選手のUFCレコードが100勝に手が届きかかっているというのは、調べていて本当に嬉しいニュースでしたね〜!

現在のUFCで活躍しているのは、以下の5名の日本MMA選手たち。

佐藤天(さとう たかし)

魅津希(みずき) 本名:井上瑞樹(いのうえ みずき)

村田夏南子(むらた かなこ)

平良達郎(たいら たつろう)

木下憂朔(きのした ゆうさく)

 

日本MMA選手たちが積み上げてきた闘いの歴史に、UFC現世代の選手の皆さんが更なる熱い1ページを加えていってくれることを、大いに期待しています!!👍🏻✨

そして、新たにUFCへ挑戦する新鋭たちや、UFC再挑戦を狙うベテラン選手たちも、その勇姿を観る時を心待ちにしています✨😊✨

 

*1:リョート・マチダはハーフで、日本人の血統を持ちます。

*2:スコット・ジョーゲンセンはハーフで、日本人の血統を持ちます。

*3:ダレン・ウエノヤマは日系ハワイアン三世です。

*4:エンセン井上は日系ハワイアン四世です。