MMAを彩る🎧入場曲(ウォークアウトソング)について語るシリーズ。
第4弾はシリーズ初の日本人MMA選手、🥋「ネオ柔道」小見川道大(オミガワ・ミチヒロ)が2009年頃、日本MMAフェザー級トップコンテンダーの時代に使用した入場曲です!
#4 小見川道大(オミガワ・ミチヒロ)
『Perfect Drug(パーフェクト・ドラッグ)』
『Perfect Drug(パーフェクト・ドラッグ)』はトレント・レズナー率いる「Nine Inch Nails(ナイン・インチ・ネイルズ)」から1997年にリリースされました。
本作は芸術家デヴィッド・リンチの映画『Lost Highway(ロストハイウェイ)』の為に書きおろされた一曲で、リリーズから長らくNINのアルバムに未収録&ライブでも披露されなかった「幻の一曲」として知られています。
『Perfect Drug』はNINの作品ではかなりキャッチーな曲調で、歌詞も直球で薬物依存で彷徨う心情を綴っています。(トレント・レズナー本人も当時は薬物に蝕まれていたといいます…;)
「お前を求めるほど、俺は死んでいく…」
「なのに、お前が欲しい…なのに、お前が欲しい…」
明け透けながら直球で軽快、静かなイントロからじわじわ上がりサビで爆発するアッパーな曲調。
『Perfect Drug』は、苦しみを曝け出したある種の清々しさを感じる、攻撃的で叩きつけてくる大好きな一曲です!
2019年10月22日 小見川道大のキャリア晩年の名勝負、毛利昭彦戦です。
小見川道大(オミガワ・ミチヒロ、本名:小見川道浩)は、MMAが急速な発展をみせた2000~10年代のMMAで、急成長を果たし日本フェザー級のトップコンテンダーとして活躍した、柔道転向型のMMA選手です。
小見川は2005年に柔道三段のルーツを引っ提げ、吉田秀彦(ヨシダ・ヒデヒコ)のチームからMMAの世界へ挑戦をはじめました。
小見川は柔道での優れた実績ゆえに、プロスペクトとして厳しい相手との試合を組まれました。プロ初戦がアーロン・ライリー、2戦目が
ジェシアス・"JZ"・カヴァウカンチという、今みても厳し過ぎるカードです。
小見川は逆境の中で連敗を経験します。しかし、激闘の中で経験を積むことで、自身のルーツとする「柔道」を「MMA」へとアジャストさせていきました。
小見川は自身のMMAスタイルを「ネオ柔道」と標榜し、その真価を世界のMMA選手たちとの激闘のなかで証明していきました。
小見川のMMAスタイル「ネオ柔道」が昇華され、その真価を世に証明した一戦が、2009年5月2日のナム・ファン戦でした。
この試合の小見川は今観返しても凄まじい…柔道の強靭なベースと俊敏な摺り足に、ボクシングのダック&ウィーブ、右ショートパンチと左右フックの速射が加わった「ネオ柔道」は、まさに今日のMMAのスタンダードの一つである「レベルチェンジMMA」そのものです。
小見川はこの高速の「ボクシング×柔道」スタイルをノンストップで敢行、ファンを完全に翻弄して一気に叩き潰す完璧な勝利を手にしました。それまでの逆境と苦しみの全てが試合へと昇華されたような、そんな迫力と達成感を感じさせてくれる一戦です。
『Perfect Drug』は、そんな小見川の「ネオ柔道」が証明された一戦で使用されました。
この日の入場では、小見川がスモークの中から蹲踞のポーズで現れるという登場シーンがあり、和風の演出と非常にマッチしていて格好よかったですね~✨
『Perfect Drug』のイントロが三味線のような独特のエフェクトであることも、強いインパクトを残してくれたのだと思います。
この日の小見川の入場も試合は、今でも脳裏に焼き付いている素晴らしい瞬間でした。
2022年2月26日 小見川道大の引退試合、中村大介戦の試合後の一幕です。
2022年2月、小見川道大はMMA選手として引退を発表しました。
柔道出身の小見川道大は、他競技の優れたルーツを「MMA」スタイルに完全昇華させ、大器晩成を果たした選手です。
MMA激動の時代に翻弄されながらも挑戦し続けた小見川の姿は、日本MMAにおける「他競技からの挑戦」に光明を示し…同時に、そのスタイル完成への道の嶮しさをも体現していました。日本MMAに多大なる財産を残してくれた選手であると感じます。
何より、小見川は、私に「『嫌い』が試合を通して『ファン』へ変わる」という体験をさせてくれた杞憂な選手でした。(当時、マイクでいきなり怒って嫌だな~と思ってました笑)
そして、MMAで最も重要な「証明の一戦」とは何かを実感させてくれた大切なMMA選手でもありました。
感謝を込めて、『Perfect Drug』を通じて当時を想い、聴いています。
ありがとう小見川道大!!「ネオ柔道」最高!!!✨🥋✨
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